不意、A?!問う幽字の0に乗れと
グラつく微貞の寝具はSongs譜
再度の乞い人の手に不逢いの夜
グラビティーがミルクティー抱く
その濁面にDuckがFireをくわL-O舞言い
「朱よ、珊瑚 ....
スチュワーデスさん、とスチュワーデスに声をかけると
私にはケイコという名前があるんです、とそっぽを向かれる
今度こそ間違いの無いように、ケイコさん、と呼ぶのだが
ケイコは押し黙ってしまう ....
あまりに懇願されるので
試しに小指を与えてみた
男は急いで口に運び
コクリと飲み込むと
生あたたかい求愛がわたしに届く
唾液に光った男の喉をうっとりと通りぬける
わたしの小指
満たさ ....
ここに俺がいると思うか思うなら挙手せよ
インターネット上に俺がいると思うか思うなら挙手せよ
あるいは印刷された紙に印字された文字に
夕方の台所に夜明けのシャワー室に
ビールが臭う真昼間のネット ....
このままどこかに行ってしまおうか
帰りの車中でそんなことを言っていた二人は
どこにも行けないことは知っていたけれど
その言葉だけで十分満足だった
今、僕らは三人になって車も一回 ....
残業もそこそこに
今夜もいそいそと帰ってきた
玄関のすぐ脇の部屋で
かつて母だった生き物が
また呻いている
父の三回忌を済ませた頃から
母は溶け始めた
ビデオテープのように過去を ....
読みかけの詩集を逆さまにすると
文字の列たちは
不ぞろいのビルディングになりました
そして
下のほうにあった余白は
広い空に
しばらくその様子に見とれていましたが
何かが足りない気が ....
猫が逃げました
ボヤが出ました
便所は汚すな
と
親切な貼り紙のアパートの
隣の部屋の人の顔
まだ見たことありません
のような午後の世界に
河川敷の花火
の音が聞こ ....
魚が手紙のようなものをくわえたまま
道の真ん中で力尽きているのを
少年は見つけました
水を泳ぐ魚にとって
ポストはあまりに遠かったのでしょう
少年は手紙のようなものを
代わりに投函しました ....
「水、持ってこいよ。」
シンちゃんが言ったから
公園の入り口にある水飲み場まで
バケツを片手にダッシュ
焼けた砂まみれの腕に
午後の陽射しは痛い
水飲み場につくと
犬を連れたおじ ....
さびしさに
ひざをかかえて
タオルケットははいだまま
「る」の字でねむる
あの{ルビ娘=こ}は今頃
遠い空の下
今夜も誰かに抱かれて
求めあう「る」と「る」を
くみあわせてる
....
今日から自分をデブだと思うことにした
デブ・・・
そのうち人にも呼んでもらうつもりだが
まだちょっと気恥ずかしい
1.
デブ界に足を踏み入れる
赤ちゃんのような笑顔の石塚
うんち ....
ひつじが鳴いていた
ひまわりが咲いていた
人がいた 好きだった
目を閉じる
陽だまりのなか
明日なら
死んでも良かった
女は
胎内に新しい生命を宿したら
「母親」になるというのに
男は
新しい生命が誕生してから
「父親」になる権利を得る
のだろうか
それは
目の前に細く頼りない道が一本
....
降りしきる雨の中
傘もささずに俺たちは歩いた
死ぬほど歩き続けた
けれどそれで
俺たちが死ぬことはなかった
俺たち いい奴だった
俺たち 輝いていた
俺たちは生の肉だった
俺た ....
吉岡君
電車の中で思わず声をかけそうになった
よく考えてみれば
こんな時間、こんな場所に
吉岡君がいるはずもないというのに
あの日と同じ顔
学生服のままで
そんな僕はまだ
....
僕は、いつものように、
かのん、と救急車に乗っていた。
かのん、は三つで
救急車はキライで
でも、救急車のおじさんはヤサシイ、
って言う。
透明な酸素吸入マスクのゴムがきつくて
イヤイヤ ....
あまりの暑さにクーラーをつける
よほど暑かったのだろう
いろいろな動物たちが家に集まりはじめ
またたくまにいっぱいになった
長い部位をもっている動物はそれをたたんだ
肉食動物は捕 ....
うまれおちたとたんに
呼吸のしかたを忘れてしまった
たったいま、吸い込んだものは
なんだったろう
流れてやまない日々は いつも
右手を砂へ
左手を空へと のばして
手をつなぎたが ....
批評だ批評だ批評が必要だとネットで吠え続けて、おそらく数年になる。私自身は、地方同人詩誌での合評会や蘭の会内部でのわずかな批評と、詩集そのものに対するいくつかの批評をのぞき、自分の作品に長文の批評をネ ....
にゃんでか知らにゃいけど
「にゃににゅにぇにょ」
が言えにゃくて、全部
「にゃににゅにぇにょ」
ににゃる
日常生活に支障はにゃいもにょにょ
こにょままでは
僕が僕でなくなってしまう
....
目が覚めると
右手がチョキになっていた
いったい僕は何と戦ったというのだろう
夜中、こんなものを振り回して
援軍の来ない小さいベッドの上で
いま、右手首がひじょーに痛い。うちの飼い猫の血膿をふきとろうとしたら、ズタズタに深くひっかかれた。場所が場所だし、猫の爪は鋭くてカミソリみたいなものだから、自分で見てもリスカの傷に見える。おもしろがっ ....
私が人様にはじめて認められた文章は、詩ではなく評論であった。それは静岡県民文学祭で芸術祭賞を受賞した。今の私からみると暴論みたいなところもあるし、古くなっているところもあるし、そもそも「評論」と名乗っ ....
深夜、男友達から『お前のことずっと上海してた』と電話。ひどく
驚き、『ごめんなさい』とだけ応えて電話を切る。自分の言動を振
り返り、しばらく彼には会わないでおこうと決める。図らずも点と
点 ....
その人がやってくるのは
ほんの少し
光のかけらをわけてくれた
下弦の月の白い顔が
空に溶け込んでいく時刻です
おやすみなさい
お月様
インクびんのふたを閉めて
閉じ込めたのは月 ....
ドーナツの穴から覗くと
世界はいつも
いいにおいがした
食べ物で遊んではいけない
そう教えてくれた人が
今ではもういない
さよなら国は
朝でも 夜でも
「さよなら」とあいさつします。
みんな みんな
笑顔で「さよなら」をかわします。
時には おじぎまで
時には なみだまで
ボクがいる ....
あら、困ったわ
が口癖の君が困った様子なんて
今まで見たことがない
あら、困ったわ
なんて言いながらも
トントントンッとまな板の上で大根を切ったり
ザッピングをし続けた挙句の果ては ....
海岸沿いに露出した三十年まえのゴミ山のうえ
新しい嘆きがそっくりひとつ捨ててあった
壊れた自転車
割れたブラウン管
骨の折れた傘
骨折り損のくたびれ儲け
破れた心臓
そんなもののうえに
....
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