買い物袋から
オレンジが転がったのは単なる偶然で
私の爪の端っこに
香りが甘くなついたのも単なる偶然で
果実が転がり出さぬよう
そろりと立ち上がった頭上に
飛行機雲を見つけ ....
捨てても
突き放しても
打ち寄せる時が
押し戻す
もう逃げるな
ある朝
会社までの道を急いでいると
見慣れた制服姿
サルサ銀行のお兄ちゃんだわね
あ、そ、と思って通りすぎようとしたら
突然制服は
深々とお辞儀をして
申し訳ありません、と
わたしに向 ....
なくしてしまった卒業アルバムみたいに
開かなくなった記憶は美しく消える
曇った窓ガラスに
家の印をつけて
それから
母の勤めている店の印をつけて
でたらめな道でつなげる
窓が汚れるから、と
後で怒られたけれど
それがわたしの初めて描いた
世界地図でした ....
僕はいつでも
丸いから
君は僕の襟足を鷲掴み
えいっとばかりに
放り投げる
どんなに空高く飛んでいっても
僕は君の胸元に ふらり舞い戻る
それが僕の愛 ....
誰かの問いかけ
境界の色
すぐ左隣でことこと言う子
まなじりの端で増えてゆく影
流木を拾い集めるものの影
みんなみんな遠去かる
幻のように居なくなる ....
駅のコンコースに敷き詰められたタイルの一枚が
エレベータになっていて
上昇
もしくは
下降する という都市伝説
それは、踏み込んでみなければわからないという
カフェでビールを飲んで ....
詩人は死人によく似ています
夜、詩人のベットは
右脳の花々で埋め尽くされます
どんな色の花なのかは
夜がこないと分かりません
詩人はよくよく盲目です
....
眠らない
体躯は
箪笥です
娘が
みそ
満州
宇治金時
ごみ袋
蛇口
満州
てんでばらばらに
単語を言うから
ピリッとして
話しかけるな
がたがたするぞ
脅したら
もう ....
ピーターパン・シンドローム
なんていったって
知っているでしょう、
わたしとっくのむかしに
飛べなくなっていた
いまになっておもうの
わたしはこどもである、とか
わたしはおとなかもし ....
山からおごそかに下りてくるベール 鳴き交わす鳥たちと静寂
朝露を飲んだ少女が忘れる過去 乾いた南風に匂うクスノキ
自転車で行く小径 素足で渡る清冽な流れ
笑顔 拭われるかすかな涙 遠くから聞こえ ....
暗雲が 死んだ
雨が 遊女だ
な
なな 男よ
暗雲を 如来に
弔えさせろ
骨が 浮かんでいる
あ
ああ
骨が ふってくるのか
暗雲よ 生きたまま
未来は 明るい
....
雨が止み
もの皆かがやき
手のひらが痛む
ゆらめくいのち
その名とともに
世界となるもの
ふたつの惑星が
三番めの惑星に落とす影
午後と夜の間の ....
どーむろとるみねろ
道案内というわけではないですが
うろうろと歩くあなた方に
ひとことよけいなことを伝えましょう。
この町には
いくつかの「ろ」が
あります
少なくとも
水 ....
知っている曲が 途切れて
知らない歌が とぎれとぎれに
髪の先 さわり ふれる
冷蔵庫にジュース
飲みたい けど
動きたくない
どうやってたんだっけ
時間て
なんて
数えるん ....
な をよぶ
とき が隔てた
かぜ の かいろう
打ち
うまれた のろい
すくう ゆめ
わ 火焔
走 破
白き 鼓動
水 と 灯る
2003 4 20
薄闇に隠し持つ情熱は
菫の花のように 葉の陰に隠れて
誰にも気付かれない
君だけが 静かな影をかきわけて
見つけ出してくれる
甘い熱を放って咲く私を
ひいやりと冷たい君の唇を
堅 ....
右頬を乗せ
鼓動を呼び起こしてみる
左のこめかみを辿る指先が
優しく髪を絡めながら
微笑みと共に止まる
重ねた月日の長さ分だけ
白いものが増えた
それでも変わらず
伝わる鼓動も
辿ら ....
星の照らす薄明かりをたよりに
君の存在を曲線でみつめる
ぬくもりは確かにそこにあって
通い合うものもあると信じられるのに
息遣いも、髪のほどける微風も
すぐ隣にあると、心が証明しているの ....
ネットという媒体は、批評には不向きである。批評の形式の問題ではなく、この媒体の特殊性がそうさせるのである。匿名性が極めて高いこと、垂れ流し的になり易いこと、広く公開され、即座に反応出来るだけに、余計な ....
永遠の意味なんて知ることは無い
この先ずっと続く道を永遠と呼んでいたとしても
その道だっていつかは終わる
だから意味なんて、無い
言ってしまえば
終わらないものも
始まらないものも
....
力をふるうもの
草に狂うもの
ふたたび来る雨に吼えるもの
一片の永遠に触れ
燃えあがるもの
背中に降りる手を感じ
泣きながら目覚め
羽の失いことを知り
ふたたびね ....
やじろべぇ
ユラユラ
こころ揺れて
右へ左へ
やじろべぇ
ユラユラ
こころ揺れて
光へ闇へ
大丈夫
手は出さずとも
揺れながら
バランスは取られている
....
まずこのコインを見つめてください じっと見つめてください そしてまぶたを閉じてください の中に半分ぐらい意識された自覚があって の中を忙しく飛び回る いや回転しているのはじぶんだ 覗き窓は狭い 知らな ....
とてもきれいなかけら
落ちていた
わたしは拾って
手のひらに乗せた
良く見るとそれは
パズルのピース
きらきら輝くそれはたぶん曼荼羅
曼荼羅のピース
「さあ!これから他のピース ....
見渡す限りの亡霊の群れ
見渡す限りの亡霊の群れ
見渡す限りの亡霊の群れ
見渡す限りの亡霊の群れ
見渡す限りの亡霊の群れ
見渡す限りの亡霊の群れ
見渡す限りの亡霊の群 ....
俺はナイフを持った狼面の羊だ
今から羊の皮を剥ぐ
けれどその羊も狼面してやがる
だからって俺はやめないぜ
羊の群れを泳ぐ
それはまるで川のようさ
羊たちは狼面の俺を
よく見抜いてる
....
あたらしい神様が来るまでは
原価計算や伝票処理をするふりして
午前中の時間をつぶして
昼休みに会社の近所のコンビニに行ったら
あたらしい神様が
少年ジャンプを立ち読みしてた
午後になっ ....
深夜二人で食べるさくらんぼ
みずみずしく甘い木の実は情熱の赤
とろりとした思いを胸に
黙ったまま次々口へ運ぶ
一箱分のさくらんぼ全部
積み上げられた種と茎は 明日庭へ埋める
膝 ....
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