レタス

落剝した姿で
八十八箇所を巡り
たどり着いた庵で
小さな蝋燭を売る

食事も採らず
墓場に晒された髑髏を盃に
夜中には安酒を呷り

浮かんでくる呻きに驚き
萎縮する
四文字熟語に苛まれ
やがて言葉を失ってしまうのは明らかだ

巡礼たちは頬笑みながら
往く人もあり
包帯に巻かれて
ずるずると喘ぎながら往く人もある

オレは小さな蝋燭を売る
そんなことさえ
明日の夢を見たくて
安酒のせいで痛む頭を抱えながら
言葉の魂魄にさいなまれるのだ

薄っぺらい布団を抱き締めながら
泣きわめき
明日も同じ道を歩く


自由詩Copyright レタス 2016-12-20 22:28:07
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