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静寂に耳を塞いで
朝も晩もない空の色が
溶ける頃
揺らぐことに絶望した舟の上
その死んだ櫂を捨てるのよ
そうして呪いの手で
紡ぎ続ける水辺の生活
もう
進むことはおろか
水辺 ....
摩天楼に乱反射する西日
お堀のみなもを揺らす
ビイドロの巨大なレゴの間に見える空
暮れなずむその時
夕焼け雲が小さな感傷のベルを押す
あの子の泣きべそ顔のほっぺは茜雲
見送り駅 ....
十二番目で
いつも言葉を間違えてしまう君は
その次の交差点では
左折ばかりを繰り返している
東京
狭い夕暮れで
夢から覚めたばかりの抜け落ちた体を
ついでのような角度でドアの隙間に潜り込 ....
チョコレート
チョコレートの包みを
あけたのは
退屈なカエルが
土の中から這い出て
鳴いたから
スカーフ
ほめたら{ルビ白髪=しらが}まじりの
老婆がくれた
....
(〜イキル事など オシマイダ〜)
(〜イキル事など オシマイダ〜)
己の{ルビ深淵=しんえん}に 浮かぶ銀河は次元の彼方
独りのものには
花火の音で事たりる
....
良心の呵責を感じた看護婦が、昨日、自分の祖父に謝罪文を書いたバーカウンター。
130席用意しているけど、130人以上の予約を喜んで受けてしまう店長。
ご自慢の料理は?ときかれて、妻の自慢料理を答え ....
東京、きみは振り向いて
見過ごすことと忘れることに慣れず
クラップ、手を、たたいて
(光のように)
歩道橋、線になって逃げていく車の
ひとつひとつにああ、ぼくと同じひとが乗っていると ....
勝手口を開けると柿の木が青空にそびえていた
白い入道雲がゆっくりと動いていた
戸を開け放ち
時折それを見上げながらわたしはササゲの筋を取る
ざるにはササゲが青々と積まれて行く
指先にササゲの ....
哀しげに咲く花の花びらが散っていく
可哀草の花びらが散って、葉だけ風になびいて・・・。
指で触れただけで、散ってしまう可哀草。
あまりにも弱くて「カワイソウ」と人々に言われその名がついた。
風 ....
ボク
ボクは、僕といわない。
それは、シモベとよむから。
一羽の蝶が飛んでるよ
あなたとわたし
わたしは、あなたから生れた。
そして、母も父も
わたしにはいない ....
あなたが あのこと キス する あいだ
とおい むかしに たびをして いた
おとが すこし
きこえにくかった あのころ
まいくに きょうみが でたのは
そのこ ....
しらない をおいかけたら
からかうように空をすべった
梅雨のあいまの明るい風に
しらない しらないと
はしって逃げた
いつだって
しらない は遠く
つかめそうな距離でも
生卵のよう ....
燃えない者 月曜日
エンジニアとビジネスマンの
区別は不要
新聞紙 火曜日
出たがる者とたたかれる者に
分けること
ダンボール 水曜日
ハコ乗りする息子のクルマに
箱入り娘を乗 ....
影は何回も東の方向へ、ぼくとさよならをしたかったはずなんだ。
地面に転がったいくつものものたち、ごみばこ、人間、薄紅色の携帯電話、
全てが…なんか、倒錯している世界、素晴らしい世界。は、
フ ....
夜が暮れ朝が明けていく
ふらふらとゆれる車の中
わたしはひたすらねむりつづける
トリコロールがしおれた夜に
大好きなあのひとがわらう夢をみた
かなしいうたの終わりは声にすらならない
し ....
叫びが聞きたい
地上のどの声にも似ていない
見えない波長の叫びを
午前零時
どこかで叫びがあがった
均された街の
よく似た通りと通りのあいだのどこかで
どこかで叫びがあがった
....
電灯に 虫が群がる
暗闇を震わせて
光に酔ったように身を惑わせる
ぶつかり合って 羽を散らし
ひとつ
ひとつ
闇に落ちていく
ああ
あれは ヒト だ
....
歌舞伎町のプロントで
わたしは人を待っていた
雨が降っていた
隣に一人の男が座っていた
男は真っ青な顔をして
口をつぐんでいた
嫌だなあこいつ吐くんじゃないか
ふとそう思った
湿り気を ....
どのくらいの広さで降っている雨なのか
心は探りに行く
夜に出てゆく
けれど心は気持ちでしかないので
体の外のことは何も感じられない
雨の立てる匂いの遠さと近さ
水の滞空時間
....
夏の情熱の裏側に
すらっと伸びた少年少女の
腕がつかみそこねた{ルビ目差=まなざし}を
冷たく崩れてゆく陽炎
囚われた脈動は
透けていく意識となって
{ルビ中性花=ちゅうせいか}の宙吊 ....
たおれるって
あきらめることでは なくて
おきあがれない こと
かよわなくなった こころ
暗く 憎しみばかりつのる時
灯は しずかに 病みを照らして
今は 夜
ただ ....
私たちの存在に
もはや
無理があるのだろうか
この星の裏側で
鳴り止まぬサイレン
それは
夜をつたってこちらまで 来る
愛は
守るためでなく
殺めるためにそこにある、
....
わたし
椿の紅のビロウドのような
柔らかさに触れたくて
はなびらに少し
指先を這わせただけでした
椿は 紅を舞わせて地へと落ち
華の美しさを ....
水無月の海にあじさい色の傘の花
哀しみの膜に包まれていく予感
この哀しみの粒も海に飲み干され
輪廻する永遠の中に浮遊するようで
ゆ
ら
ゆ
ら
ゆ
....
薄闇がやってきて
あなたを連れてきた
あなたはわたしを連れて
小さな部屋へ行った
小さなランプを灯し
小さなラジオのスイッチを入れると
ピッチの少しずれた音楽が流れて
わたしは
あなた ....
もともと性に合わないんだ
優しくされるのも
穏やかになるのも
まんざらではなかったけれど
もともと性に合わないんだ
じっと見つめてごらん
鉄塔のもっと上
じっと聞 ....
舐めて治す
生で食べる
裸だ
生殖のために交尾する
こどもを育てる
親の顔は知らない
生きるために殺す
悩まない
日陰で眠る
明け方の薄い空の下で
やわらかく湿った地面の上で
何か、いいものを見つけましたか
たとえばきれいな色の小石
たとえばいい匂いのする野草
星屑のなめらかさ、夢で出会っただれか
その眼 ....
かなしみもしあわせも似たようなもんだ
こころって難しいもんだ
バイトの連絡がはいった
面倒だけどはいといわなきゃならない
ミニスカートも好きじゃない
それでも渡されたら足を通すしかない
....
土曜日の夜ダンスフロアには見慣れた常連の男の子
何をやっている子なのかは知らないそんなことにはあまり興味ない
ビール片手にしばらく眺めてる今夜はどの子と遊ぼうかとぼんやり考える
一夜の恋人を探し ....
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