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ここは空がまどろむ地上
光の色が硬く移ろっていく
荒れ地は碁盤の目に整地され
種々の国々に植民されている
心を殴打する音律が激しく
地が震える音響が小脳を駆け巡る
特急電車でさえ自 ....
私は聴衆の前で演説をしていた。党の偉大さについて語ると聴衆は喝采を送って来た。党の綱領に従順であれと説くと聴衆は感激した。だが私の言いたいことはそれだけではない。私はもっと人間の本質について語 .... わずかな差分ずつ傷ついては癒されてきたものが、それでも癒し切れずに細かな傷として残る。労働者の一週間という球体めいたものはいつしか傷だらけになり、傷が痛んだり傷から出血したりしてくる。金曜日、労働者が .... いまだ存在しない土地へと僕らは向かっていた。その土地の存在を証し立てるのではなく、その土地を僕らが新しく構成するために。電車は鉄化した巨大な鳥のように、地面すれすれの低空を飛ぶ。僕らはいつも二人で ....  詩は難しい、わからない、という声をよく聞きます。ところが、詩というものはそもそもわかる必要がないものです。わかることよりも感じることの方が大事です。ことばというものは意味を伝えるだけのものではなく、 .... 骨格を取りまとめる不動の骨格に君は宿っている。君の読む本の文字は四方八方に飛び散り、喫茶店の壁の地味な装飾となった。君の微笑みは複雑な言語で、難解な文法と神秘的な意味を持っている。喫茶店から喫茶店 .... 激しい雨に降り込まれて
部屋の中でひっそり灯りをともす
君が生まれたときもこんな雨だったか
僕が死ぬときもこんな雨なのか
雨水は生きていて
都市に自然の生命を注ぎ続ける
君は雨が好きか
 ....
愛はみずうみ、湖底の起伏をすみずみまで満たすもの。欠落やひび、果てのない深淵さえも無限に満たしていく。魚たちは浅く深く光を伝達し、水草は緑色に微笑んでいる。僕は僕という風景の連なりを君に映写した。 .... 契約を結んでいく人々の群れに
時計の針は刻々と告げる
その日一日歩いていく泥濘の深さを
法は空を舞う繊細な鳥のよう
大地に降り立つことなく空想を奏でている
この日本という原始的な帝国 ....
窓を開けるんだ
向かいのマンションには
規則正しく電灯がついている
屋根と受信アンテナが見える
国道沿いには
リサイクルショップの看板があり
車両の通行する音が波打つ
すべてが小 ....
夕陽を飲み干した
一本の裸木のように
男は街路を歩いている
詩が叙情であるなら
詩が青春であるなら
男の中でとっくに詩は死んだ
男は散文的な社会を
散文的な哲学を
老いと成熟とを
文 ....
労働というものは
自然界のように複雑で
神秘に満ちている
今日俺は法務省人権相談窓口に行って
パワハラの件など相談してきた
ところが法務省というものも
労働と等しく複雑で
不可思 ....
ひとつの憎しみが消えた朝
俺は鎧をひとつ脱ぎ捨てた
鎧はきれいな音を立てて
軽やかな布に変わっていった
こうやって一つずつ
背負ってきたものに別れを告げる
新しく背負う重たい荷物が ....
              ――B.j.へ

君には朝一杯のコーヒーが必要だった。悪意や復讐を溶かし込んだ生命の源泉としてのコーヒーが。コーヒーは強靭な孤独を湛え、君に生きる意志を与えてくれた。コ ....
晴れた空に小さな雨粒が兆す
漆黒の夜に光の種が兆す
そのようにして
私は私を兆す
死せる沈黙から呟きを
倦んだ身体から歩行を
鈍い感覚に一閃の痛みを
本質は本質として朽ちていき、装飾や細部にこそ神は宿るのだった。仕事は論理によって組み立てられた城であるが、その堅固さを基礎づけているのはむしろ至る所にある建具の装飾なのである。龍の形をしたり雲 .... 初夏を潤す水の眠り
そのやさしい浸食が
一人一人の誕生までさかのぼる
ふと手を止めたその先には
地球全体がまばゆく広がっている
鉱物たちの永遠の眠りが
一人一人の死まで急いていく
 ....
すべてを話せるのなら
詩なんて書かなかった
人の間に立ち
場に即した言葉を選んでいるうち
いつしか僕らは機械のように
必要最小限しか話さなくなった
これを話せば秘密が漏れる
これ ....
傾斜を下り刺し殺された命たち
多くの者は海の最果てで
多くの者は自明な住宅で
この土地で地を這い工事していると
命たちが呼吸に紛れ込んでくる
もはや死んだ命たちは生活の粒子
我々の ....
旅立つ日には
一つのメロディーが流れている
旅立つ日には
何かが必ず終わるから
僕らは故郷を持たない
僕らは故郷を探さない
故郷への渇きだけを持ち続ける
旅立つ日のメロディーは
 ....
 それぞれの詩人にはそれぞれの言葉の個人史がある。詩の中で用いる言葉は、かつてどこかで自分が書いた別の詩の中でも固有の位置を占めていたものである。例えば「水」という言葉をかつて別の作品で用いたとする。 .... どしゃぶりのように一日がはじけ、次の一日へと突き当てる船首を送り出している。葬られた市街地にはダンプの轟音が反転し、除染作業員は冷たい海を交換し始める。この一年間はいずれ無限に回帰し、そのたびごと .... 大震災と原発事故で被害を受けた土地に赴任して、日々復興の仕事をしながらもう一年になる。右も左もわからないうちから多くの仕事を任されてなかなか苦労した。今では大抵の仕事に慣れてきて、来年度に向け .... 2月の頭、年度の終わりごろ、私はインフルエンザにかかって休養しながら窓の外を眺めていた。窓の外は吹雪であり、冷たい大気の中、強い風に押された雪片たちが絡まり合っていた。この雪片たちのように私たちは、冷 ....                  ――F.T.へ

君はとても複雑な静止画の連なりだった。複雑な君を愛する人は、きっともっと複雑な、例えば自然美の移ろいのような人なのだろう。君たちが複雑さを映 ....
始まりと終わりがきしみ合う早朝
雲は空に予言を描いた
行き交う自動車たちは
始まりと終わりの狭間を
どこまでも突き進んでいく
地上で最初の花が散った
地上で最後の花が開いた
人々 ....
社会人が仕事をする舞台では
みなが仮面をかぶって役割を演じていた
そこでは魔女狩りが行われ
決闘や縄張り争いが絶えず
仕事の達成と失敗があり
虚構の連帯が結ばれる
自宅に帰り仮面と衣装 ....
墓碑銘として刻む言葉は
「愛される資格も適格もなかった」
そうしようと思った
深夜のバスの暗いライトの下で

死にたいとは思わなかった
逆に強烈に生きたいと思った
だが生きたいという欲望 ....
駅のホームには
ひとつの世界が埋葬されている
それゆえに駅のホームは
世界の墓地であり霊場である
だから今日もそこには
忘れられた眼の光や
捨てられた愛の閃きなど
あらゆる感傷的なも ....
夏は薄氷で覆われた
巨大な電流の森
微細な海たちが大気にひろがり
やさしい雷がひとの額を飛び跳ねる
ひとの中では湖の水位が高まり
ひとの外ではまなざしが群れる
行進する憂鬱たちが
植物の ....
間村長さんの葉leafさんおすすめリスト(34)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
北の風光- 葉leaf自由詩218-10-7
尊厳- 葉leaf自由詩118-9-21
金曜日の果て- 葉leaf自由詩118-8-5
滝へ向かう- 葉leaf自由詩218-7-30
中村梨々詩集『青挿し』について- 葉leaf散文(批評 ...218-7-29
喫茶店から喫茶店へ- 葉leaf自由詩318-7-13
降り込まれて- 葉leaf自由詩318-6-17
みずうみ- 葉leaf自由詩418-6-5
労働の闇- 葉leaf自由詩418-2-3
窓を開ける- 葉leaf自由詩518-1-21
沈黙- 葉leaf自由詩218-1-20
冬が迫りくる日に- 葉leaf自由詩317-11-16
ひとつの憎しみが消えた朝- 葉leaf自由詩617-11-10
唯一の親友- 葉leaf自由詩117-10-28
兆し- 葉leaf自由詩317-10-12
三十五歳- 葉leaf自由詩417-7-31
眠気- 葉leaf自由詩217-7-11
無口ゆえに- 葉leaf自由詩1117-6-11
生活の粒子- 葉leaf自由詩317-6-6
旅立つ日には- 葉leaf自由詩317-5-31
言葉の個人史- 葉leaf散文(批評 ...517-4-12
年度の終わり- 葉leaf自由詩217-4-9
土地- 葉leaf自由詩417-3-10
原因- 葉leaf自由詩117-2-2
祝婚歌- 葉leaf自由詩317-1-31
朝景- 葉leaf自由詩617-1-13
舞台- 葉leaf自由詩516-12-22
何もない- 葉leaf自由詩316-12-8
駅のホーム- 葉leaf自由詩416-12-3
夏の薄氷- 葉leaf自由詩116-8-23

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