潤み
水菜

そっと繋がった糸を
切れないようによりあつめて

糸に染みこませた泪は

温かみがあって、ひどくくすぐったかったよ

綺麗に端をそろえて
君に手渡した絹糸のようにきらきらしたそれが

ひどく甘い気がして

くちに含んでみたけれど

それは、ミルクキャンディみたいなわかりやすい甘みじゃなかったから

癇癪をおこして、ピアノに指をのせた

ピアノの音なら、君にわかりやすく伝えられそうな気がして

指から嘘みたいに甘い音が響いて

驚いて鍵盤から指を離す

指先がまるでやけたみたいにジンとしていて

ひどく混乱する

それは、温かい潤みみたいな

喩えるなら泣き出したハチミツ

観葉植物のよくしらない葉を
そっとふれてみて
お日さまの気持ちを考えてみたけど

葉を囓ったんだろう毛虫の気持ちしかわからなかった

心の栄養みたいな

だから甘みなのかもしれなかったよ

甘い潤みのハチミツ



自由詩 潤み Copyright 水菜 2016-12-19 14:59:49
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