さざなみが月を潤ませて
消してゆく二人の名前
ゆうなぎは心の糸まで
もつらせて切ってゆくのか

灯台も暮れ馴ずめば影にまみれ
境をなくす浜辺と海

こわれた砂の城に波が
さよならを塗 ....
「わたし、ヨーデルが好きなの。」

それがぼくたちの出会いだった
未知の在庫が減少していることは
それなりに聴いていたけれど
まさかここまで及ぶとは

通行人は誰一人として興味を示してい ....
校長室には牛がいました
校長先生の牛でした
健康に育ちました
たくさん話かけました
ある日牛が大きなあくびをすると
校長先生はその中にとび込みました
牛だけが後に残されました
旅 ....
弟が二人いる姉など
子供の頃は 子守りをさせられ
遊べるくらい育ったら
キャッチボールなど 男同士だし

大人になっても
たまにラーメン食べにいくとか
うちで 飲むとか
まず 誘われな ....
あなたは閉じていきますが
私は閉じませんから
どうぞ
緩やかな言葉だけを

まもなく
向日葵の咲く頃です
その向こうで夏草は
焦らすように香りを時には隠すので
好きですから


 ....
天気予報は曇りだったのに
家から出て五分も経たずに
全身隈なく水浸し

コンビニに逃げ込む頃には
汗か雨だか分からない汁が
口の中に入ってくるじゃないか
いい加減にしてくれ
僕が何をや ....
引き出しの奥から出てきた
古ぼけたトランシーバー
適当なチューニングのまま
大和川、南側の土手を
ノイズと一緒に
大阪湾へ向かって自転車を走らせる

いくつもの道を横切って
いくつもの ....
さびしさなんていう気持ちに押し潰されて
圧死するような死に方はまっぴらなので、
心の中で何かを爆発させ続けて
思考のスピードを倍ぐらいに上げてみる。
孤独という言葉のほんとう意味を
膝を抱え ....
{引用=一、くじらヶ丘


 口に出してごらん
 うるおい、と
 その
 やわらかな響きは
 途方もなくひろい海の
 すみからすみまで
 満ち満ちてゆくようなものではない

 干 ....
あのときの金魚生きているよ
あなたと何回挑戦しても
ポイはすぐに破けてしまって
夜店のおじさんが呆れて分けてくれた
小さな二匹の金魚
お口をおちょぼにすぼめた金魚鉢は
ひらひら朝顔のように ....
静けさに
包まれて夜は
雨はとどまっても
星はみえない梅雨の空

肌の湿りは
空が落とした夏の皮膜
それとも重ねた体温
外灯が滲んで見える

青く蒼々と
今を映すその目に
私の ....
母は
随分と老いたけど
声は変わらない

母は
もう私に「早く早く」とせかさなくなったけれど
私に「早く」とせかされる

母は
なぜか私よりスタイルがいい
ちょっと癪だけど
ちょ ....
解かれるものがあって
解けないものもあって
元気ですか
その言葉だけで繋がっている

わたしを折る
折りたたむ
そして開けば
鶴にでもなりたい

配達の遅れた願いのようなものが届く ....
バスに小川が乗ってきた
どこにも流れることのできない小川は
だらしなく床に広がった
立っている人は足を濡らした
座っている人は足を濡らさないように
座席の上に膝を抱えた
大学病院
 ....
ソーダの泡のような微睡みのなかで
懐かしい とても懐かしいその面影に出会った

記憶の深くに留めようと
すればするほど
表情は淡くなる
ならばこの夢でだけ覚えておこうと
思い切りこころを ....
合いたくて
合いたくて
閉じ篭る傷のような胸、を震わす、脈拍という水音は
水面に似た、例えば窓に合いたくて
合いたくて
開きたての傷のような喉、を震わす、息という泡は
水面に似 ....
もう
やめようと思うんだ

あとから
あとから継ぎ足して

言い訳ばかりが増えていく


関係代名詞のような生き方
 
 
 
 
ほら
こんな朝だよ
おまえはまだ寝ているこの朝を
俺は吸っているよ
この朝を

ウミスズメが
隣で
少し悲しげだよ
でもそんなことは
おまえは知らなくていい

ひらめがあわ ....
海を見たことがなかった
見え隠れする光
あれがそうだ、と無骨な指で示された海は
たいして青くなかった、が
軽トラックが、ギシギシとカーブを曲がるたび
輝きを探して、車窓にしがみついた

 ....
嘘ばかり
音速の貴公子なんて言われながら
あっけなく亡くなったアイルトンセナが
繰り出すパンチは避けられない

銀座の柳の木の下にも泥鰌は泳ぐ
お酒が好きな泥鰌たちは ....
服を買って着替える
着替えている途中にそば屋があったので
天ぷらそばを注文する
持ってきたのは昔の恋人だった
昔のように優しくしてくれた
着替えをしながら自分はそばだけを食べ
天ぷらは ....
展示された日々にひとつひとつ形をあたえてゆくと、球のまざった菱形がひとつだけ余ってしまう。菱形は情念に光の島を落として、情念は菱形を斜めに転調させる。君はこの菱形に所有されていたのか。

君の肺は ....
今年も古い母屋の軒先に
つがいの燕が巣作りしました
生まれたての可愛い雛たちは
親鳥の帰りをひたすら待っていて
精一杯の幼い首を伸ばして
甘えたような鳴き声あげている
(なんだか可愛いな
 ....
青い青いテニスコートの結び目が
ほどける

1セット
2セット
3セット

スパン・・・                スパン・・・
と空気を切る音

その断面はゼリーのようにゆる ....
怠惰な月に{ルビ塗=まみ}れて
果実のような遊星たちと
悪戯に耽ろう
どうせ軌道からはとうの昔に逸れて
だから輪郭も幾重にもぶれてぶれてぶれて
いるから

薔薇星雲を千切ってばら撒いて
 ....
あの頃は
生まれたばかりの気分でいたけれど
あの頃の僕は
生まれてさえいなかったのだと
思う

もしかすると
こんな僕も
未だ知らないところで同じように
恥ずかしそうに
解ける ....
低い雲が覆い隠す
放牧場のある丘には
みっつの風車が立っている
ぎゅおん、ぎゅおんと
海にむかって唸って
いるはずの刻
{ルビ霞=かすみ}のように薄い雲が
まわっている時間を
見えなく ....
愛しきものに残された
僅かな時間が
手出しを許さず
無表情に過ぎて行く

死の匂いのする
冷ややかな居心地に耐えかねて
虚ろに庭先ばかりを見ている

こんな哀しい歯痒さのなかで
無 ....
真夏日、沿岸部には波浪注意報が発令され
世界中の溝口さんが落下していた
親戚の少女は大きな中華鍋を持って
兄と一緒に家を出て行く
重い、と言うと兄は悲しそうに首を振った
牛の死体を引 ....
吐息に曇る夜の硝子に
時計の文字盤は
逆行をみせて
捨てた指輪の光沢の
おぼろな記憶さながらに
銀河の揺らめく
午前零時


涸れてしまう代わりに涙は
こぼれる理由を失ってしま ....
かおるさんのおすすめリスト(4124)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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最初に- たもつ自由詩1806-7-1
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スワローテイル- 恋月 ぴ ...自由詩28*06-6-28
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悲報- 千波 一 ...自由詩11*06-6-26

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