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目の前の
馬鈴薯と玉葱の炒めものは
たった一枚の皿であれ
時と所により
どれほどの幸いを、もたらすだろう
風は冷たくて
生温かいよりいいけれど
撃たれていても
失われゆく感覚に朦朧とするのが
口惜しいくらいで
なんとかもう少し
月の光が見られるまでは
ここでこうしていたいのだけれど
記念日でも無いのに
貰った時計に理由が欲しくて
安物のクォーツだけど
初めて認められた気がした
感謝を伝える気持ちまで
あと少し飛べたら良いけれど
ありふれた言葉も急いだままで
何かを果 ....
「背側側頭窓」からチーズケーキがみえる。
その表面にはいくつものき孔があいている。
が、たべてもおいしいだけで、孔の味は発見できない。
森の向こうに空があり
私の思考が漂っている
地水火風はその中で
好き勝手に踊っている
私の感情の底に哀しみ溜まり
虚脱の寒気はいや増すばかり
自壊か決壊か知らないが
私の思考 ....
バレッタを留めた君の髪の毛が
よそ見をしながら遊んだ日
うなじの模様に惹かれたら
心にも同じアザができてた
痛くはないけど少し恥ずかしい
こんな気持ちのままじゃ帰れない
いつまで待てるだろ ....
あ オチタ
あ オレタ
あ コロガッタ
あ キエタ
もう 何も無い
ただ 結果だけが
自由な行為の結果だけが
ひろくひらき広がっている
高曇りの薄白い空の許
モノクロームの大 ....
瞳の中を走るタイヤが
パンクしたのだと思う
つまづいたのはきっと
誰かのきらきらしている爪
僕は頬を引っ掻かれたような
何かに置いて行かれたような
フルーツパフェを食べられなかった
晴れ ....
惑星は遊覧する
遊ぶ湖は波紋を広げる
目の星が言葉少なくなる
星の磁場が狂う
森の前に立ち尽くす
十階であると下を覗き込む
君の名前を読むことはない
石碑に歌の跡が残る
写真を撮る
....
4Gが5Gになると何がどうなると思う?
君んちのゴキブリが1匹増えるだけだよ!
涙がこぼれる少し前
僕より先に君が泣いた
音も無く落ちた涙は
いつか水溜まりを作るかもしれない
涙がこぼれる少し前
僕は声を失った
君を慰めることも出来ず
ただ涙をこぼすだけだった
青い制服が似合う学生さんが
足早に過ぎゆく川岸
うずくまる野良犬
声も出せずに
いつだって逢いたい心に
吹く風は早くおいでと誘なう
さいはての孤独地獄へ、とか
ハハ。
今日だけは子 ....
細い糸が 雨に洗われている
透明なしずくが 糸にしがみつき ゆれながら
森と空を映している
糸を吐いた蜘蛛は すでに別の場所へ
風に乗って
行ってしまった
水滴の中に 世界 ....
悲しみを癒してくれるのは
時の流れなのかもしれない
悲しみを救ってくれるのは
寄り添ってくれる愛なのかもしれない
しかし
ぼくらはただ知らないだけなのかもしれない
もしかしたら
....
白梅が咲いてる
私がそう言うと
ほらよく見てごらん
そう言って
メガネを差し出すあなた
花に見えたのは雪
眩しいねと同時に言った
遠い国から
春が到着するのは
もうじ ....
天の香具山に綿毛が浮いて
飛鳥の天皇はススキの精
いまはなき宮の跡は海の底
妖精は海を越えて吉野山へ
月は妖精を追いかけて
二つの山を渡る
羽根を寄せ合う二人の恋の歌を
....
1
コミケの意味さえも知らずに、そこでは生身
のラムちゃんが見れると聞いたのもので。中
味も知らない冊子を所定の場所にドンと置く
と、待ってましたとばかりに、とは言え、一
言 ....
また夜になり
静けさ、
部屋に充満して
私は一人横たわる
人差し指より先に薬指が
ディスプレイに触れ
誤字が打たれていくのを
眺めながら
)アトランダムな文字列から
)生傷の如く ....
握りしめたい
愛されなかった命を
あなたが刺さないから
棘に寄せた気持ちで
握り潰したい
緩むな心よ
和むな春よ
気高い香りのスカーフを
何枚も巻き付けて
傷跡を隠す花びら
棘より ....
あなたが少し、と言ったから
少し、と思った
わたしたちはどうしても
わたしたちに似たものを探してしまう
それは少し、というよりも
むしろもっと少しの、もの、こと
わたしたちの ....
言葉というのは
光の反射のよう
どこでどう突き刺さるのか
わからない
まるで迷子の心細さなど
味わったことない顔をして
いつか母になったとき
むかし言った言葉に
埋め殺されそうにな ....
和音の順番で開く身体が
ほつれた傷口を差し出す時は
ウサギの林檎が心臓になる
抑えきれない声が震えるほど
耳を揃えて蘇る気持ちを
足したり引いたりしながら育ち
出口へと導いてくれた
夜明 ....
今日は薄曇りのそら
部屋の隅のシクラメンが元気をくれる
ルーティーンには縛られたくない朝
シナモンティーでトーストを
型にはまった生き方なんてつまらないのに
いつの間にか繰り返す趣味 ....
だだっ広い雪原の片隅
柏はカラカラと葉を震わせ、
息苦しさを覚えるほどに白い小径を
雪焼けした子供たちが駆けていく。
チリリ
チリリ
チリチリ
チリリ
....
眼が在り映り凝視し続ける眼に
脳裏の戦場の消えない殺し合いか
眼前の草むらの子供らの激しい絡み合いか
展開され焼き付けられるその光景
草むらの草いきれも
左足にぐるぐる巻かれた包帯の ....
この街にも いつの時代にも
優しさを宿した瞳は見つめている
みんな人だから
その心の傷口をつつむように
ひとこと優しい言葉を
投げかけたいと
そう思っている
きっと
混沌と ....
忘れられない最終の恋を
たいせつな思い出にするなんて
自己愛が強すぎる女みたいで
ちょっと引いてしまう
陽はまた昇るから
新しいまっさらな真っ白な心で
前を向いて恋をしたって、いいんだ ....
つづら坂のてっぺんが赤く燃えて
曲がり角のそれぞれに暗がりが生まれる
それがくねくねと蛇のように眼下の町へ
影法師が一組
手前の角の煙草屋の暗がりからあらわれて
穏やかな夕日にそっと目を ....
テレビで紹介されていた中華の店の
たまたま近くにいたので
楽しみにしながら
地図を見ながら行ったら
定休日だった
真っ赤な見た目なのに
そこまで辛くないらしい
ラーズー麺なるものを
....
蒼い夜底の真ん中
白壁の沈黙、ふと途絶え
薄い格子戸開ける女の白手
手招き三度、ゆらゆら揺れる
傷だらけの幼子の抱擁
骨組み晒し、癒されぬまま
格子戸の向こうに開ける界
二体 ....
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