少年は靴を履いていなかった
ぼんやりとした瞳で
橋の上から
流れゆく川を見ているだけだった
少年に親はいなかった
預けられる場所はあるものの
そこは少年のいる場所ではなかった
少年は ....
ボケも受け入れて
昼食べてないと
言われれば
まあお茶でもと言い
恥も外聞も捨て
がっぷりよつで
カッコも気にせず
柔軟に対応する
お年寄りの求めるものも
最終的には愛情です ....
昨日 兄が景色をねじ切ったから
今日はもう景色はない
昨日 父が空を 落としたから
今日は見上げても空はない
しかし
相変わらず
今朝も
通勤列車は混んでいる
嗚呼 ....
グスターフは 静かに 時を 待って いた
湾口の 砂州は 彼の ふるさと で
きょうは どうしてか
鼓笛隊が 空を 横断 して ゆくよう だった
お ....
ふりむいてくれたらいいのに五月晴れ困難さえも愛道しるべ
ときどき妻が
キッチンの引き出しの中をのぞいて
笑っているのはなぜだろう
中をのぞこうとして近づくと
あわてて閉めて私を追い払う
みんな眠ってから
トイレに行くふりして
開けようとした瞬 ....
学校に入学して
まず最初に教わったことは
決められた道を歩くことだった
とてもわかりやすくて
楽しい思い出が今でも残る
学校を卒業して
まず最初にわかったことは
決めていく道をつくる ....
07/07/05
驚いた!
変わったわね、
と言われて
鏡を見たら
知らない人が
こちらを見ている
顔を盗まれたのかと思ったが
盗まれたのは記憶のよう ....
今日もまた この店に来る
昔から栄えていた 商店街の一角
日が沈むと
怪しげな ネオンが点滅して
どこからともなく もれる
男女の笑い声 娼婦のささやき
この店は 不思議
深い ....
暗闇にはだぁくんがいる
たぶん夜行性で
明かりのない部屋とか
夜中の長い廊下とかに
体育座りをして
誰かが来るのを
待っている
照明をつけないで
廊下を歩くと
だぁくんは近づいて ....
あなたがいってしまった次の朝
庭の隅に赤いバラを植えました
赤いバラの蕾から
黄色いつばめが飛び出します
私はつばめの背中に乗って
雲の向こうへゆくのです
虹はリボンになって
風 ....
そこに夢があるので
ずっと長い上り坂を
がんばって進んでみる
振り返ると
努力という風景が
見えていた
そこに希望があるので
ずっと遠い道のりを
ひたすらと歩いてみる
振り返ると ....
リゲイン10本で 240時間 闘える
たまには
笑い方も
泣き方も
怒り方も
そっと忘れて
休んでもいいんじゃない?
僕は保育士だ この幼稚園で君と働いている まだ新米で毎日幼児達に悪戦苦闘している
この幼稚園で働いていて 一番落ち着く時は木曜日の午前中だ
何故なら明日働けば休みということもあるが この時間 ....
この つらさ は
望んで 与えられたもの ではない
打破したくても、
許されない。
この つらさ は
誰のものでもない。
中途半端に プライドを植え付けられ
....
修理相談センターに電話すると
またあの女のひとが出る
状況を報告して電話を切って
しばらくすると
修理のトラックがやってきて
私を段ボール箱に梱包して
工場へ連れて行く
修理されてい ....
幻想をリアルにするために
リアル以上にリアルを表現すると
それは異常なのかもしれない
恐怖は見れないところにあり
見えるのは醜さだけなのかもしれない
褪せた御本の途中に見知った御伽話と知りながら、
きれの無いファセットの、肌理の粗い断面に、目を凝らしまして。
愚か者のきんが烏の羽根を生む前に、まだ余裕がありましたので、
頭を抱えて怯え、高鳴り ....
くるくる
まわります
ずっと
痛む足をひきずって
くるくる
くるくる
まわります
ほんとうに
心から楽しい人など
ここにはいないでしょう
みんな
忘れたいだけですから
くるくる ....
暗い
暗い暗い海の中で
私は浮かんでいる
浮くことも沈むこともない
そのときの私は
長い髪で
白いワンピースを身に纏っている
ゆらゆらと
私は漂い続けている
そのと ....
しとしとと続く雨
カエルは喜び
鳥は泣く
蒸し暑い
世界中は
ジェットコースター
今日も
インスタントコーヒー
クリスタルガラスに
指文字
夢
カジ取りに迷う
カレンダーの塗り潰しすぎにより
よし子の来世もしくは永遠
それは壁になった
よし子が生まれたのは暑い日だった
怠惰をまとった団扇の風がピタリと止み
それがよし子の生まれた証になった
....
「ありがとう」
「いただきます」
「ごちそうさま」
ちゃんと気持ち込めて言う
感謝とか 幸せだとか
「まいど」
「おおきに」
「どこ行かはりますの ....
人形が、腐敗しかけている。
鏡像の中に冷たい朝を探す
体温の染みついた仮面は
もう、いらない。
若い頃の、母の口紅のように赤く
水面に広がる
正夢 ....
教科書にその公式が載ったとき
その公式は
知恵から知識へと
生活から遠のいてゆく
一時間でどのくらい進むのかが
わからなくても
あと一時間で到着することを
いつも教えてくれるからだ
....
ジャックは豆の木に登らない
代わりに木の台に座る
そうすると
(地面にいる虫たちに邪魔されない)
らしい
犬らしくないジャックは
だけど、海賊でもない
ただのジャックだった
犬 ....
すきなひとがいる
わたしを、すきでいてくれる
{引用=
恋愛は共同責任よ
うまくいくのも失敗するのも 二人の責任だわ
}
そのとおりだ
自分ひとりだけが、恋焦 ....
髪を短く妻は刈った前とちがってちょっと残念だった
妻が勤めに見送ったさびしい体操をして元気をつける
また妻と二人西武百貨店に行って喫茶で話しをしよう
"母の日"に 母に贈った『四つ葉のクローバー栽培キット』
クローバーの葉には それぞれ意味があって
たしか『希望』、『信仰』、『愛情』
そして、四つめが『幸福』とか
....
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