新しい言葉を綴ることは
新しい土地を開墾するように
そこへ種を蒔くように描いてゆくこと
自由を描くことは難しい
だれも自由の光をみたことがないから
それでも描こうとする
愛を定義す ....
心に咲いた花が枯れた
そいつは道の真ん中に転がっていた
雨の日だった
合羽を着て自転車を漕いでいたので
私の視界は悪い
遠くから黒い物体が見えた時
壊れた黒い雨傘だと思った
もっと近づくと
黒い長靴に見えた
....
イゾジンのうがい薬や寒鮃
寒鮃要らなくなった冷蔵庫
何となくの理由を追い昼間の暖かな眠りのお陰で 覚める寝息
私は波にハンモックに揺られ時を刻んでいる
久しい事柄に息吹を乗せ 目線を添える
言葉の魔法と彩り感触
世のため人のため己 ....
深海魚ばかりの握り盛り合わせ鮪鮃や鯛と偽る
髭を抜き兄が姉へと変わりゆく中央線の電車内なう
あたしの両目には
瞬きできるまぶたがない
いつも涙を流している
見開いているのに
像はゆらゆら揺れる
世界はいつも揺れている
あたしの左手には
指輪をはめる指がない
いつも ....
一月も終わる
暖かな日曜日
夜になって
北西風が窓を叩く
ヘッドフォンしてなくてよかった
コブクロより君がいい
だって風よ君もずいぶん
さみしそうに聞こえる
手紙を入れて
春の小川へ流してやるのだ
壜はゆらゆら流れて行って
コルクの栓もしだいに腐り
水が浸み
河口近くに沈むだろう
それとも海へ流れ着き
波に揉まれ
誰も聞かない音をたて
....
静かに落ちる
柔らかな子宮壁に
着床する種のように
或いは
夜という
高濃度の詩を含んだ海へ
魂だけが
えら呼吸を忘れてはいない
無意識という
立方体の
泡を
吐く
水 ....
ぴいひょろ
ぴいひょろ
横笛吹きながらしゃがみこんでいる少女
音程なんかどうでもよくて
鳴き虫って呼ばれちゃっても
いまはただ悲しくって
ぴいひょろ
ぴいひょろ
あまのじゃくのつむ ....
私っぽい
と変換しようとしたら
綿しっぽい
になったので
採用します
夢の中で元妻が
やっぱり子供をつくればよかった
と笑いながらいうので
....
シャワーが出るほうへひねってしまった
子どもっておもろいな
おしあいへしあい
わざわざさむい日に
「あらてののケンカちゃうか?」
そんでもたのしそうやで
「だからたのしくケンカできるって
子どもっておもろいやんか ....
愛の映らぬ鏡があろうか
愛無き涙も
愛無き悔いもないならば
愛の映らぬ鏡があろうか
その背がいかに重くとも
その背がいかに暗くとも
それを見据えるお前の眼だけは ....
平静を装うには
呼吸を感じられるほど近く
満足するには
体温は届かないくらい遠い
触れるか触れないか
どちらともない
じれったいくらいの距離だった。
私の知らない膨大 ....
朝 目覚めたら
鳥の巣箱の中にいた
市会議員選挙の告示のニュースが
母屋の方から聴こえてくる
体を起こし 何となく上を向いて
首を伸ばしてお口をあんぐり
母がテントウムシを口移ししてき ....
温かいご飯
温かいお風呂
温かい布団
この三つは
心まで温めてくれる
寒い冬の夜
わたしは寝る前に
下布団とシーツの間に敷いた
電気毛布のスイッチを入れておく
しばらくし ....
レンジの中で腐っていた
140123
少しずつ物価が挙がって参ります。
しずしずとおどおどと堂々と
横柄な態度を取るものも居て
警笛を鳴らしたり街宣車を走らせたり
選挙カーを走らせたりし ....
肘が腫れた
誰かに肘鉄砲を
食らわしたわけでもないのだが
発熱したのでさすがに怖くなって
病院へ行った
かなり炎症してますね
頬杖をつくのが癖なので
おそらく妄想を巡らせてい ....
魂を語り合いましょうと
いいながら
詩人は逝ったのでした
今朝
わたしはみつけた
ゴミステーションの柵に
いくつも並んだ雫
それは
ぶらさがって
落ちまいと揺れていた
冬の夜が ....
かんかん光る
かんかん踏切
かんかん降りる遮断機の
かんかん赤い光の点滅
その先線路を
飛んで行く
暗闇の中
急行電車が
飛んでゆく。
かんかん手を振る二歳の息子
電車を見 ....
熱を帯びた扁桃を
通過する
酸味をふくんだえきたいは
ほどよく冷えて
生きていることが
すみずみまで広がっていく
――体温計の中の赤いめもりが行ったり来たり
ひとふさ
ひとふさに
大 ....
いまさら振り向かれるかのような真似は辞めて貰えませんか
いかにも懐かしむかのような言葉を吐かないで貰えませんか
その気もないのに闘うかのような振りをしないで貰えませんか
あなたたちの背中しか ....
どこであろうと
浜は潮臭く沼は生臭いのだと知った。
ならば。よろしい。
塩水湖をぐるりとめぐるいかにも寂しい鉄道の
無人駅のそばに男は暮らした。
男はいつも自室でひとり酒を呑 ....
時折、詩友達で集う
神楽坂のキイトスのドアを、開いた。
1年ぶりのマコト君が
カウンターで教えてくれた。
「○○さんが沖縄から来て
この近所で詩の展示をやってるよ」
* ....
魂の抜けた身体を操れば舐めたエロスに死の味がする
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