傘をさす手を奪われるほど
僕は何かを持ちすぎてはいない

縦書きの雨
カーテンの雨
通話中を知らせる音の雨
改行の雨
鉄柵の雨
液晶に、雨

こんなにも雨にまみれた世界 ....
子どもたちの声が
翅のように過ぎる
曲がり角に撒かれた砂の上を
輪を持つものはゆうるり回る


誰もいない径は
声と鈴に浸され
青空は常にくすんでいる
曇のはざま
 ....
赤いマジックで
なまえを書く
書いても書いても
なまえは「名前」にならない
それどころか
書くほどにぶれて
水面をおよぐ魚の尾になって
ぴしゃり
血をはねる
はねら ....
小鳥がついばんだ林檎だけ
落ちずに残ったとき
決してこの世は綺麗なものだけで
満たされてはいない
線路の左側を歩いていくと
虹に辿り着くと幼い頃叔父が言った
母について記すとき ....
空をゆく鳥が止まっているのじゃないかって
思う時
あるよね

そんな言葉で恋が始まることもある
わたしたちが本当に見ていたのは
鳥でも
雲でも
小刀のような銀の波濤でも
ウインドサー ....
〝おれは頭はいいが狩りは苦手なんだ〟
ジェンマは呟いた
〝誰にだって得手不得手があるってもんさ〟

同じ年に生まれた若い狐たちからは
「下手くそジャンマ」
「まだ一度もうさぎを捕まえたこと ....
夕方の地下鉄
小学生を連れた母親
吊り革にぶら下がろうとする悪がき
それを止める自称かぁさん

ボリュームのつまみの無い小悪魔どもは
あっちへ行ったりこっちへ行ったり
結局、母親もスマホ ....
戸棚の奥からでてきた何のものだかわからない古いリモコン
我が家ではときどきあるのだこういうことが
ためしにあちこち押してみる

わずかな振動が空気を震わせて
とつぜん世界が半壊
するわ ....
とうに手放したものを
いつでも
たぐりよせられると
隠し持っていた
古びた
麻紐

年月に擦り切れては
いない

乱れる思いに
捩れてもいない

さっぱりと乾いた紐の先には
 ....
生きたいとつぶやいて
誰も聞いてはいない
つらいと叫んでみても
塞がれてしまう善者と呼ばれる耳

もう話す気力もベットから起き上がれず
吐く息だけが孤独を慰める
君の願いは
死の恐 ....
ぐおんと
いしきの
たきつぼ
おちれば

あぶくに
つつまれ
呼吸の
できない
じぶんが
いた

『 尾鰭よ!』
と、つよく
念じる

「 ねぇ、きみ ナイーブ とりか ....
そんな気持ちになったので
センベロしてみた
千円でベロベロになるほど飲ませてくれる店が下町にあるらしい

「たきおかとカドクラ、ハシゴするけど来る?」
とツレに聞いたら
空腹を我慢でき ....
上司といういきものは
おそらく有袋類らしく
どこか体の内側に
たくさんものを隠せるようだ
頭の先から爪先までの
ながいながい煙草とか
ちょっと一本、と出掛けていって
ずっと帰ってこないよ ....
ぶちのめしていい権利は ATMでおろせると
近くの女が言いました
働けないなら罵声に耐えろと
女に頭の上がらない男が母子に言いました
お金が稼げないやつに
意見を言う資格はないのだ ....
ヤクルトを飲んだあと
必ず底に残るものが
輪となり現れる

どういうわけか
そんなつまらぬものが目につき
飲み干してやろうと
舌の上で
容器をさかさまにして
振ってみたりする
ほん ....
きのうとあすが
なわとびをする
たった一つの錠剤が
スプーンでかきまぜた珈琲になって
前頭葉を支配する
誰も気づかない
この脳が砂を掴んで
やわらかなくにを潰そうと
黄 ....
おにぎりを握るてのひらで
詩を書いた
いつか
おにぎりのように
なるように
補色の皮膚にくるまれた
みずみずしい
くれない色の球体、に
浮遊する
ありふれた夕暮れ

しゃりしゃり、と
浸食される空から
ふきだす
涙形の星が、
しゃぶり尽くされて
裏葉緑青 ....
卵はひとつの理想形だ
人間もまた卵から生まれれば
これほど母親との確執に苦しむことはない
乳と血の繋がりはどんな病的恋情より
互いを束縛しその愛は動物並に遠慮がない
その点 卵は完璧だ
無 ....
            150612


カニバリズムを連想する社会
兵士は食料を持たない
現地で調達するのだ
後方支援の乏しい旧日本軍兵士は
さぞかし、苦労をしただろう
現地調達て言 ....
本当にレモンが爆発するなんてやけに激しい風が吹いてる ブリューゲルがすき

野間宏が「暗い絵」と表現した世界

描きこんだ風景を解釈する自由

それっていいかも
わたしたち、ちいさな山のちいさなおうちで、朝食のお皿を並べて二枚、三枚、並べているうちに足りなくなって、並べても並べても足りなくなって、テーブル継ぎ足しても足りなくて壁つきやぶって外に伸ばして、それで .... 痰に執着が絡んで上手く吐き出せない

過去に想いを馳せて 石橋を叩いて 渡らない

 どの様な姿が陽に当たって影は無念だったのか
 それとも地平線まで心は太平であったのか
 おぼろげな足取 ....
 
 
雨が降ってきた
それに加えて午後からは
槍まで降ってきた

雨が降ろうが
槍が降ろうが
必ず行くよ
と言っていた友人は
終に来ることはなかった

窓を開けると
代わり ....
写真になった父が 昔よりよく喋るようになった
弘法大師ゆかりの寺で ボロボロのジャンバーに
白髪を風に舞わせながら 少し笑ってピースなんかして
誰もいなくなる家を前に大丈夫、だというふうに ....
――風よ 

木の葉をさざめかせ
やさしく掻き乱し

花房にそっと触れ
散り際へと誘う

子猫の背を撫でるよう
湖の面を煌めき立たせ 

風 おお風よ!

おまえが気まぐれに ....
ぶらんこの夕べはいつもさみしくて百を数えておしまいとする

日陰にはどくだみの花みっしりとわたしは毒を愛しています

砂山に取り残されたスコップは誰かの置いた傘の中にて

夏になるほんの少 ....
人のいないオフィスで
ただ一人沢山の暗号を受け取っている
私は組織からはぐれたかのように一人働いているが
その実は組織をつなぐ要となるために
組織により深く入り込んで一人になったの ....
ラスボスを倒して7日経つけれどやけに激しい風が吹いてる
イナエさんのおすすめリスト(3780)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
液晶に、雨- Rin K自由詩18*15-6-18
粒と光- 木立 悟自由詩315-6-18
あじのめだま- あおい満 ...自由詩915-6-18
線路の左側- かんな自由詩16*15-6-18
由比ガ浜叙景- そらの珊 ...自由詩1915-6-18
『聖母ジェンマ』__卵から始まるはな詩②- ただのみ ...自由詩22*15-6-17
地下鉄に乗って- ……とあ ...自由詩8+*15-6-17
リモートコントロール- 梅昆布茶自由詩2015-6-17
紐を手繰る- Lucy自由詩20*15-6-16
弱者は死ぬしかないのか- 乱太郎自由詩10*15-6-16
黒曜日- るるりら自由詩12*15-6-16
センベロ- 鵜飼千代 ...自由詩22+*15-6-15
上司といういきもの- フユナ自由詩6+*15-6-15
たたき売り- 為平 澪自由詩715-6-15
- そらの珊 ...自由詩15*15-6-15
テトラミド- あおい満 ...自由詩415-6-14
いのり- フユナ自由詩16*15-6-13
竹婦人- 草野大悟 ...自由詩315-6-13
『エンジェルエッグ』___卵から始まるはな詩①- ただのみ ...自由詩21*15-6-13
石ころを、たべる- あおば自由詩5*15-6-12
本当にレモンが爆発するなんてやけに激しい風が吹いてる- 北大路京 ...短歌615-6-12
ブリューゲル- 梅昆布茶自由詩915-6-11
黒い山- 片野晃司自由詩11*15-6-11
右腕と左腕の狭間に- 朝焼彩茜 ...自由詩12*15-6-11
約束- たもつ自由詩2115-6-10
写真- 為平 澪自由詩715-6-10
風と共に念ず- ただのみ ...自由詩15*15-6-10
公園だより- そらの珊 ...短歌13*15-6-10
人のいないオフィス- 葉leaf自由詩315-6-10
ラスボスを倒して7日経つけれどやけに激しい風が吹いてる- 北大路京 ...短歌515-6-10

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