赤い風船は空に向かって上っていった
高いところから見下ろす風景を見て
ハイな気分になっていった
下から吹き上げる気流が
自分の足をどんどん持ち上げてくれる
もうすぐ雲に届きそうだ
すると雲 ....
やさしい風をつかまえたのか
狂った君にはできるでしょうよ
昨日の悪さを覚えているか
あの子の名前を忘れていたろう
そこに幾千の星が待っているのか
おいおい、じいさん長くはないぜ
....
フ と目の前に綿毛が飛んでいたので
ク とつかまえて離して見ると
それはチカリと赤い血の玉で
もう一度握ってはなすと
{ルビ捩=よじ}れてつぶれて菱形のいのちに変わった ....
遠くの景色ばかり見る骸骨 人形
ぺんぺん草が生えた土地にぽつんと一軒だけ立つ 露店と店屋
この店は主に肉体を無くした魂や影によって賑わっている
この近くで大きな戦争があった
大勢の戦 ....
料理長は私に言いました。
「刺したいやつがいたら、この包丁をかしてやる」
ああ、料理長、
今すぐ私にその包丁を貸してください。
その包丁で、
自分自身を刺したいのです。
今日、バイ ....
息を吸って
止めて
3秒
空を見て
太陽に勇気を貰って
小鳥さんにコンニチハをして
そっと
前を見て
渇いた眼球に
一度瞬きをして
口を引いて
目を細めて
全感情を注ぐ
....
詩を書ける人になりたかった
なってみたら ろくなもんじゃない
詩が書けるなんて ろくなもんじゃないよ
二人門出には大輪の花束を
冷や汗をかくような思い出はいつか
幸せのすきやきに少し甘めのすきやきに
変わらずにいようねって言うのは野暮なもんさ
だってこいつ年取ったらハゲのおっさんかも
....
ある
ありふれた
想い
という
呼び名の比喩が
争え
という
プログラムの元
生まれて初めての出航をし、
次の刹那
辿り着いた先が
温かい
実は
腹の上
だったと
結局
....
何が起きたのかわからなかった
地鳴りと轟音とともに
その瞬間
すべてを失った
激しく燃えさかる炎と
黒煙の中
太陽は赤く揺らいだ
衝撃と
悲しみと
脱力感の中に
いた
茫 ....
あなた
ほんとにいい人
自分に惚れてるから
惚れられても
困るでしょ
やさしさで
いじめてみてよ
泣いたらもっと
いじめてよ
器用なあなたでも
やさしさでいじめる才能は
....
親の為
夫の為
子供の為
年老いた母
自分を犠牲に
愛情を振りまいた
泣き崩れて泣きに泣いた
不幸の数だけ喜びは増える
生命保険が満期になり
家族を国内旅行に
招待するって ....
空 遠く 架かる
空に月
雲 風に たなびいて
消えていった
静かな 寝息は
繭玉のように
部屋に 浮かぶから
子守歌は 歌い継がれて
とっぷり 日が暮れた
夜の 十 ....
春の駅に列車がやってくる
駅は桜の花びらを散らしている
列車は駅に着くというよりも
春の風に押されながら
春の中に迎えられる
扉が開けば春の香りに包まれ
窮屈だった体と心が解放される
梢 ....
愛しい
とか
好き
とか
愛してる
なんて
嘘っぽくて嫌いだけど
この気持ちを
言葉で表したら
なるんだろうなぁ
おぉいえぃ
だなんて叫びながら
あなた。わたしのひみつをかき回す
そこじゃないけど
そこも。いい
ひみつはひみつ
おんなのひとは
おとこのひとと愛しあったなら
うー。だなん ....
さっきから
緑色の孤独の箱で一人
いや
僕の左耳はさっきから君とつながってるし
ここだけは明るいし
透けてるし
さっきからぴーぴー言ってるし
そんなにテレカが欲しいのか
さっきから ....
せせらぎの横で
赤い花の蜜を啜る
掌ほどの小さな命が
力強く羽ばたいている
ハミングバード
悲しみは置いてゆきなよ
君の小さな体では
あまりにも荷が重過ぎる
追 ....
つきのひかり・二月二日
ふゆのあさ、にしのそら
しずみゆくまんげつ、りんとしたひかり
まだあけきらぬまちをてらし
ためらうこころをあゆましむ
春を待つ・二月一七日
....
一週間前のこの道は
みんなへとつながっていた
朝は必ず誰かがいて
元気な時もつらい時も
何の意識もせずに「おはよう」と
必ず誰かと学校に通っていた
まだ一週間しか経っていないのに
もうこ ....
指から零れ落ちた
割れたガラスの欠片が
熱で溶けてゆく
炉の高温は素手には耐えられず
赤くなった指先が
悲鳴をあげるまで
熱を発するガラスに手を翳す
心の熱に ....
人ふいに春の水から石拾ふ
うららかや友うつくしく疎ましく
花冷や行方不明の恋敵
ボンネットに足跡残し春の猫
春嵐緑の騎士を連れて来よ
花冷のされど ....
今
冷たい驟雨は
晴れ上がり
光
雲間を裂き
法のごとき
日輪の蓮華 現れる
朝の勤行 唱題
南無妙法蓮華経
流れる 音声
流麗の時
焼香の煙り
龍神のご ....
午後十時を過ぎると外は絶対零度に陥る
誰も外に出る者はいない
一年中 この調子だ
どうしても出掛けなければならない用事があって 外に出る時には 宇宙服のような最高の防寒具を着て出る
....
新聞にどうどうと載っている
裸の女性が好き
どんなエッチな本よりも
新聞に載ってる裸の女性は
いやらしくて
たくましくて
モノクロなのが
ちょっと芸術的かしら
電車の中
向か ....
待っています。
待っているのです。
あれを。
私は誰だって?
ふふーん
どうか、苦笑しないでくださいよ。
わかりました、ではヒントをあげましょう。
私は、
バス停に ....
僕ハツマリ寂シイノデス。
目ノ前ヲ行ク、男女ノ仲ヲ、
壊シタクナド、テンデアリヤシナイノデス。
僕ハ悲シクアリマセン。
オ星ニ誓ツテ言イキリマセウ。
ダケドモ涙ヲトメラレマセン。
....
2007/03/30
デジタル放送が始まってからは
麦飯が美味しく頂けるようになったと
言う人が増えた
麦飯はボソボソして
旨味に欠けるので
おかずが ....
いつもダメでありがとう
君がダメだから僕のダメさも薄れて見える
ダメと言ってもそんなことはない
単純作業はとても得意なのを知ってる
むしろ君はダメじゃないのかもしれない
しかしダメさは否めな ....
月の下で見つめ合う孤独
僕はひとり
あなたもひとりですか
風の声が聞こえていますか
つやつやした
川の声が聞こえていますか
すべすべした
僕はひとりじゃない
あなたもひとり ....
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