すべてのおすすめ
もう一度、始まるのです
そう言って眠り落ちる人
危なくはないですか
休みたくは、ないですか
瞼の裏側の静かな暗闇で
一人で旅に出るそうです
朝までには戻るから、と
その人は
積 ....
朝のやかん
なぞって
もう一度寝る
エビの夢を
見ながら
+
階段
すべてが
階段
そんな
建物
+
夕刊の
「帰」という字を
黄色く
塗っていく ....
玄関の隅に
白い蝶が 逝っている
ちりとりに さらい
外へ
いつもと 変わらぬ
朝が はじまる
仏前へ 供えるご飯
今日一日の無事を祈り
自分も 食して
....
ふかみどり
ふかみどり
言葉を手わたし
笑むみどり
腕の輪まるく
伝うしずく
胸をすぎる
こがねの尾
風のなかをふり向けば
たくさんの声が消えてゆく
....
ドビュッシーを聴く
なんとなくの気分で
なんとなくの夜
泳いでいると ちくり
ふいに
音楽が死んだらきっとかなしい
なんておもってしまって 私
父が
美意識の問題だね
といっ ....
抜き打ちに
昼が訪れて
僕は
誰にともなく
やあどうもというが
答えは空っぽの家に
自転車のブレーキの音が
キュウキー響くだけで
僕はためいきをひとつついた
昼はおとなしくしてい ....
あの日も汗を見ていたのは
水色のユニフォームと白い靴
時の詰まったタイムカードに
行儀よく刻まれた青紫色の印字
晴れた夏にタオルを投げ捨て
雪の日も半袖は変わらず
(腰に装備し ....
竹の林の向こうから
銀の鈴の音
リン シャラリン
夜露は
月の輪郭を
ゆるりとその身に吸い込んだ
川霧晴れて すすきが並ぶ
トン カラリン
{ルビ独楽 ....
明日よ
おまえのことがわからなくて
今夜も僕は眠ることができない
現実を消化するのが僕の仕事だ
逃げ出さずに立ち向かうのが僕の務めだ
明日よ
なのにおまえは夢や希望だとか
しがみ ....
I'm going to look for the lost sheep
Leaving the other ninety-nine
Don't you wait for me sitting u ....
取り締まることのできない光の減少が
駅のホームに加算されていき
歩みと停止を繰り返す人影を貶める
遠近法を失い胸まで迫ってくる欠落に喘ぐのだ
やがて満たされる黒の描写の内 ....
わたしが詩を書かなくなったとき
どんな空が
わたしを迎えてくれるだろう
わたしが詩を書かなくなったとき
すべてのことばは
わたしを許してくれるだろうか
わたしが
終 ....
マーガレット・ハウエルの ブーツを履く
これでも 汚い道を避けて 歩いてきた つもり だ
たとえば 神宮の森に沈む
真っ赤な 夕陽を 見ていると
窮屈な あたしが 泣けてくる
....
砂時計が流すことのない一粒の砂
悲しみを知るか
桜を手折る時、残された枝の揺らぎ
寂しさを知るか
発電と称して進むことのないプロペラの空回り
孤独を知るか
鍛えられていく鉄塊の ....
光と水と二酸化炭素から
酸素と糖をつくりだす
ずっと前に教わった
植物は
自分が呼吸するための酸素と
成長するためのエネルギーを
自分でつくることができる
僕にもできるかな
....
ポチが走ってくる
ポチが尻尾を振りながら走ってくる
ポチが全速力で尻尾を振りながら走ってくる
ポチがよだれを垂らしながら全速力で尻尾を振りながら走ってくる
ポチが乳母車を弾き飛 ....
重い体をひきずって
約束どおり
旅にでよう
穏やかな風がふき
暖かな日差しを浴びて
一人で旅にでよう
しがらみを全部
ごみ箱に捨てて
遠くまで飛べる翼をつ ....
もし僕がDJだったら
もっとカオルのことを愛せたのに
整理していた父の荷物の中に
見慣れた筆跡で
そう書かれた紙切れを見つけた
母は屈み込んで
机の下にある二箱目のダンボー ....
夜の九時は風呂のにおいがする
できちゃった子供を風呂に入れる父
かこん
ざぱん
かこん
かこん
若い母、太った
高校のときより太った
写真をみてる
テレ ....
平和を退屈とよび
退屈だから死にたくなり
死ぬかわりにとりあえず眠って
眠っていたら夢をみたので
夢のつづきを現実にみたくて
現実のなかで夢という言葉をひらがなでつぶやいた
ゆめ
....
三匹のすもも
好かれて切ないすねすもも。
好けば嬉しやつややかすもも。
好きでうるおうおぼこのすもも。
それ、いちにのさん
恋で潰れた割れすももおっう
恋であ ....
水曜日の唄
色とりどりのビーダマが
ぱらぱらと
空からガラスの水曜日
みんみんぜみのたましいが
ころころと
みんな飴玉水曜日
とんぼが落としたサングラス
きらきらと ....
シロナガスクジラの一家が
泳ぎ回れる程
頭の中は巨大だった
目の前は
人いきれで
ぎゅうぎゅうの
すし詰め状態
心が
あっぷあっぷで
溺れる前に
お風呂を
すみれ色で ....
夢見てたのね
なんて言えるうちは幸せ
でも
不幸の始まりのとき
対策を考えておくことは
必要です
それを
計算高い
とは
言いません
追うように
追われるように
獣たちが駆け抜けていった
土手の草むら
ことし祖母は
言葉をいっぱい失ったので
体も半分になってしまったと言う
秋になって
いちめん ....
くりかえし
くりかえし
くりかえし
片栗粉
そんな宇宙
日常茶飯事だ
時は無常にも過ぎてゆきますゆえ
おおきな流れを知って
現在地の私を知らなくてはなりません
息を静かにして
痛みの在りか
涙の在りか
かなしみの在りか
在りか
ひとときの微笑
つた ....
高い夜
低い夜
地が空へ向かう夜
遠すぎる火をあおぎながら
あまりにも廃墟に近づきすぎていた
雨が緑を照らしていた
小さな葉が群がり
石と石をつなぐ力にしがみ ....
わたしの血は
青く青く沸騰し
ゆらめきながら立ちのぼり
はてしなく透きとおった
青をふらせた
しなだれた渇望のからだは
ゆく先のしれないおもいと
めまいの予感を内包していた
いよい ....
四肢を垂らし立ち尽くせば
卵は割られず何も加熱されず
窓硝子の北向け北に閉じ込められ
朝は有耶無耶のまま凝固した
無臭のお皿だけが、仄白い円形の
仄白い、せめても ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89