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らんぷの灯の下で
古書を開く深夜のひと時 
遠い過去から 
著者のたましいが 
私にそっと、語りかける。 
いのちの宿る一行に 
無心で引いてゆく線は 
宇宙を貫く、流星です 
 .... 
今迄地上にいた人が 
すべて不滅であったなら 
日本列島は満員で 
海に沈んでしまうでしょう 
宇宙の闇にぽつんと浮かぶ 
蒼い地球を視るのはきっと 
いつか{ルビ人間=ひと}の体を脱 .... 
まことの自分である時は 
背後に透きとおる
あのまなざしが 
黙って微笑を浮かべます 
まことの自分である時は 
色褪せていた日常に 
肩を並べた花々が
次々口を開いてゆきます 
 .... 
夜道に浮かぶ洋燈は 
硝子の裡から暗闇を 
今夜も仄かに照らし 
人の胸にぽうと灯る 
たましいの面影です  
天丼のどんぶりを空にした後 
海老の尻尾をふたつ 
ちり紙の上に並べたらじゃれあい  
嬉しそうに光った