ひとはまっすぐ生きられない
かならず、曲がり角はやってくる
見覚えのない交差点はこわい
視界の閉ざされた曲がり角は、もっとこわい
たとえば
人生がなくても小説は書けるという
それは ....
ボケという素敵な表現力
ケという素敵な表現力
という素敵な表現力
いう素敵な表現力
う素敵な表現力
素敵な表現力
敵な表現力
な表現力
表現力 わたしをバカにし ....
君の胸の音を聴いている
瞳を閉じれば浮かんでくる
電車がゆく
車輪の音は確かなリズムを刻む
無機質でいて
それはなぜか温かい
からだじゅうに
張り巡らされた
赤い線路を
休むこと ....
いつも言葉の足りない弟は
最後の別れの時も
死に顔を見ては泣き
姉の最後の痛みを知っては泣き
もう何の組み立てもなく
嗚咽しているだけの
図体ばかりが大きな
巨大な涙袋と
なってし ....
あと一口
もう一口
全部食べてしまった
寝る前
プライドや
スキルや
イデオロギーといった
後付けアイテムで体裁を整え
何層にも膜を張って
“ ハッタリ ”という殻で
コーティングしたら
実物より
やや立派に見えた
だが
....
はずれるとき
音はただしい
はじめからはずれていた
輪は閉じていた
幾たびもはずれながら
いちいち動じている
しかしながら
はずれるとき
あきらめはもう終わっている
そし ....
いつも待っている
誰かを
何かを
右手か
左手で
いつまでも招きながら
黄色い砂埃も
べたべたしたちっちゃな手も
酷い陽射しも
すぐに味がしなくなる憐れみも
....
遠い星までの距離を
なにをもって測ろうか
言葉でそれとも
夜の波の響きで
それともきみの血流の速さで
こころの深さはなにで測るの
ざわめく風のおとでそれとも
過ぎた日の木漏れ日の ....
山と山のそのむこうの谷をも なだらかに結んでいるのは、
空の高さと広さに あかるい ふしまわし
カッコー ( の声がするたびに わたしのこころに 閉じカッコをつけてみる
カッコー ....
人間がやっていることはすべてただの苦しみなのか。
人間は、ほかの生き物に 食べられたり殺されたりすることが
あまり無いからなのか ときより悪魔について考える。
いやいや
我々だっ ....
かつて
そこにあった川は
幸せが
そっと残酷に
空へ蒸発していくように
今はもうない
砂漠の砂の中で
生き延びた
いっぴきの魚が
乾いた瞳で
夜空を見上げている
流れ星がひと ....
あなたの椅子が何も話さず
ただ黙って眠っているように見えるとき
切り分けられ 椀に盛られた柿の実だけが
退屈な話を静かに続けていた
昨夜
あなたは ....
{引用=
糸を吐く
吐きつづける
安住する繭を紡ぐためでなく、
時は、裸形の
いつわることのない
思秋期
無月の夜に さまよい
眠りにたゆむ街に
星の つつし ....
花ぬすびとをききながら流れるのは一粒の涙
移ろうことが許せなくて怖かったあの頃
あの頃と同じ一粒
*YouTube 花ぬすびと (明日香)
http://www ....
黒々と枝を拡げる
はだかの木
ひび割れた空の奥に
狼の貌が現れる
雲を裂いて
鋭く光る眼
夕陽を噛み砕く牙
ピアノ線に触れ
切れ切れに落ちる
はだかの言葉
燃えるランプ ....
手遅れのベルが鳴っている
露天風呂に
注がれる湯を見ていた
細い竹筒を通って
それは 私のいる場所へと
落ちてくる
水面に触れるだけで
透明だった湯は
たちどころに白く濁る
真暗闇なのに
ほのかに明 ....
死ぬまで内緒を忘れている
最初は無骨で地味で
冴えない靴だと思った
わずかに白い糸の縫製が丁寧であること
靴紐の穴が登山靴風に六角の鋲が打ってあってしっかりした外観なのと
黒地に白いソールのアクセントのバランスがよ ....
手紙を書こう
愛する人へ向けて
触れる度に傷つけるような
そんな接し方しか
出来なくても
言葉と空間を介してなら
紙というフィルターを通してなら
少しは、あ ....
土に還れない落ち葉は
一枚一枚
くっきりと形をとどめたまま
美しい標本のように
雨の舗道に貼りついて
幾度も
踏みしだかれ
やがて晴れた日の
風に
粉末となって
舞い上がる
べランダで
煙草を燻らせながら
空を見上げれば
今夜は
冬の星座が良く見える
風も無く
空気が澄んでいるようだ
道に迷ったら
ポラリスを探せばいいと
昔のドラマで言っていたことを ....
宵のうみ
ひとり佇みけむりを吐く
存在に意味があるとか
たとえば価値があるとか
そういう
思考に飽きた
水面につきが流れている
清らなかぜとともに
ああ
じゆうだ ....
責めてはいけない
倦怠を背負い 今だけと 撫でる明るめの色の心を
いつだって 怠けている訳ではない
責めてはいけない
私は今もミジンマジメで 責めようと時間を行き来する
....
雨が窓を叩いてる
風が夜をかきまぜている
遠いところから
押し寄せてくる
怖い記憶に
目を覚ます
かたわらに幼子がいた頃は
守らねばという決意が
こんな時私の背筋を支え
薄闇 ....
今朝は 静かな死
白樺の裸体 霧の
視神経 晩秋の匂い
目減りした水瓶に落とす
賽の河原の石のくぐもり
陽射しはそっと後ずさる
魂のほころびから
黄泉の調べ ....
海を見ていた。
赤い靴を履いた仏蘭西人形は何処へ行ってしまったのだろう。
微かに横浜の匂いのするあの応接間に
何か大事なものを落としてきてしまったような気がする。
それは心?愛?
自 ....
胃袋に詰めこむものは
ジャンクであれば、あるほどいい
水分ですべてを流しこめば
震える指をのどの奥に
便器にかじりつくように
ひざまずいて
溢れ出る吐瀉物に
願いを託す
ちいさくな ....
今はもう(夢の時間)になった、十代の頃。
ほんとうの道を、求めていた。
敷かれたレールを、嫌がった。
思えばずいぶん、{ルビ躓=つまづ}いた。
人並に苦汁を飲み、辛酸も舐め ....
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