青空の手に触れはにかむ冬の顔
描きなぐる雪のはざまを埋める景
ひとつにも無数にも降る雪の問い
ころびゆく我が横に空たちあがる
....
蒼き夜空に裸体の桜
瞬く星に影だけ揺らす
オリオンの傾きが
その時を告げるまで
その腕に
無数の蕾を抱いて
むすんだくちびる
静かに眠る
くちづけは
春一番に
さよなら
とんがった優しさが
ふっている
まぶしいと言う
ブラインドの角度をさだめて
すきまから泳ぎだす朝
深く愛したものなど まだ
なかったけれど
よごれた壁の上に
....
行方もない風たちを
帆にはらませて
もう帰らない船の
船笛の消えていく先
短い呪文
アストロラーべ
二人の旅路を
羊皮紙に書き出しても
深海の底に
沈む姿があって
透明な海藻に ....
空から音も無く降る雪の
つもる速度のいじらしい熱
ちょっとまえの流星は
乾燥した鋭い声で失礼のないように
(絶望はできない。
と軌跡をのこし消えていった
このとき雪はしゃららららん
....
人という生きものは
ずいぶんと もうずいぶんと
生きものから離れてしまったのだろうけれど
まだかろうじて生きものでいて
遠く見えない同類と
同じように波打ちながら
それでい ....
ひいた こより
てのなか ふるえてる
だれかの ため
よういされた ことばが
こころのおく ねづく
だれにも したがいたく ない くせに
ひとつのもじ に かんきん されてしま ....
とうとう雪が降ってきて
あの人をさらってくるチャンスがやってきた
今朝あなたは外へ 出られない
今すぐそこへ
生霊をとばすわ
雪がとろけてしまわぬうち
に
わたしの体からいま
切り離 ....
女性を虜にする素敵な呪文があるらしい
早速おいらはぐぐってみたよ
ぐぐる
ぐぐれば
ぐぐるとき
港区六本木に素敵なオアシスがあるらしい
早速おいらはぐぐってみたよ
ぐぐる
ぐぐれば
....
わたしが
うまれてから
なみだを
このてで
ふくまで
ちちははは
どれほど
こころを
ぬらした
ことだろう
いきていく
....
ぎちぎぎりちぎちちり
湖水が夜半に凍ってゆくよりもゆっくりと
圧縮する
大木を一冊の辞書にする工場よりも残酷に
圧縮する
ちぎちちりぎちぎぎり
なんとなまっちろい頸
この白いもの ....
青い壁は膨らみ私は身動きがとれない
東側の大きな窓は下向きになる
広場に立ち並び仰ぐひとびと
ぎーよんぎよんと振り子のように
揺れている世界
上下に左右に動きたわんでゆく風景
危う ....
夜ふと目をさましたら
胸におおきな風穴があいていました
最近苦しい恋をした覚えはないので
これは病気に違いないとおもったのです
翌朝ユリノキ通りの魔女の家にゆきました
ヤブって評判だけど ....
優しくはない
でも突き放すのでもなくほほを撫でる
一月の夜風は
軽い気持ちで靴音のメロディを運んで行く
もうすぐオリオン座回廊だよとささやいて
見上げる先で
いつもオリオンは ....
開かなくなった国語辞典に
埃が積もる
もう勉強しないから
鉛筆削りの音だけがなんとなく快感
学校の先生は
いまだ粉だらけ
黒板もチョークもべつに要らないのに
それが似合うのは木造校舎 ....
君と僕にできること
それは優しさの眼差しで
雪の白さを歌うこと
君と僕にできること
それは愛しさの眼差しで
山の青さを歌うこと
歌の心は見た目じゃなくて
揺り動かされた心 ....
焼き払われて
焦土と化した故郷の村に還ってきた
いちめんの砂地に転がる骨のオブジェたち
あたしの家のあった場所に
炊煙があがったような気がして
駆けよってみると
テントのまぼろしの ....
夕暮れ
男は空を見ていた
世の{ルビ何処=どこ}にも{ルビ属=ぞく}さぬように
草原に独り立ちながら
{ルビ只=ただ} {ルビ暁=あかつき}色に染められた雲が
宵闇に流れて姿を消してゆく ....
白線の内側におさがりください
融けかかった身体が通過して行きます
主成分は耳とし耳けるもの
声のいくつか
危険ではありませんが
触れると昔を思い出して
いささかに寂しい
窓とし窓 ....
夕暮れの空にはむくどりが群れて
毎日あんなことしてて
むくどりは飽きないのだろうかと思う私も
飽きもせず夕飯をつくる
いや飽きてるんだけど
夕飯に飽きても
生きてるのに飽きても
生きてな ....
染み込み切らず
床に溜まる夕刻、それは束の間
窓枠が区切って下さった一人分の西日は
結局は目の前で
床へ、床へ、沈んでいった
星といえばビー玉の中に
赤く青く黄色く、在 ....
私は、過去に一度も異性に好かれた事がない。こう書くと、コアで、およそおしゃれ感とは無縁の詩を書く一部の男性から「うおお。共感出来る」という言葉をいただけるのではないだろうか。
詩人に変な顔の人は多そ ....
壊れたカーテンレール
パーツは
カラカラ 音たてて
たどたどしく告げる一日の幕切れ
何千日ぶんの火蓋が
このカーテンの開閉とともに
切られてきたんだっけ
あと
何万 ....
緋色の帯を解く君は頬を赤く染め
何だか恥ずかしげな風情だね
帯止めの色目は玉虫だから
綴られた思いも刻々とその表情を変え
真新しい紙とインクのほのかな香り
読みかけの頁に挟んだ栞のよ ....
二日目。
雨が止まない。
夜が明けても、
そのまま降り続き、
今もまだ降っている。
お昼過ぎに、
カリミから連絡があった。
話したいこ ....
幹さん、
どうでもいいですけど
高円寺のキャバクラで詩人っていう名刺配りまくるのはやめて下さいよ。
大将二号店で2本目のつくねをほおばりながらキムがつっけんどんに言い放った
どうでもいいけどキ ....
大きな街のお空には
本当の空は無いと言うのに
太陽が高く射す昼休み
呼吸をふーーと吐き出して
皆が窓を開けた
深呼吸する時間 一斉に
大きな街のお空には
化学記号が飛んでい ....
靴下を洗濯籠に投げる
途中、失速して
僕の知らない野原に落ちる
しばらくすると
一匹の美しい横顔の生き物が
くわえて行ってしまった
もう何も無くさないようにと
決めていた ....
ぐはぐははひとじゃなかった
でもはぐはぐしちゃった
だってあったかいもん
ぐはぐはは「ぐはっぐはっ」よろこんでた
ぐはぐはいうからぐはぐはなんだよ
それってわかりやすい
....
森(木の子供と木の母親と木の娘 なびく 髪)
の(飲んだくれ くれ 酒もっと くれ 果物のなる木がいい)
く(鯨って見たこともない 触ったことも 綺麗 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138