梅雨の晩送られし日々の紙一重
夕立の山小屋のよな紙一重
麓から頂上までをなぞる指
折り紙を折る指に癖あらわれり
夏服を脱いで蜉蝣乱舞せり
青簾恋匂い立つ畳の間
たったひとつの言葉
大切な
なくしてはならない
いきている喜び
あなたのもとに届けたい
母の日のカーネーションのように
感謝も込めて
日中の眩い陽射しの下で
踊る蝶々も ....
心呼吸
嵐前夜の群青に染まる午前七時
「めげない。」
と誓う
地下鉄はきらいだ
そとは暗い
こんな朝に
あいさつを
したいのに
*
このうすいからだの皮膚に
染みだしたような
うわずみのような感情が潤んで
それを掬おう ....
硝子の靴の落ちる音。
振り返った君の瞳に
今は、悲しみが見えない
・・・安堵するにはまだ早いけれど。
朝日の落ちたリヴィング・ルームは
持ち主のいないティーカップを浮き ....
流行のウイルスは たちが悪いみたい
君のことだから 不用心なんだろう
満月だからといって 明るいからといって
女がひとり夜道を 歩いちゃ行けないよ
....
蜘蛛の巣──繊細に張りめぐらせたレースの装飾
怖いもの知らずの蝶が飛び込んで
ゆれる ゆれる
蝶の羽も絡まる糸も光っている
ゆるやかな午後の陽に なお光を保ち
青葉の日プロコフィエフ午後一時
詩が好きで詩学が好きでもみじ緑
近江富士まさおな琵琶湖子と共に
どちらを向いても なぜかいつも向かい風
「宿命なのさ」と笑う君
つないだ手さえ「宿命なのさ」と笑う君
向かい風にも ふたりで行こうね
透明なベッドをぬけだし
格子硝子の窓の隙から
そっと外に腕を差し出せば
つめたい風に吹かれ
植物のゆめとなって
旅をつづけるわたしは
そのまま尖りはじめた
伽藍のそらへつづいていく
....
鳴かぬなら 私が鳴こう ほととぎす
(過去作です)
置き忘れたときを慈しむとき ゆるり
大切だから離せた手 ゆるり
誘う涙を
僕の両親は なんとか繕ってはいたが
あのころすでに
「破滅」していたのだと思う
僕はそんな言葉さえしらないまま
「破滅」のまんなかで 肩身がせまかったのか、精神的に不安だったためか
実のとこ ....
誰かを好きになって
結婚して
こどもを産んで
ごく自然ななりゆき
なんだけど
それを人間らしさと言えるのだろうか
赤ちゃんを抱いた
お母さん
しあわせそうに見えるけど
割 ....
寂しい夜には
君の好きな曲を聴く
すると 思い出すんだ
必ず 君がそばにいて
必ず 一緒に笑い合って
必ず まだ見たことのない
地平線の先について 語り合う
....
一 アンタレス disk1
君と夜の海辺を散歩していた、
はずなのにいつのまにか
空を歩いていた
頭上に、海
でも今日はよく晴れていたから
涙の一滴も落ちなくて ....
もうすぐ
九百九十九年になります
その頃には
ひまわりも咲いているでしょう
絶望から生き残った
藁のような人びとが
ゆらゆらとゆれているでしょう
咲いてしまうことに
罪はなくて
咲い ....
大人になりたくて、お酒を飲みました。
美味しくありませんでした。
大人になりたくて、男の子とキスしました。
口の中が、気持ち悪くなりました。
大人になりたくて、タバコを ....
黒縁の眼鏡をかけた教授の講義が一段落すると
スクリーン上に映し出されたままの
夏の星座がゆっくりと回転し始める
古びた校舎の窓側を覆う暗幕は
その歳月 ....
素潜りで
{ルビ鮑=あわび}を密漁する
丹後半島の
夜明け
海で生まれた太陽と
山に入る月の夢、
肩がこる
髭の男が少年や
座礁した五月
白身のま ....
自分の中にある
忘れてしまっていた
言葉のアルバムを
ふと開いてみる
何でもなかったことを
こんな言葉で表したのかと
苦笑いしながらも
あのときの自分には
その言葉が似合っていた
....
トンボ玉 八つ
転がって描く
虹色の軌跡
もろくて
たくましい
トンボ玉 八つ
ふ と
交わる明日模様
終わらない
明日へ
今 ....
ふいに夕立ち、
道を行く人々
急ぎ帰るなり引き返すなり
笑っている。
うなる空
大粒の水玉
白い歯で
目を細め笑い合う自転車の学生
それでもパンツをかばう女学生
缶蹴 ....
忘れようとする
それは心のエコロジー
節約ばっかしても
不意に蘇える
忘れたよ と笑った君
でもホラ、泣いた
何年たったって
どれだけ過ぎたって
枯れ ....
何時間たっただろう
真夜中にふと目覚めては
姿の見えない 沈黙と会話する
自分の居場所
あるはずなのに それを探そうとはしない
孤独が運命なら
受け入れよう
死にたい
それは呪文
ただただ生きたいという意味をもつ
.
卓上でピエロがたたずんでいる。しばらくぼんやりとピエロを見つめていると、突然彼はこちらをむいた。どうやらぼくの呼吸の振動に酔ってしまったらしい。彼はそのことを簡潔に説明した。すみません、とぼくは右腕で ....
冷たい空の下街を見下ろしながら死に神は救急車のサイレンに合わせてリズミカルに踊る
ママからプレゼントされた巨大な鋭利な鎌を振り回して それは血塗られた三日月のようだ
今日も魂を刈るのが楽しみ ....
乾いた手紙を君に送ろう
元気にしてる?って
始めの言葉
君がいなくなってから
僕は相変わらずの生活さ
なんて言うのも
どうかなって思うけど
少しは頑張っているよ
例えば最近 ....
フレッシュネスバーガーでgirls talk
お酒なんかなくったって
くるくる回るピンクのくちびる
最近買った服
新しいネイル
ヤな女の悪口大会
言い寄ってくる男の子
男の子たち ....
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