無明の闇から こちらを見つめ
綺麗な月は嗤うのです
虚空に伸べた 手の平に
冷たい銀の棘を刺し
{ルビ水面=みのも}を{ルビ掬=きく}す 白い手に
波紋に千切れた ....
いい天気だからというわけでもなく
財布も携帯電話を持たずに
外に出てしまった
どこか冒険だ
いろいろな店の中に入る
ドアーが開く度に
店員が自分に気がつく度に
ていねいな挨拶をしてくる
....
疲れた人よ
今は静かに窓辺の椅子にもたれ
瞼を閉じて
雪の花片が奏でる歌を
聴きたまえ
懸命に生きて
なお悔いと苛立ちに
さいなまれる人よ
この星の底まで降りて
....
それは、冬の公園で
午後の風はきみのもの
ちぎれてひとつ、またひとつ
木々を背にしたベンチから
息を吹きかける
胸がふくらみはじめた
一輪車で少女がすぎる
空をうつした水たまり
....
噛んだ乳房の
そのむこうにあったのは
金色の花でありました
時も音もない闇を愛して
腸を潰す手は僕のもの
そこに見えた
金色の花でありました
瞼を開こうと閉じようと
僕 ....
すべてが無に帰ろうと一方通行している
俺は震えて世界の端にぶら下がっている
いつか見た
そして凍えた思い出は
風に乗って北から流れてくる
自分であり続けることの難しさを
....
こころを動かしたいとき
いちばん大きな目で見つめると
願いを叶えてくれた。
僕らの先生は
車椅子の中で目を覚ますと
もう笑顔になっていた
なにかの手に引かれながら
鼻をつまんで
....
異国の国で幼い君の横顔に絶望を観た
屈託のない瞳の輝きは希望に満ち
それが叶わぬ事を私は知っていたから
荒れて行く地に咲く花はなく
破れかけの本でしか知る他はない
私は君を ....
素に戻ると
大勢の人の前に立たされた
わたしが
いる
深々と頭を下げて
何を謝っているのだろう
トナカイのそりに乗り
飽きることなく
眺めた
白夜の物語
あ ....
BLUE ROSE
Queen of ROSE
姫の笑顔 姫の仕草 姫の薔薇 姫の
姫の笑顔 姫の仕草 姫の薔薇 ....
羽根のはえた指で
不透明のやわらかい
やわらかい虚無を撫でながら
ゴウゴウと吹きあげる
おおきな風を
待ってる
やあ、とか
ほう、とかって
羽根のはえた指で
お前 ....
遠距離恋愛 似合わないね
まだ続いていたんだ
以外だね
私だってそう思う
今
こんなに近くに
君はいるのに
君が私に一生懸命なのを知っていて
私は彼の話ばかりを君に聞かせる ....
科学的に考えて
涙は枯れたりしない
いくらふいてもまたあふれだす
例えるならば曼珠沙華の花を
いくら刈りとっても
また次の年になれば咲いている
そんな風に例えてみようか
....
その水、に違和感を覚えて
やみくもに辺りを手探りすると
両手(否、ひれだろうか)は
ぬるい水を掻き混ぜながら
うっすらと視界を灰緑色に濁らせた
朝の慣例に従い
唇に色を挿して
黒 ....
瞬きの回数分
世界が生きていた
ぱっと
開いたかと思えば
すぐさま
消えるのだ
一億頭の羊でも足りないはずの
このくりかえし
その度
世界は生まれ変わって
ぼくの前に現 ....
何もかもなくしてしまった
神様に罰として全てを奪われてしまったのだ
人を殺してしまった
後々やって来た罪悪感だけでも精一杯なのに
深い自責の念に駆られている
....
僕は放浪の旅に出ることにする
僕が死ぬまで続く旅
誰にも止めることのできない旅
人生の旅のような旅
久遠を望むような旅
この旅に望むべくものは何もない
....
あなたが 今
辛いのは知っていたけれど
私の涙さえ見えないほど
辛いとは
知らなかったのです
愛情さえ苦痛になるほど
辛いとは
知らなかったのです
ならば
今からの 私は
....
朝から雨が降っている
窓を打ちつける音が響いている
心の音は天の音
雨音がだんだん強くなってくる
耳を塞いで
穏やかな風を思い出す
朝から雨が続いている
もうすぐ春だというのに
土 ....
感電死したい
ライブハウスのど真ん中で
感電死したい
ファン達の歓声の中で
ロックに生きて
ロックに死ぬ
それが俺の夢
感電死したい
人生の絶頂の真っ只中で
....
弱気な僕の
精一杯の勇気に
あなたはあっさり
うなずいてくれたね
外は、雨。
少し前から降り出した
どうやら当分止みそうにない
開いた傘に
むかえ入れる
戸惑いな ....
夕日の中に 僕がいて
夕日の中に 君がいる
夕日の中で 戯れて
夕日の中で 踊ってる
夕日の中で うつむいて
夕日の中で 抱きしめる
夕日の中に 明日見つめ
夕日に向かって ....
静かにまわる足踏みミシン
ベルトをはずしてるときだけ
遊んでもいいと教えられた
今そこで遊ぶのは君
私の娘
手をはさまないでね
はじめて乗った飛行機
大都会の遊園地 ....
言葉にすることさえ許されないゆるさない
親鳥が産み落とした卵が割れた日に
悲しみはこの世に生まれ出た
にこやかな若者は足近づけて
なぜそんなに悲しむんだよ
なにがそんなに悲しいんだいって問い ....
のどまで出かかって
そして飲み込んだ言葉は
それはもちろん胃袋ではなくて
広い意識の海へと戻されていくのである
そこでは無限と有限が背中合わせに
宇宙までも漂いながら言葉たちは
忘れな ....
君を愛する
と告げるとき
その言葉にわずかに
哀願の響きが混じった
それを嫌ってか
いつからかその言葉を
告げなくなった恋人に
それでも愛して ....
みじかい泣き虫夢を見てる
らすとワルツが踊れなかったから
いしを抱いてみじかい夢を見てる
じいっと黙って言葉をこらえて
つちの匂いだけが冷たくてやさしい
とすかーなの事を考えて ....
私が今どこにいるのか
あなたには
分からないかもしれません
でもいつか私は
一つの灯台となり
私の存在を
あなたに知らせることでしょう
広大な海をも超える
確かな力を手に入れて
....
眠れる森の君は
あんな華奢な針を指に刺しただけで
永遠に眠り続けるつもりかい?
たとえそれが
邪悪な魔女の強い呪いだったとしても
君はそれに掛かってはいけなかったんだ ....
憂鬱の影に抱かれた夜は
書物の森へ逃げこもう
迷路のような小道をぬけ
めぐる
めぐる
虚構のトラップ
そっと頬に触れたのは
アリスが捨てた三月うさぎ
逃避の小部屋のカギを開け
....
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