すべてのおすすめ
久々に故郷に帰った
育った町は少しだけ表情を変えていて
寂れるどころか
新しい店も増えていた
実家の母は
やっぱり少しイカれていて
うまく説明できないけれど
やっぱり不快だった
....
A
趣旨がよくわからない格好をしたあなたは
私の家の前を通り過ぎてしまって
罰が悪そうなのと恨めしいのがまざったような顔で
ちょっと笑いながらこっちを見てたのを覚えてる
慣れてないのがバ ....
ポケットティッシュに
詩を印刷して配ったらいい
一枚一枚にでも
広告の裏紙部分だけにでも
やる気ないときは
通りすがりの一人一人に
二ついっぺんに無言で突き出したりね
それでそれもら ....
私は卵について語りたい。だが卵について語ろうとするとき、私は古傷をえぐられるような心の痛みを感じ、私の心の流れは、卵という言葉から割れ落ちた無数の破片によって堰き止められる。私はこの透明で広々とした ....
おいしいと評判のケーキ屋さんは
有精卵をつかっているという噂だった
怪物みたいな冷蔵庫を開けると
そこには透き通るような殻をした
まだ温かい卵が並んでいるのだと
早朝
こっそりケーキ屋 ....
夜のしずかなさんごの
いきをひそめる宵闇夜
青ぐろい街の空を
マンタレイが滑空するころ
天体望遠鏡をのぞきこんでいた
ちいさな天文学者は
ベランダで眠りこけて
あのちいさな星 ....
降り積もるものの中に
水色を混ぜよう
降り積もるものの中に
水色に混ざろう
白と黒の細かげな象りたちの中に
カラフルなばかりの色たちの中に
降り続けるものたちの中に
水色 ....
しおからい空気が鼻腔をくすぐるので
目覚める
茶色く変色しているだろうごわごわの髪に
手をやりながら起き上がる
腰が痛い
かつての習慣を再現してもほんとに意味がないなと
ひとりごちてそれで ....
いだいてくれていた
ちからがぬけていく
だれのまえにもでない
ねいろで
いとしさで
ふさいでいてくれていた
もういいよ
めをかくしてくれていた
いじのわるいてが
なきむしのように ....
さかなやさんがやさがししてる
やさしいおさしみつくるひと
やさいやさんがめさいやうたう
いざやいざなえやそのくに
ささらえおとこはきにさわる
ささゆりささやくささめごと
ささら ....
はさみ
兵藤ゆきより
大きなはさみを
買う
ポケットには入らないので
背負って
帰る
兵藤ゆきですら
背負ったことないのに
道が市街地に向かって
少し車で混んでる
子供の頃
兵 ....
地図はいつでも正確だ
何分の一という尺度から道がどのように走ってその脇にどんな建物があるのか
ことこまかに教えてくれる
ぼくはそこに自分の生活を書き込んでいく
家を基点にして、小林さんの勤めて ....
クジラは人間の
小便が好きだった
防波堤の影に隠れて
小便をする人間を見つけては
そおっと近づいて
その慎ましやかな水の流れを
うっとりと眺めた
もしあそこに
小さな虹が架かったら ....
滲んだ肌に香水が匂う、
視覚からこぼれた淡い影たちが
発せられない声とともに
音もなく、永遠へとむかう
冷たい未来の交じった
柔らかな過去の感触がまだある
つい今しがたも、
昨日も、 ....
足から入り腕を出すと
ダンボールのほかは空ばかりで
おれは首のばし
下をのぞきこんでも
からり晴れわたり風鳴る底なしの
しまった
あれも連れてくればよかったと
ポケットの小瓶 ....
月明かりと
雪明りに照らし出された風景は
ひっそりとしていて
思わず息をひそめてしまう
思い切って深呼吸すると
冷たく澄んだ夜が
きゅうっと体に入ってくる
そして私は夜と同化する
これ ....
隣の部屋に 弟と 女の影が吸い込まれ
床がきしむ音がする 蛍光灯の紐が揺れる
少し大きいボリュームで B.G.Mをかけてれば
話しは しづらいだろう マスキングのつもりかな
あの ....
八月が終わらなければいいと
願っていた
そのときわたしは
小学五年生で
朝顔を上手に育てることが出来なかった
そして
支柱にぴよぴよと巻き付いた
枯れた朝顔に
まだ毎朝ぼんやりと水 ....
(青い地球、その――
アーサー・C・クラーク、
君の書いた「幼年期の終り」だが
ヤベー、、の書いちまったな。
元ネタはCIAか? NSAか? あん?
――いや。たぶん ....
僕がヤツカハギに出会ったのは
まだ子供のころだった
太陽がまだ高い時間に
あぜ道で一人になったりすると
山の向こうにぽよんと現れるなんだか大きいやつだ
1000メートルくらいある山なのに ....
潮のせいでくちびるの端にこびりついた砂を噛む
違和感
そのついでに日記にも砂をかませる
八月はつめたい
指先で這った波の曲線は
私の中では体温を持たない
数 ....
バックミラーの中
満月には少し足りない月が
どこまでもどこまでも
追いかけてきた
ヘッドライトの灯りの中
小さな白い子猫が
おびえた顔で行き過ぎて
外灯の影を
....
どうしても顔も名前も思い出せない人がいる。感覚だけが確かで、ただ単に興味が有ったという感覚だけが確かで。
それは片思いをしていたあの隣のクラスの子だったような。ちょっとだけ付き合ってキスも出 ....
犬は閉ざされた窓から外を見上げ
うごめく棕櫚の森に耳をすませていた
そこに勝手な押しつけや創造はなく
素直な発見に頷くまで
あるいは発見がないと悟るまで
心を離すことはないのだろう
犬 ....
死んだ人々の霊が
自然の事物に宿るように
僕に忘れられたものたちは
自然の事物となるのかもしれない
僕が忘れてしまった
初めてプールに入ったときの記憶は
山道の苔となって
ひっそりと生き ....
おそうめんを食べていると
だんだん体が軽くなってゆくようだ
でも夏はあまり高く飛べない
空気がにごっているからだ
わたしはお座布団の上で正座したまま
少し浮いて
おそうめん ....
数多のあなたから
発信されることばに
わたしは固くまぶたを閉じる
それらを愛さないために
西側の、部屋
窓に切り取られた風景のなかで
遠く稜線がたそがれてゆく
そう
書いたときには ....
太陽から地球まで
宇宙天気は穏やかな状態が続いています
太陽風は次第に速度を下げ320km/秒の低速
磁場強度も2〜3nTと弱めです
昨日上昇していた太陽風の密度は
最大で10個/c ....
マンホールを開けて
すっぽと中に入った
地球を抜けて
ずっと抜けて
だんだん熱くなって
手足が溶けて
胴体と頭が
どろどろになって
固まって
真っ黒になった ....
君を連れていこう
この 干上げられてゆく都会の
最後の楽園へ
マンションに包囲されながら
奇跡のように生き残った
ちいさな田園のそばへ
君を連れていこう
この 干上げられてゆく都会の ....
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