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罪の震える夜でした
街はしじまでその路地に
猫がみゃぁ〜と泣きました
星も降らない秋の鈴
どこで鳴るのか胸の奥
今夜こんなに光る月
罪は震えて紅葉色
....
理由もなく
ただ休みたい
生活の音を
聞きながら
ゆっくりと
過ごしたい
パジャマのままで
目玉焼きを作るから
僕の代わりに
世界を見て来て
薄っぺらいパンに
寂 ....
腰の曲がったおばあさんは
下から世界を見上げます
澄んだ眼で街行く人を見つめます
そしてひとりゆっくり歩を進めます
生きる静かな執念です
腰の曲がったおばあさんは
昼間ヘルパーさんに家 ....
キッチンの茶色いテーブルの下を
小川が流れます 黒い水
ちょっとおかずをね
落としたから
(母さんの作ってくれた
お煮物のほぐしたの)
足元に小さな魚が集まって
たいへんです
箸で掬 ....
糸で吊るされている
そうして自分の涙も拭えない
そんな大人になってしまった
操り人形にしようとする者なんて
最初からいなかった
貴女も
自分の足で歩くのは
こんなにも楽で
こん ....
あの、もと運動部特有の、「皆で同じ方を向いて同じように頑張る」みたいな考え方あるじゃない、いや考え方っていうかもうただのクセみたいな感じなんだと思うんだけど、もう思考の領域じゃないようなさ、ああい ....
海底の都市から見上げた空に
着水する紙飛行機が
ひろげる波の敷布と
雨だれがからむ
おおきな口で
迫るもの
不意に肩をだきすくめる
水草の気配
ここでは誰もが作曲家だから
ことば ....
私はきみを見つけられない
運動会で
通学路で
秋の遠足で
みんなおんなじ格好
赤いスニーカーだけが目印
毎朝、玄関で
ギーギー鳴らして靴紐をしめる
ダイヤル式のスニーカー
みんな ....
幻想の庭に咲く
赤々と艶やかな大輪の花を
呪い殺すように千切って
淡い光跡を残し貴女は沈む
深く澄んだ泉の底へ
湧き出る清水はこんこんと
幻想の庭を打ち壊し
なにが訪れたのだろうか
....
雨があがると見つかる落ち葉は
いまにも崩れそうで
そらの葉脈を
懐かしく見上げる
古墳の町で食べたたこ焼きが
まるくなる瞬間
わたしの壊れずにいる肺もいつか
ことばを持たないもの達にふれ ....
青い青い空が広がった
完璧な青だ
コンビニの旗がはためいて
吹き抜ける秋風の歌が躍動する
歩き始めたばかりの幼子が
風によろけて道に倒れ泣く
溢れる涙は銀に輝く陽光の糧、
光 ....
手をあてて
胸の鼓動を掌で
聴くのは君の心を聴くため
きょうもまた
そんな目をして拗ねないで
可愛いえくぼが濡れそうにみえる
葉脈を
陽射しに透かし ....
おしよせる 一切の祈りを
ものともせず 飛んでいく
あおい飛蝗たち
届かないと知りながら
対岸へ跳ねた
少女だった 絶望だった
永久みたいな 夏も暮れかかり
ソーダの飛沫にも ....
古いロッキン・オン、適当に取り出してペラペラめくってみれば
ミック・ジャガ―がヴードゥー・ラウンジツアーをしてたのはいまの俺くらいの歳だった、まいるぜ
もちろん比べる相手も時代も違うってわかっ ....
心からの憐れみを
僕の首すじに当ててください
その湿っぽいやさしさを
信じることが
歩くように生きることだと想うから
街は嫌なことなんか
なかったと云い張る
崩れおち、 ....
ジョギングで夕暮れの道をゆく
いつもと同じ川沿いの道
途中で道をそれて
無心のままに
坂を上っては下りているうちに・・・
ふと、見知らぬ場所へ出て
立ち止まる
そこはどうや ....
日々の狭間に{ルビ疼=うず}く声を
告白した君は
夜にうずくまり、自らを守り
静かな力を蓄えている
苦しみ、惑い
やりきれない
悔し涙の落ちる{ルビ音=ね}が響く
この夜
遥か ....
朝でもなく
夜でもなく
その青に
重さを与えて
僕は生きる
綺麗なものが
壊れたら
それに相応しい
話を書きたい
愚かでも
未熟でも
さよならが付き纏う
日々の中で ....
静かな朝だ、秋風吹く
走り過ぎる車の影が
澄んだ青空に映り透けていく
私の肉は相変わらず痛み
浮き立つ意識を押し留める
人よ、人よ、何処にゆく
時間は世界は
こんなにくっきり今此処に ....
なり損ねたものがあるなら
駅の売店でアイスでも何でも買って
座る席も無いから
しばらくは開かないドアの手前
流れる景色を見送りながら
さよならとも
うんともすんとも言わないで
ああそ ....
一度は誰でも
通る道
ひき返せなくなる前に
誰もが一旦
つまずく道
僕らが生まれた頃には
すでに道は
できすぎていた
石ころ蹴って
道草くって
立ち止まってから ....
ペンギンカフェみたい
沈みそうな旋律で歩く
たまに目が合う女神のような街に
投げつける豪速球
勿体ない勿体ないって、全部本気だったんだから
罠にかかった小動物、逃がしたりしたら笑われるね
....
静寂を恐れているみたいに
世間は騒ぎ続けている
みんな自分のことを考えたくないのさ
小虫のようにまとわりつく真実のかけらのことを
街灯に拘束されたスピーカーからは
イージー・リス ....
翼が
溶けてゆく
悲しみに泣く天使は
今が
どれだけ大切なときなのか
わかっているのだろうか
泣いているときではないと
わかっているのだろうか
ほんとうのことを
....
朱天黒の篝火が爆ぜる
目眩の中で炙られる白昼夢の散弾を集めた
贄に均しい極熱、滾るような炎天のまばたき
吐出を嵌めた雪月花を、身に埋めたような心地で
のぼせ上がる四季を撫でてしまえない ....
二人寄り添い
昇った坂道
橙色に染まる
夕暮れに
奥まる時間を
二人して
ぐんぐんぐんぐん
遡行した
果ての果てに
開けた緑の
湧水大地に二人座す
静かに手と手を
握り合い ....
膨らんだ泡が
私の髪の毛を
包んで割れた
申し訳なくて
後ろで結んだ
髪も手も
あなたが
飛んだ後で
伸ばします
触れないように
割れないように
見つめるだけなら
....
僕らは僕らの血の話をした
指先を切った僕を見て
君はかさぶたを剥がして笑っていた
”すごい!見て!同じ色”
あの日、君が剥がしたかさぶたは
僕と遊んでいた時にできた
鉄棒に登ってほんの ....
会いたい、が間違いなら
会いたい、じゃなくていい
アインシュタイン、が間違いなら
愛したい、に換えていい
病気だと簡単に言われ
理論だってわかってもらえず
悔しいから面積求めた
苦し ....
人類の記憶の総体から
名札のない死体ばかり幾つも幾つも
バラバラにされて脈略もなく
いたるところからあふれ出して来る
机の抽斗から冷蔵庫から本の隙間から
シャワーを捻ればそこからも
一匹の ....
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