すべてのおすすめ
卵が呼吸している
産声を内に潜めながら
類ない曲線で肋を明るく丸めて
{ルビ縁=ふち}を暗く発信し
ゆるやかな衝撃で交信するので
次元はゆらぎ鳴いている
重ねてきた年齢に
皺を深く刻 ....
午後の輪郭をなぞる
コーヒーの湯気は婀娜っぽい
ブラックはもう飲めない
この頃は結婚式に呼ばれてばかりだから
フレッシュを二つ入注ぐ
深いマグカップに沈み混んで
滑って 昇ってくるのを ....
とても疲れていて目の前には男の子が5人
全員同じ顔をしていて
おしゃべりも大差ない
違いは
セックスのテクニックだけ
「上手」
「普通」
「下手」
「刺激的」
「つまらない」
ただ ....
突風で
ぱたり
ぱたり、と
素敵なスキップが
消えてゆく、その頃
何事もなかったかのように
夕刻が
やがて、夜であり
冬であるなら
素直でいることはとても難しくて ....
やわらかな陽射しに顔を照らされて
ふと立ちどまる
それはあの人の腕の中と同じ温もりで
ぽっかりと空いた胸の空洞に気づく
子供みたいに駄々をこねて
一夜だけでいいからと縋ったの ....
パッケージが
破かれてゆく
微かな期待に
苛立った指で
どこにも
何も
入っていない
ということが
からだに向かって開け放たれ
明らかになっても
明らか ....
あなたの感情の質量が
空間を歪ませて
多くのものを枯らせてしまうというのなら
あなたはただ一輪 そこにある
泥の水に咲いた花
世界が滅びても そこに 可憐に
周りを囲む者たちは ....
ひとつ
数えている間
雨の中を子どもが走って
ひとつ
明かりがともると
夕餉をかこむ
その間取調室で
自白がひとつ
強要されている
息をしない人の形が凍え ....
青のお墓で悲しむことはありません
白の立ち姿を遠目で映します
赤のお空で産声は響きます
黒の後ろ姿を光で焼きつけてください
あなたのいた砂の層が
うららかに音を奏でて
....
朝の日向ぼっこは
野生のアサナ
日光から 大気から
吸引するプラナが
主に会陰部に集中して竈の火がおこる
だが それは決して欲情ではなく
深いサマーディでもあるのだ
たとえ
彼のまぶた ....
それは
頑なな蕾
慈しみの雨にも
きららの陽射しにも
咲かずにあり
ひっそりと
花弁の色を思案している
いつかきみの唇 触れて
眠れる森の姫のごと
ゆっくり ....
準備運動は必要だよね
途中で足がつらないように
君と地球を泳ぎきるため
助走はやっぱり必要だよね
途中で失速しないように
君と地球を飛び越えるため
怖いときは目を瞑ればいい
....
僕らは 一つの 曲がりくねった 鼻
尖り 早朝の 太陽に照らされた
老人の ショーツを 見ては
委託販売を 申し込み
狐の 和尚の 尻尾を 抱いては
あんなに 毛皮は 高いのに
呟く ふり ....
何事にも関わらず
こだわっていない、と言うのは嘘だ
それは自分を偽っている
それが真ならば、怒りと言う感情はありえないし
その怒りもその実歪曲された性欲だ
中学のころ
教科書の中に出てきた
ナンシーに会いたい
タケシの家にホームステイで来ただけなのに
のこのこ学校までついてきて
わざわざ英語を教えてくれたナンシー
ナンシーに会いた ....
怪獣ギロンが現れた
地球防衛軍にはさっそく怪獣ギロン対策本部が設けられ
どうすれば怪獣ギロンを倒すことができるのか
各国代表によって様々な議論が取り交わされた
とにかく爆弾やミサイルの類を ....
フリマの一番隅の方で
いなくなったままの父が
お店を出していた
犬がいっしょにいた
名前をペロといった
父が好んでつけそうな名だった
お店には小さな靴が一足
子供のころ私が履いて ....
胎内より産まれ出るとき 人は両の掌を握り締める
これからの生を掌から逃さぬように
そして命絶えるときも 人は両の掌を握り締める
これまでの生き様を掌から逃さぬように
これまでの記憶を掌から溢さ ....
毎日 違う朝なのに
ありきたりと
つづられる
こいこがれて うごかない
待つだけの 人は さておいて
違うことを みつけるめは
たやすくないようで
単純で
今 生まれた
....
幸せな私はなぜ続いてくれないのだろう
真剣に人を愛する事はなぜ
流れてゆく星のようなのだろう
愛する事が私にも出来ると
自信をくれた貴方と
いつも笑っていくはずだったのよ
慣れない私の手を ....
白いノートに
木を三つ書いたら
それが森になりました
空を支えるように
枝の真似をして手を広げれば
わたしもまるで木のようでしたが
何かが足りない気がして
淋しくなりました
....
目を閉じる
瞼を、それは落ちていくのかもしれない
いつもより低い世界で目を覚ます
見上げることしか出来ない
そこから始まる一日が
そこにある
青空に
誰かが口笛を吹く
開いた本 ....
北鎌倉・東慶寺の敷地内の喫茶店
外には店を囲む竹垣が見えるガラスの壁
に寄りかかりコーヒーをすすっていた
顔を上げると
店内を仕切るガラスの壁の向こうに透けて
カウンターの中に一人の妖精が{ ....
「孤独」
僕は孤独に気付いていない様で、
他人の言う孤独とは違う所について孤独に気付いており、
しかし僕が気付いていない所でやはり僕はしみったれた孤独なのだろう
枯葉の様な孤独 ....
まだ言ってなかったかもしれないけど
きいてなかったんなら覚えておいてくれ
共感はいらない
そんなもんいらねー
私の言葉なんか
ぶっとばしてくれ
ティッシュがわりに鼻かんでうっちゃってくれ
....
投函された吾郎ちゃんはポストの臭さに思わずおならをし、それに首をくくっていたお母さんが、三千年前の童話を読んだので、妹のお花は丁稚奉公の旅に出て、同じように毒風呂に入って
いたお父さんの真似をしたペ ....
俺の死体が落ちていた
パンツの中だった
パンツは汚れていた
パンツは洗われてなかった
おまえによって
おまえは植木のひとつひとつに
水をやり
それぞれに優しく声をかける
そ ....
君の知らない深い悲しみを
僕は背負って生きている
そして君も僕の知らない過去の残骸に
足をとられては涙を流す
この街のプラタナスも深まる秋の気配に
すっかり色づき始めたよね
....
小さくて
可愛くて
甘すぎて
少しの熱で
すぐ熔ける
星の駄菓子
まるで
恋心
今宵の涙を
緩く固めて
鋭い三日月 ....
くりくり
くるくると透明が
世界を構築している夜でした
星空が邪険に
その様子を見下ろしていて
「真知子」
と呼ぶ声がしましたが
わたしの名前は真知子ではありませんでした
もう ....
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