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鎖骨を引き抜いて、
あなたの喉に刺してやりたい。
乳房をもぎ取って、
あなたの口に押し込んでやりたい。
陰部をくりぬいて、
あなたの尻に捩じ込んでやりたい。

俺のオナニーを　.... 喉を鳴らす度に、
耳に響く痛みがある。
痛みには海がある。
耳の背中で、
波音が聴こえる。

鏡がある。
鏡には本当の姿は映らない。
いつもぼやけているこの顔には、
よろこびよりもか　.... 黒い鉛筆で、
目にうつるすべてを黒く塗りつぶす。
塗りつぶしたものたちは、
赤く染まっていく。
鉛筆が折れた。
血豆が潰れた。
赤い血が滲み出して、
白いテーブルに滴った。
テーブルは　.... 覚えている。
私がまだ幼かった頃の、
あなたはいつも、
降り続く雨と闘っていた。
雨は黒い石を含みながら、
あなたの肩を濡らした。
まだ幼かった私はただ、
呆然とその姿を眺　.... 木枯らしが吹くビルの下で
私は一人佇む。
北風が、
繊維の隙間をすり抜けて、
肌に差し込む。
私は皮膚という皮膚の
口を大きく開けて、
舌に降り注ぐ血のぬくもりを抱きしめる。

あ　.... (この男、殺したい )

私がはじめて、
胸のなかにナイフを握ったのは、
まさにこの瞬間だった。
その男は私に出会うやいなや

(アオイサンテ、
ソノ足ハ障害ナンデスヨネ、　.... 口から耳を吐き出す。
耳は目になって排水口を流れていく。
目になった耳は明日の壁を踏みしめて
雑踏を突き進む。

耳が吸い込む声は、
いつだって罵倒と嘆きだ。
けれど耳は、
罵倒の皮を　.... アンタガワルイノヨ、
ゼンブアンタガワルイノヨ、
アンタガ、
アンタガ、

三半規管を往来する
嗄れたあなたの声が、
私の耳から喉に谺する。
私は何故か言い返せない。
なぜなら私はあ　.... あなたの大きく開いた口が、
ちいさな海を吸い込んでいく。
あなたの脳裏を走る列車が、
いくつもの駅を追い越していく。
駅には、
誰もいない人で、
あふれている。
あなたは、
誰もいない　.... 沸騰する憂鬱を、
跳ね返すことばが、
さかなになって脳裏を横切っていく。
それを掴もうと、
手を握ったり開いたりしてみても、
私は海底に沈む難破船になって
視線を落とす。

*

　.... 私は緩やかに束縛されている。
色々なものを見ながら聴きながら、
色々なものを見ぬように聴かぬように。
穏やかな強烈さで
目隠しをしている{ルビ腕＝かいな}は誰なのか。

私の中心　.... 刑務所で子供を生んだ。
その子に「あかり」と名付けた。
闇ばかりだったあたしの人生に
あかりが灯るようにと。

あたしには、
殺人未遂経験がある。
14歳の中２の夏の日、
　.... 両手で掴みとった羽根が、
灰になって消えていく。
白い大地に佇む夢で目が覚めた。

(もう、約束はしない) 　.... 私から、
なにかが抜け落ちている。
そんな気配がして
足元を見ると、
枯れたことばの欠片たちが
犇め　.... 皮を剥くことばかり求めて、
実の味を忘れた
林檎みたいな私の肌に、
あなたは歯をがりり立てました。
私はその痛みに歓喜し
ちいさな翼を羽ばたかせ
あなたの心のなかの
小さな　.... 私がいないなら、
あなたがいる。
あなたがいないから、
私がいる。
いつも時計のように
交わっては消えていった、
数秒の肌の記憶。

何度生まれ変わっても
告げられな　.... 切々になった階段が私を呼ぶ。
たった一粒の錠剤が
彼女の声と記憶を切り刻んでしまう。
切りぎざまれた彼女の声と記憶は、
ビニールテープになって、 　.... なにもしていない。
けれどこの手は何かを求めている。
白昼夢のなかで、
この右手は、
人混みを漁る。

ぶつかった誰かの
心臓に手をのばし　.... 一本の消えた蝋燭を残して、
あの人は消えた。
残ったものは蝋燭と、
色褪せた指輪たち。
あの人は完全に脱け殻になった。
あの人は完全に写真や切手になった。

私は今を探して 　.... 右をとるか、
左をとるか、
減点で埋めつくされた
スマートフォンは
昇るように階段を降りる。

　.... きこえるものが
みなすいとられていく
みえるものが
みなかすんでいく。
私のなみだを誰も知らない。
ティッシュ箱を並べてみても
素通りされてしまう。
だから私は、
道化　....
由木名緒美さんのあおい満月さんおすすめリスト（21）
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
０- あおい満 ...自由詩1+*16-6-14
耳の背中- あおい満 ...自由詩316-5-22
赤と黒- あおい満 ...自由詩216-5-7
傘- あおい満 ...自由詩6+*16-1-17
崖の上- あおい満 ...自由詩916-1-9
箱- あおい満 ...自由詩15*16-1-5
すべりだい- あおい満 ...自由詩815-12-31
いのり- あおい満 ...自由詩615-12-28
腕輪- あおい満 ...自由詩8*15-12-17
空- あおい満 ...自由詩11*15-12-9
放流- あおい満 ...自由詩6*15-10-28
光- あおい満 ...自由詩6*15-10-10
東の夜- あおい満 ...自由詩615-10-4
ペン- あおい満 ...自由詩915-9-14
接吻- あおい満 ...自由詩14*15-9-5
はなびら- あおい満 ...自由詩14*15-8-30
黄金虫- あおい満 ...自由詩9*15-8-19
火花- あおい満 ...自由詩1115-8-16
あの人- あおい満 ...自由詩515-8-14
稚魚- あおい満 ...自由詩715-8-8
写真- あおい満 ...自由詩9*15-8-4
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