twitter
葉leaf

土から生まれ 土の共同体に生き 土に収斂していった 両親の土壌から生まれ 土を耕し植物を育て 植物を食べたり売ったりして生活した 火もまた土から立ち昇り 水もまた土へと還っていった 土へと収斂しないもの 例えば都市は 僕を沢山の鏡に映した 例えば空は 僕に知らない歌を教えてくれた

僕は宇宙の中心で 宇宙を満たす多彩な感情を逐一丁寧に断っていた 孤独は柔らかく僕は僕の胎内で眠っていた 中心性に飽きて辺境や複数の場所に同時存在したくて 多彩な感情に応答し自ら感情を振りまいた そうして沢山傷つけ合ったがその傷は美しい模様で 模様を更新するため感情の中を生き続ける

柿の木に若芽が芽吹いて緑の霞のようだ 春の鳥の声に包まれながら やがて葉は緑の濃さを増し大きさを増し 夏の日差しに陰を作る そして小さな緑の実が風に揺すられ やがて葉は落ち橙の実は大きく熟し カラスたちが舞い そんな巡りの大きな速度に接して 僕は柿と束になり歩いてきた道を振り返る

宇宙が僕を置き去りにして過ぎ去っていく 幼年時代も少年時代も青春も高速で僕をすり抜けていく 人々も社会も自然も言葉も僕を過ぎ去っていく そして最後に僕が残ったかと思えば 僕もまた過ぎ去っていって 残ったこの穴のようなもの無のようなもの 疑問符と感嘆符が冷たい風を一身に浴びている


自由詩 twitter Copyright 葉leaf 2013-05-11 07:56:15
notebook Home 戻る