くろに燻ったぼくのいかりと、きのうのゆめが
ちらかったなつのよる、小さなさんぶんをぬりつぶします。
くれよんとかえんぴつをなめて、蛍のうみをえがこう。
あじさいのはなびらが、 ....
毒薬のような願望を散りばめた、
陰茎の夕暮れが、
いちじく色の電灯のなかで燃え尽きると、
ようやく、わたしの夜が訪れる。
静寂をうたう障子は、わたしのふるえる呼気で、
固く閉ざしてある。 ....
さようなら
なんて
言わないはずだったのに
さようなら
ふたりで作った
桜のしおりは
あの日以来 挟んだまま
日記には
もう あなたのことを
書 ....
バス降りて 草むら行けば足もとに
稲穂ゆるがし イナゴ飛び立つ
秋雨のやうやく上りし宵の月
ジャンケンをして大人賑やか
耳もとに娘がつぶやきぬ生え際の
薄くなりしと夫のことをば
....
好きなあの子が
綺麗になった。
嬉しかった。
悲しかった。
好きなあの子が
体調不良で
会社休んでいる
悲しかった。
好きなあの子が
勇気をくれた
いったい誰が
好きなん ....
友達づたいの言葉に
涙浮かばせたって
真実には映らない
鏡
うそつくことなく
映るのは
白いケーキにのった
季節外れの
赤い苺の
鼻
季節外れの涙
瞳に反射するわ ....
あの時
「ごめんなさい」と言えなくて
けれどもその後
勇気を出して言いにいったけど
君はもう帰ってしまった
あの時
「ありがとう」と言えなくて
けれどもその後
がんばって言おうとし ....
ごみ捨て場に
ものさしが捨ててある
とても使いこなされた
古い単位のものさし
やはり捨てないことにしたよ
と父が来て
拾いながら横目で
お前のものさしはいいな
と言った
二人にはまだ ....
あなたと 命を分かち合う 夏だ
二人で出そうとした 文芸誌
この夏の熱気に溶けてしまった
文化祭のため夏休みを燃焼させた 八ミリ映画
これが あなたの遺影
あなたのスナップ写真
こ ....
{引用=
タカ派ですか? ハト派ですか?
}
スズメ派です! チュンチュン
な ぐ り...
名栗村 そして 澤
やみ夜を 求めずとも えられる
その 名まえを 記す ことは
もはや うたの なかの 出来事
うたに 遊ぶとき それは ....
休日
別れても同じき神の園に住み共に奉仕をつづけてゆかむ
(クリスチャンの友人との別れ)
9千円妻と買いけり一幅の絵黄色いバラの静と咲きけり
たびたびに訪れる西武百貨店われら夫婦の ....
愛のかたちってどんなもの?
触れるとやわらかくて 弾力があって
姿をかえていくの?
愛に種類はあるの?
色や 大きさや あたたかさで
区別できるの?
愛ってつかめるの?
とらえど ....
拝啓
やあやあ
初めましての方も
そうでない方も
こんばんは
梅雨特有の
湿り気たっぷりの中
いかがお過ごしですか?
じめじめの空気に
雨の日の
あの優しい ....
言葉に挑んでみる
言葉の世界は広くて深いので
何もしなければ
言葉に溺れてしまう
バタバタするのではなく
全身を使ってバランスよく
綺麗な姿勢で泳ぐのがいい
言葉に向かってみる
言 ....
放課後の学校は静かで
でもまだどこかにざわめきを隠していて
傾いてきた栗色の光が
少女たちの瞳を
大人びてみせる
窓は少しだけあけておかなければならなくて
そこから
教室じゅうに清新な風 ....
なんでなんでどうして
って言って
夜を剥がしに行く
いつのまにかあたしは幼くて
剥製の群れを連れている
星空の綻びを探しに
ちいさい旗振って歩く
光の川も渡る赤い長靴
無茶ばっ ....
埃くさい
骨組みだけの
濃いひかり
会いたくなった
確かめたくなった
現実にはピンとこない
でもいつも
イメージだけを
感光紙に翻訳しなおす
....
あたしは知ってる
あなたがとても孤独なこと
あたしは知ってる
あなたが笑いたいのに笑えないこと
あたしは知ってる
あなたは実は泣き虫で
ほんとはとても、シャイなこと
あたしは知ってる ....
いつのまにか
溶け込んでいた、世界と
私との接着面に
体温計をさしてみる
ゆっくりと
開いた手のひらと
大気との間
握ることはせず
また、摘まむこともない
少しずつ ....
2007/06/28
ブラックライトアップ同盟
Wikipediaによると、
日本のライトアップの嚆矢は
1963年神戸ポートタワーだと ....
けだるく 深く
大気はうねり
緩い曲線を描く
高曇りの靄に
太陽は弛緩して
街路樹 空をくねらす
小鳥の声 空の波紋
雲は雫で出来ている
まさに夏 夏の昼下がりに
木々 ....
恋をするなら
声の素敵な子猫を飼って
恋しい 恋しいと啼かせます
一人の夜に膝に抱いて
小さな頭をやさしく撫でて
恋をするなら
おろしたての靴を履き
街をあてもなく歩いてみます
....
* 雨 ぷらす 享楽
かたつむりを追いかけたり
水たまりに入ってみたり
いつもと違う遊びができる
この日を待ちわびていた
泥だらけのズボンの裾を誇らしげに
明日の約束を交わした
....
埃をかぶった辞典を開いて
君に伝えたい言葉を探してみる
学のない頭から出てくる言葉は
ありふれた簡単な単語ばかり
君を勇気づける言葉を知らなくて
根拠も言えず「大丈夫」を繰り返す ....
鳥はいいなぁ
と誰かが言った
鳥のどこがどういいのか
説明こそしてくれなかったけど
何となく理解できた
きっと空を自由に飛びまわれるから
なんて単純な理由なんだろうけど
....
僕は生まれた後に盲目になった
気が付けば暗闇の中に放り込まれたという感じだ 僕には盲目になる前の鮮明な世界の記憶がある
だから余計盲目になったことが悔しい どうして神様は僕をお選びになったの ....
おひなたさま
おひなたさま
ときどき きみは 耳慣れない言葉を発する。
「 "陰"よりも"日向"のほうが良いでしょ 」と笑う。
....
セブンスターの香りが鼻を掠める
あぁ、あの人はきっと近くにいる
だからあたしは安心してここで悶えていていい
目隠しの奥でもう一度 ぎゅっと目を瞑る
肌の感覚 ....
朝起きたら
机の上にメガネが置いてあった
昨日の夜
酔って歩いていたら
呼び止められて
「透視メガネを買わないか」
と言われた
ほろ酔い気分だった自分は
うっかり買ってしまったのだ
....
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