明日からも僕は
この道を行く
すれ違う人の微笑みも好きで
この道を行く
ときおり
交差する人達の瞳も魅力的だが
僕はそこへは行けそうもない
今日も
胸が痛くなることがあった ....
お国のために いざ働こう
働く汗は美しい
家族のために いざ働こう
働けることは素晴らしい
他の人たちが 遊んでいても
....
シャープペンが紙を滑る音で
断ち切られる記憶が鼓動になる
遠い日、焦がれた痛みを愛しく思い
あなたの体は柔らかいという方法
私の融点を
花の名前を当てるように
ほほえみ ....
お父さんが紙をつくってる
つくった紙を僕が並べていく
それがお父さんの廊下
なんだか淋しいところだね、と言うと
お父さんは土を持ってくる
足りないので
何回かに分けて持ってくる
だからお ....
一期一会
だなんて、ことばでは語りきれない
こんなデジタルの時代だからこそ
0と1の狭間にあるものを
あなたに伝えたい
それは
感動に震える心臓の鼓動であり
汗ばんでしまった掌の ....
植物園まで
あと40000キロ
悲しみの海を越える
憎しみの山を越える
いいんだもん
たくさんの優しさが
そこにはあると信じて
植物園まで
あと30000キロ
へたくそ歌を
き ....
帰宅する途中
コーンスープの匂いがする
家の前を通りかかる
中から男女の諍いの声が聞こえてくる
少年が一人
玄関の外に立っている
ドアにもたれてただうつむいている
どうかあの少年が
私 ....
2007/06/02
単純な飛行機を飛ばす
ゴム動力でプロペラを
クルクルと回し
ゴムがゆるむまで
どこまでも飛んでゆき
見えなくなって
ステルス機になっ ....
植物園まで
はちの子を送っていく
バスは回ってこないから
自転車でまいあさ運んでやる
自由ぐらい自分で守れと
けさ見た夢の話をしながら
ペダルをこいで坂道を登る
はっぱの裏に書いてあるこ ....
一匹の{ルビ蜻蛉=とんぼ}が
脚の間をすり抜けて
小さくさざ波立つ水田
暮れ翳り始めた空に
フラミンゴの色の雲
エミール=ガレの作品集を
撫でる指で繰っていた
男のこと
苗のき ....
今朝 駅にむかう途中に
烏が道で ぺちゃんこになっていて
その上を 車が何度も通るから
僕の目の前で
烏はどんどん ぺちゃんこになっていった
夕方 駅から帰る途中で
ぺちゃんこになっ ....
耳から
抹茶がこぼれてしまうという
朝になるとシーツは
たっぷり緑を含んでいて
洗うたびに
深みを増していくのだという
(この時期だけなんですの
と
さして困ったふうでもなく
さらさ ....
あなたを打たせて取りたい
雨の降るデイゲームで
三振はいらないから
たったひとつの直球で
あなたを打たせて取りたい
できれば一回表の先頭打者がいい
雨でそれっきり
試合が終わって ....
自分の趣味で申し訳ないのだけれど、女性の書く詩が好きだ。
女性詩、あるいは女性性を持った詩、とも呼ばれるそれらは、
目に見えているのに決して触れられないもののような気がする。
贖 ....
屋上はあった
屋上は食べた
金属の感じがする手すり
その向こうに
川は鈍く流れた
その流れの先に
わたしの家はあった
ドアノブがゆるくて
屋上のない家だった
食べなかった
少し曲が ....
雨音は冷やかな旋律を奏で
五線譜に無数に付いた蕾は
一瞬、水晶となり地表に還る
傘は持たないのだと
わらって言い切るきみの肩は
今頃震えていまいか
そう告げればまた
きみはわらって
....
船着場でピアノを弾く
白い鍵盤しか習ったことがないので
黒い鍵盤に触れないように
注意深く弾いてみる
低い生垣の向こうから
病院の人がこちらを見ている
目が合い会釈をしたけれど
何も返す ....
おもてはどこですか
みぎは
ひだりは
うらがわは
問いかけるほど
しずかになるから
物言わずには
いられない
すぐにも
あしたは来るけれど
ちいさな点 ....
ささやかな我が家は
海風を松林がさえぎる
小さなキャンプ場に
僕と君の子供の手で建てた
細引きはしっかり引っ張ってとか
ペグは斜めに打ち込んでとか
入り口の向きの決め方とか
寝心地の ....
プロフィール読んだら
すごく嫌いなタイプだけれど
言葉の使い方が上手いんで
ポイントあげます
いままで
まったく
こっちの作品には
ポイントを入れてくれてないけれど
描かれてる情景 ....
詩 って なんだろうね?
君がぼくに訊ねる
ぼくは 脱いだばかりの
クツ下のにおいを無心に嗅いでいて
君の問いに答えられない
君の目とぼくの目とが ゆっくり重なる
たとえば 早朝の ....
今日の風は西から湿り気と
憂鬱の温度を運んで
まだ頑ななガクアジサイの毬に
青、を少しずつ与える
日増しに色濃いぼんぼりを灯して
夏空の予感を語るのは
滲む青と翠と
傘の冷た ....
両手に抱えられるだけ
かなしみを抱えて
捨てに行く
穴を掘って
花壇の真ん中辺りに
ここなら寂しくないでしょうと
ささやきかけて
そうしたら
....
手の震えがひどい日は良く眠れない
プラスチック製の消臭スプレーを握ると
少し安定して
それでも眠れない時は
若者向けの深夜放送を疲れるまで見て
やっと僅かばかりの睡眠を得る
昼間会いに行っ ....
五月のかぜを渡るとき
遠いひかりは
よみがえる
あおたちの名の
車輪のなかで
一斉に
いま
みどりはかえる
日にかわる
かじかむばかりの
指だったのに
いつ ....
体温は
ひとつになるアルビレオ
今日からは
遠心力で結ばれる
意志が
それを果てるまでと誓うだろう
ある時は照らされる者の影であり
そしてお互いだけが
救える日々の
満ち ....
いちたすいちは
にじゃないと答えたら
みんなに笑われた
でも
美術の先生だけは頷いてくれて
スケッチに出かけた
あの丘の上から
故郷の青空をいつまでも眺めていた
ずっと憧れていたこ ....
夕暮れ色の飛行船、
たくさん空に浮かんでいたけれど
空と一緒の色だったので
誰にも気付かれないままでした。
*
毎朝、起きたらすぐに顔を洗います。
....
道端に表札が突っ立っていた
YAMASITA、とだけあった
YAMASITAさんとはぐれて
困っているようだった
家までの道順を教えてあげたが
わかりにくいところもあったので
いっしょに行 ....
夏の夜空はアンタレス 赤く輝いてる
思い出すのは あんたです さそり座の一等星
浴衣姿のべっぴんさんが金魚バチを眺めてる
部屋の隅では黒猫が泳ぐ金魚を狙 ....
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