無知な人たち、と
父の生家に唾を吐き
母が消えた
時の区分は夏、そして
秋にも依然、消えていた
秋の再来
消えている母
九月は母の誕生月
父はきちんと知っていた
本日、九月の二十 ....
おーい、と言った
おーい、と返ってきた
そっちはどんなあんばいですかあ、
と聞いたら
そっちはどんなあんばいだあ、
と聞かれた
それじゃ、意味ないです
お義父さん ....
橙色に照らされた木造二階建てのアパート
蹴飛ばせば簡単に壊れてしまいそうな垣根から
紅色の白粉花がその艶やかな顔を出す
やがて来る闇に飲み込まれてしまう前に
黒くて固い種子をてのひらに ....
うっかり鰐がのみ込んでしまったのは
薄緑色の胎動
耳をすませば夢まみれ
なめらかで脆い夢まみれ
耳をすませば種うまれ
まどろむ奥に種うまれ
....
私がふたごだったとき
ずっと森で暮らしてた
ふたりおそろいの服を着て
毎晩同じベッドで夢を貪りあった
ふたり一緒にいること
それが当たり前の世界だった
私がふたごだったとき
世界はひ ....
水晶を垂らすと地球が凹む
地面に円書いてテレポートする
石蹴って石に聞く帰り道
ひるがえす スカートのすそ
小さな手にふれる空の 麦藁帽子の屋上に
木馬の 陽に照らされた背をさらし
夏が焼かれ 逝く、
都心に生まれ育つ/育った
故郷という 基点を持つこと ....
この数日間、僕は東京に所用があり、一人の時間はぶらぶらと気の向くままに、都内を歩いていました。数日間の休みの間に僕が心温まった「ちょっといい話」を、旅の便りのように皆様に贈るのもいいかなと思い、この ....
学校のグループで行う
キスの授業のテストは
一番嫌いな教科になった
パニックパラダイスパークは
いつになくこみあっていた
なにかと忙しいけど
飴が降っているならしょ ....
長女の生徒手帳は
しばしば行方不明になる
いや行方不明ではなくて
友人知人の家にある
繋がりたい友人からの
カラフルなメッセージ
で埋められた白紙のページ
僕が学生の頃
生 ....
はいりなよ
いっしょにかえろう
ずっと制服に閉じ込めた
光るボタンは、すなおになって
想いを告げる
雨の放課後
目をかわしたら きっと
また、何もいえなくなるから
少し見 ....
僕の考えた妖怪
妖怪助けてー
肩から上しかない妖怪。
浅瀬で助けを求める。肩から上しか見えないので、川が深いと思って
助けに飛び込んだ人が顔面を強打して死ぬとその肉をむさぼる。
善意に ....
雲なんか空に置いてみる
ひいらぎ束ね振って祓う
木と私の間に確かに秋がある
泳ぎだす
香にオーブンから ときはなたれ
あたたかな うれしさに
まるで熱のある魚のように、
いいえ ちがう ちがう、
喜び
だからこそ
うかれ キ ....
やらねばならぬ
そんな夜
寝不足の目は
赤信号だけど
コーヒーと気合を
入れなおして
今晩は
やらねばならぬ
9月だってば
9月になったんだってば
それで何かが変わるってわけじゃないけど
夏の記憶には「さよなら」したし
もう後悔なんてしないと決めたのだから
秋だってば
秋になったんだってば ....
ことしベトナムにいったときに
この穴にベトコンが隠れていたんだ、
という穴にははいらなかった
はいらなくて正解だった
狭い所が年々苦手になってきているようだからだ
きょう ....
月夜に現れたみずうみに 僕は裸になって
飛び込んだ。別に入水自殺をしようってわけじゃない。これは
ひとつの儀式のようなもので、言うなれば自然との同化、共有
されるファイルを独り ....
変身
人工物の動脈硬化
カテーテルを入れて抜いた
声変期
脱皮・変態
モルヒネを入れて抜いた
静脈にモルヒネを
流れ
川としての
求め、得、失い、求め、得、失い
の連関
それはリ ....
泡粒の数だけ思い出があり
からからからと音がする
競走はいつでもいちばん最後
ひとあし遅れて着いた小さな菓子屋で
真っ先に選ぶのは瓶入りのラムネ
にじみだす汗を乱暴にぬぐい
....
眩しい朝日に目を覚まして
窓を開けると
冷たく澄んだ空気が
まだ開けきらない
僕の目を
優しく撫でていきました
外の町は
少し霧に覆われていて
近くの山は
かかる霧に朝日が反射し ....
腰袋に小さな穴を開けて
そこに花の種をつめている
みんなの言ってることが分からないのに
分かったふりで失敗したので
監督に怒られている
まばたきをしている間に
ミートボールを盗まれた
ト ....
夏の 目の高さに芝があって
そこに 白爪草が 咲いていたって
むすめが おぼつかなく 歩きはじめたって
あたしが それを わらって見ていたって
あたしは やっぱり
なくしてる
....
確率変動が起こるのであれば
それわそれわ滑稽なことですね
楽に死ねると思わない方がいい
死ぬことに楽など通用しない
安楽死を望んでもそれは不可能
何故なら安らかに楽しく死 ....
ハノンにカノン
そしてバイエル
短小のタスクは
凛々と遊び
バビロンの塔は
脆くも崩れ去り
マンモンも神門も閉ざされ
幽門と噴門は灼熱と化した
そを空に問うても ....
大気ゆさゆさ揺れて急ぐ秋
台風を秘かに待って夜の雨
雨音に虫のすだきが溶けてゆく
相田みつをの書に素直になれない
そんなもんじゃないと反発してしまう
宮本輝の登場人物のセリフに素直になれない
そんなもんじゃないと反発してしまう
そんなもんじゃない
ならどんなもんなのか ....
心にあふれる かなしみには
おもさが あるらしい
だって 涙はきまって
したに したへと
おちていくもの
それに、
どこかでだれかの涙を
受ける器は 小さくって
た ....
ものがたる 星から ふってくる
はねのおと
ほろんだ鳥族の 夢が はかなく
僕の部屋の 窓辺に
ながれ つく
星をねがう
走鳥類のまつえいが
ねむる
広げた灰色の つばさが
....
散ル散ル朽チル
September, high tide 気がつけば
波高き9月になって風の音が憂鬱を
足元の砂に埋めて 耳元でいつまでも
鳴り続けていた千のアリアをそっと
水に溶いて空 ....
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