次の冬のために
てぶくろを洗う
寒くなると
きまって血流障害を起こす
私のやわな指先を守るための
カバーたち

毛糸で編まれたもの
外国のお土産でもらった
ムートン製のグローブみたい ....
服を捨てた
どんどん捨てた
着ていた頃の自分を捨てた

服に心をひっぱられたけど
ええいと切って
ばっさり捨てた

タンスはからっぽ
骨になったハンガーが
風にゆらりと揺れている
 ....
 一


 セミの抜け殻が立ち上がり
 自分を置き去りにした
 主を探し始める

 何も見えない目で
 広がらない翼で
 動かない足で

 命が生まれ変わる度に
 脱ぎ捨てられ ....
海藻の匂いが漂い
干し蛸がぶら下がる漁村の道を
おとめは エシエシ笑いながら歩く
焦げ茶色に焼けたうなじを
苦い潮風が打つ
塩をまぶしたような髪をほつらせ
おとめは よだれを拭きながら ....
明け方
素になった
あしのうらが
のんびり呼吸をしていた

朝、起きて
人が再び活動を始めたときから
あしうらは忙しい
意にそまない誰かであっても
一緒に過ごさねばならない
破れか ....
遠近感を失くした心に
圧し掛かるコンクリート色の空
それは浮力を相殺し
ひと気のない公園の片隅に
鳩のよう
視線は堕ちて行く

否定も肯定もしない
午後の息苦しさは
酸欠した金魚のよ ....
 
うっかりしたり
どうかしていたり
つい他のことで
頭いっぱいになってたり
なんか体調でイラッとしたりして
間違ったことを言ってしまうことなんて
自分いくらでもあるんだから
他人の
 ....
生活の棘を確かめながらも飛行経路を探る 君の声も聴こえなくなったんだ
風は凪いでいるがこころはアゲインスト 僕の翼はどれだろう
フラッグが高々と上がり アーユーレディ?

準備不足だらけの間の ....
何時から皆泳げるようになったのか

すいすいすいすい
人間が横切る
何の不安もなく足が地球から離れる

風はないがもっと重苦しい流れがある
音は聞こえるのだが
ゴボゴボ空気の泡立つ音が ....
 田んぼ


乾いた田んぼに水が入って
追いつけないままに去っていった
春の詩をようやく諦める

花菖蒲は元気に咲いている
紫陽花もゆっくり色づいてゆく
発芽した朝顔は満員電車みたい ....
星は一生を終えると
ブラックホールとなるらしい

自身の重さに耐えきれず
あるとき自然に崩壊する
質量だけが生き残り
ただひたすらに落ちている
周囲のものを巻き添えに

人も一生を終 ....
噴水の虹とおしゃべりバイオリン 男の妖精もいるのか 土から生まれ 土の共同体に生き 土に収斂していった 両親の土壌から生まれ 土を耕し植物を育て 植物を食べたり売ったりして生活した 火もまた土から立ち昇り 水もまた土へと還っていった 土へと収斂しないも .... 父の母が亡くなり
その後しばらくして
父の兄が亡くなった時
父がぽつりと言った
「今度は俺の番だな」

その順番の通り
父は亡くなった

四十九日が過ぎた時
母がぽつりと言った
 ....
ひがないちにち丘の上で雲をみていた
雲には歴史がないんだただ瞬間だけがあるんだ
アンタレスは赤色巨星で太陽は金の林檎なんだな
僕はちょっぴり白色矮性みたいな気分だ

120億光年の彼方の銀河 ....
照れ隠しで言った下ネタがひとり歩きしている 星がかろうじて見える夜に
PCメガネは駄目ですね
真っ青な
街灯の残像が
揺れる


影おくりなら十数えれば消える
けど
青が散る
視線を追いかけて
振り切れない



 ....
つばめの親は
とぼうとする子供を助けない

少し離れた場所で
おとうさん
おかあさんはとまっている

何事か話しながら
たまに外へいく

こどもはうんしょとのりだして
どたばたと ....
「ガチで」と言うのは
玄関先で
火打石を打ち鳴らす音に似ている。
とても古くて大きな樹木
人がすっぽり入れるほどの
祠があり神様を祀っている

樹木に近づくと
その清らかさに心を打たれ
身体を樹木の中へと入れると
ひんやりと冷たいけれど
太陽の光が染 ....
  {引用=―M・T君に―}

「てんぎゅうをとりにいこう」
きみがそう言った夏休みに
ぼくらは残忍なハンターになる

もくもくと青空に湧く入道雲
稚魚の群れが回遊する島の海を
ぼくら ....
岬の突端に立ち
両手を広げたとき
長い髪が風にそよいだ
色は草の緑
影も同じ
名を呼ぶと
振り向いた頬は
今吸ったばかりの
塩混じりの空気で
薄ピンクに膨らんだまま
「なあ〜にい? ....
 苦しかったら
 ここにおいでと
 空が囁いてくれた

 でも私には
 翼がなかった

 辛くなったら
 ここにおいでと
 海が囁いてくれた

 でも私には
 鰓がなかった
 ....
【カロート】

骨を収めるところだ

簡単じゃないよ

市民の骨を有料で収めるうつわだからね

俺はそんな仕事は嫌だったが

青焼きを渡されちゃ嫌とも言えず

自ら重機の操りも ....
1.虹

紐といた

気の遠くなるひだまりの路線で
彼のもつれた襟足に
昼の星は木漏れて消えた



2.スターバックスラテの矛盾

おびただしい反則が
やがてあらしを連 ....
 「明日」

ATMから引き出そうとしたら
お客様の明日は残高不足です とアナウンス
借金ばかりの恋で底を着いたのか
利子もあの子ももう赤字になって去っていく
振り返るのは嫌いだが
この ....
死んだような人よ
始発の電車で何処へ帰る

死んだような人よ
心は故郷か家に置き去りだ

死んだような人よ
あなたを愛する人を裏切った朝
あなたはその体を抱え何処へ帰る

あなたの ....
本日をもって閉店させていただきます

うちから徒歩一分の
スーパーマーケットが何十年かの幕を閉じた

棚はがらがら
生鮮食品とお惣菜ぐらいがあるだけなのに
人が溢れてうねりうねって彷徨っ ....
針を手にした(無心の手)は 
今日も、布地を進みゆく 

長い間歩いて来た 
あなたと僕の足跡は、あの日  
{ルビ布巾=ふきん}の遠い両端から始まり 
それぞれに縫われる糸のように 
 ....
イナエさんのおすすめリスト(3746)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
カバー- そらの珊 ...自由詩20*13-5-18
脱皮- 朧月自由詩913-5-18
夏の閃光、記憶の抜け殻- まーつん自由詩13*13-5-18
おとめ- 壮佑自由詩14*13-5-17
あしうら- そらの珊 ...自由詩23*13-5-15
名無詩- ただのみ ...自由詩21*13-5-15
自分お料理は苦手なんだけど今夜はカレーライス- Lucy自由詩26*13-5-14
クラッシュランディング- 梅昆布茶自由詩1013-5-14
間氷期- ……とあ ...自由詩10*13-5-14
北の亡者/Again_2013皐月- たま自由詩35*13-5-14
いのちの重さ- かわぐち ...自由詩3*13-5-12
噴水の虹とおしゃべりバイオリン- 北大路京 ...俳句213-5-11
男の妖精もいるのか- 北大路京 ...自由詩1513-5-11
twitter- 葉leaf自由詩413-5-11
順番- 夏美かを ...自由詩24*13-5-11
丘の上のお馬鹿- 梅昆布茶自由詩913-5-9
照れ隠しで言った下ネタがひとり歩きしている- 北大路京 ...自由詩713-5-9
ブルーライト- 伊織自由詩7*13-5-9
春の儀式- 朧月自由詩613-5-9
「ガチで」と言うのは- 凍湖自由詩413-5-9
樹木の奏で- 灰泥軽茶自由詩5*13-5-8
天牛と島の少年- 壮佑自由詩28*13-5-8
- 花形新次自由詩513-5-8
たったひとり- まーつん自由詩19*13-5-7
墓を作る- ドクダミ ...自由詩5*13-5-7
ピア- 平井容子自由詩613-5-7
「明日」ほか二篇- 乱太郎自由詩19*13-5-7
死んだような人よ- うみこ自由詩5*13-5-7
さよならスーパーマーケットさん- 灰泥軽茶自由詩10*13-5-6
縁の糸_- 服部 剛自由詩10*13-5-6

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