むくろ、と
umineko

むくろと暮らしたことがある
たった数日

むくろは
案外しずかで
ちょうど
子供がいたずらに
掛け布団の下 座布団を仕込み
あたかも眠ったふりをした
そんなふうな

かつて肉体だったもの
かつて父だった人
そんなむくろのそばで
私たちは
何度も予定を反芻する

迎えにくるバス
折り詰めの数
家紋
かもん?
そんなのあったっけ?
あるんだよ日本中に
父さんなら知ってるかもね
たぶん
たぶんね


むくろと眠った
むくろは座布団みたいだ
むくろは案外しずかで
私は
むしろ熟睡した

点滴もない
動き回るワゴンの音も
なにもない
星も見えない

なんてゆうか
落とし前をつけにいく
高校生の気分です
体育館のうら
とかね



私は生きていく
あなたの知らない
世界に降りて

むくろと暮らしたことがある
たった数日




自由詩 むくろ、と Copyright umineko 2014-03-01 22:48:48
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