1.白馬の王子(わたしの巻き毛のリケ)
颯爽と白馬に乗って駆けてくる
巻き毛の王子は
ぶざまな小男でやぶにらみ
しかし王子がパチン!と指を鳴らせば
王子の姿は誰よりうるわしく ....
何故愛は歪むのか
君と僕
互いの人生を粉々に打ち砕き
震える欲望のままに
燃え立つままに
交じり愛
啜り愛
傷つけ愛
彷徨うふたりは愛に震えて
愛 ....
このドロドロした
赤ワインの
澱んだとろみのなかに
君と僕の歪んだ愛のかたち
全ては収縮を繰り返し
この赤ワインの瓶のなかで
絡み合う存在であり続ける事の意味
この刹那
僕 ....
激しい睡魔に襲われながら三日月は
いっそ雨になれば良いのにと思っていた
軒先でギターを弾きながら渡辺さんは
一昨日見た夢を何とか思い出そうとしていた
渡辺さんの「246M」をMDで聴き ....
僕は一頭のロバ
痩せこけて貧相な一頭のロバだけど
君の重い荷物を背負って
毎日運河沿いの道を
とぼとぼ歩む
僕が何か粗相をしたときは
右手に持ったサボテンで鞭のように
僕を叩いておく ....
空が割れて
夏で満たされたプールで
泳いでいる
さかなのアンテナで
誰とも触れることなく、すり抜けて
泳いでいる
すれちがう誰もさようならをうたわない
体の中心がどこなのか
わ ....
夏空が泣きはらす
夕立の前はやたら蒸し暑い。
渦を巻く熱気のせいで
僕は下着までびちょびちょだよ。
君は美少女の小窓。
今はエアコンの優しさが
君の胎内を潤しているから
とりあえず君 ....
サンディの煙草は誰にも止められない
と、誰もが思っていることを
サンディはなんとなく知っている
黒く長い髪
茶色のひとみ
その他の身体的特徴
にもかかわらず
サンディといえば
....
君は変わったね
同じことを
君が言い出す前に
キスをしよう
全てが始まったあの日を眺めながら
全ての終わりを語る唇を
塞いでしまおう
傾く船にはもはや
救いの手立 ....
末端の夜で
日常にある
輪郭のない
さびしさを
手繰り寄せる
その顔は
か細くゆがみ
青白い灯火に
照らされて{ルビ寝=い}
さまざまな角度で欠けている
ほおいほおい
呼 ....
桜は散った
悲しみの声も虚しく
桜は散った
嘆きの声も虚しく
悲しくても
嘆いても
空は紺碧のまま
蝉時雨は散った桜の心模様
散りゆけば桜花の里に蝉時雨 ....
男は戦う
おのれのために
男は戦う
愛する人のために
されど
失ってはいけない
自分自身を
されど
悲しませてはいけない
愛する人を
男は戦う
今 ....
僕の部屋からは
プラットホームが見下ろせる
知らない人ばかり詰め込んだ準急を
この窓からいつも見送る
ここは始発駅だ
短い旅程の百度参りを
飽きることなく繰り返す
乗車率427% ....
突然 短いうたが訪れるとき
ずっと長くつづくように感じ
いつもいつもひらかれてしまう
重く しっとりとした鉄が
手のひらの熱に戸惑うとき
いつのまにか撒き散らされた
石 ....
わたしの中に森が生まれたとき
その枝は音もなく広げられた
指先から胸へと続く水脈に
細く流れてゆく愛と
時おり流れを乱す悲しみ
わたしを立ち止まら ....
うだるような暑さ
浮かぶ汗は彼の人を飾るオパール
薄いガーゼのシャツ
肢体を包んでいる
あまい匂い
バニラアイスみたいな
舐めたくなるような
誰にでもこんなことするの
と
わたし ....
あのね。
造反議員ということばはなんだかおかしい、と思うのは自分だけ?
決め事に反対するかどうかは個人の判断であって、党に属している以上その決定事項は金科玉条であって邪魔しちゃイヤっていうのは ....
水辺に落ちる星
熱が流れを変えてゆく
土がくずれ 沈む
砂が砂の上をゆく
積もりつづける見えないものが
音になってゆく
目の奥にある水と鏡が
ひとつの影を ....
袋の中に
詰まっているのが
何なのか
誰も知らない
先週
新装開店したばかりのコンビニから
スキップしながら
はだかのこどもが
転がり出てくる
あとからあとから
何人も
はだ ....
果ての見えない白の上に
君に用意された四角い枠があったとして
君はそれを少しはみ出すくらいに自画像を描くとする
君はそのうち
枠の中に絵を収めなきゃいけない気がして
はみ出した部分を消そ ....
ジャラビーヤの白
照りつける太陽 光る肌の黒
ウード掻き撫でる指先
広がる琴の音 一面に重厚な肉声
アッサラ・メ・スー
ガンダラ・ダル・スー
農村の倉に
うず高く積まれた白砂糖
....
立て続けにもう一発ッ!
●その2『キスは、ダ・メ・よ』
こんな話するのもはずかしーんだけど・・・話しちゃおっかな。
うちの夫婦は結婚して7年目(註:これを書いたときは7年目だったけど ....
注:この原稿は全てオネェ言葉で統一するという試みにチャレンジしてみました!
なぜか? 理由はありませーん(笑)。
あのね。
本当の恐怖ってゆーのは、すんごくさりげない日常に潜んでいる ....
蝉は夜企んでいる
おてんとさまが顔を見せたら
どんな風に吠えてやろう
入道雲を飛び越えて
知らぬ街まで響かせようか!
蛙たちの雑談に
まぎれた樹の幹
食い込むほど爪を立て
ひっそり ....
ベッドの上に横たわり
胸の上で組まれた手が
呼吸に合わせて上下する
その規則的な動きを凝視し
眼を逸らすことが出来ない
肉厚のごろんとした手は
ずいぶん年老いてしまった
額の皺も ....
明解な文法で
あなたが残した言葉より
文法にすらならない衝動で
あなたが放った言葉の方が
私の胸を揺さぶっていました。
あなたが
ほっぺに砂糖をつけて、なお
....
それが誰なのか、
記憶を探れば出てくるが、
誰が誰であったか、
この部屋では関係ない。
窓の向こうに手を伸ばそうとも、
扉の向こうに声を掛けようとも、
ひとつも ....
こんなもん
めんどいじゃん
一枚のぺなぺなが
君と僕とを引き裂いちゃう
嘆きの壁をいくらノックしても
居留守を使う君のママ
どうやら僕がお嫌いらしい
相手のことを苦手だって思うと
....
巨大な多翼の鳥に守られ
坂はひとつの音をたてる
雨雲のような遠さから
草と水をかき分けながら
祝福も祝祭もない羊が近づいてくる
水を閉じた森で育つ
あらゆる ....
だあれもいない いなかみち
トボトボトボト 歩いてました
やさしいひとが 見まもるような
うれしはずかし 静かな月夜
どこからとなく サンダルウッド
におうようにも 思える月夜
ふとか ....
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