帰り道に迷って
泣いてる子羊
あの空の羊雲は
違うよ
君の帰るところじゃない
涙を拭いてよく見てごらん
発見はいつも
ほんの足元からはじまるんだ
背伸びをしてると
ほんと ....
心のどこかで
青い空をうらんでいた
涼やかな風をにくんでいた
小鳥のさえずりがうとましく
夏の陽射しはまぶしすぎて
顔を上げることもできなかった
心のどこかで
ささくれは ....
化粧水の小瓶とか歯ブラシとか
絆創膏三枚とか手鏡とか
そんなものが入った小さなポーチ
あなたの部屋に忘れてきたみたい
わざとだなんて思われたらどうしよう
歯ブラシ一本 髪留め一つ
あな ....
どこかで風の止む音がしたの
走っていってみたけれど間に合わなかった
私の花園で赤い花が咲くことはもう無いでしょう
どこかで水の零れる音がしたの
走っていってみたけれど間に合わなかっ ....
あなたにわたしのことなんか
わかるわけなんかないでしょ
死んじゃえ
死んじゃえ
死んじゃえ
後悔先に立たず
4つ打ちのビートに乗せて
今夜お送りする
ハウス
ハウス
ハウス
あの ....
今日は私と彼の結婚パーティー
私も彼もとてもたくさんの人に招待状を出した
なのに私の友人は誰も来なかった
唯一来てくれたのは私の七年来の友人
「一匹のトカゲ」
会場は彼の友人達で埋め尽く ....
わたしは半分
半分しかない
上手く言えない
だって半分だから
半分しかないから
上手く歩けない
上手く息ができない
上手く泳げない
いつも悲しい
ボール紙で出来た
四角いお菓子の箱
砂に塗れて
埋もれていた
ガムテープで止められた
蓋をこじ開けようとして
恐怖に手がすくむ
この中には
赤ちゃんが入ってる
たぶん
....
恋人よ
その安らかな寝息をまもれるのか
わたしは
同じ所に{ルビ止=とど}まっていられない
飽和した
硬質な怠惰の
夏の深奥に
ワイシャツが青く干されていて
ノイズの走るレコードが ....
知らないホテルの片隅で、
丸くくるまって君の寝顔を見てる。
ひとりでは眠れないというから、
毎晩、君が寝付くまで色んな事を話す。
あの鮮やかな初夏の想い出を、君 ....
窓から窓のかたちの風が来て
わたしの前に箱をつくり
ゆうるりゆうるりまわりながら
冷たい心のありかを示す
あたたかな胸とあたたかな声が
わたしのまわりに円を描く
今は静 ....
心のどこを探しても、
怒りも憎しみも憎悪もない。
それとは正反対の感情が、
海の様に広がって、凪を打っている。
愛情と愛しみと友情。
そして変わらぬ大切さ。
....
僕はきっと虫なのだと思うありふれた夜。
その理由はいくつかあるのだけど、つまりそれは虫であるはずもない僕の外見からは想像もつかない。たとえば横断歩道をわたろうとするとき、わき腹のあたりがむずむず ....
真っ昼間の北新地を歩くのが好きだ。
北新地というのは、大阪キタの高級クラブやスナックがひしめきあう歓楽街だ。バブルのころは、それこそ“座っただけでウン万円”という店がごろごろしていたらしいが ....
歯茎を剥き出しにして吠える
力いっぱい命を賭けて
八方塞がり敵の山
味方をつくってはいけません
明るくひらけた視界には
憎しみが眩しく照り返す
慈雨を
私に許しを
ささやか ....
お遅うございます。
夜ですね。
昼行性の私達は眠る時間です。
今日も一日しっかりと体を弛緩させてください。
データをバラバラにして整理してください。
自分の事をずいぶんシンプルと思っていまし ....
夢も希望もありふれている
嘘も現実もありふれている
失意も絶望もありふれている
不幸も幸福もありふれている
ありふれた
なにもかも
何でもある
世の中に生きて
ありふれた
真 ....
ひがしのそらに 夕焼けをみた
まぼろしだよ、と
ひとは笑う
からんと音をたてて
百円玉が落ちた
ころころところがって
排水溝に飛び込んだ
現実と、そうでないもの
境界は気付いた ....
日本の現代詩の中で散文詩の占める割合は、無視出来ないほどに大きい。ある程度名のある詩人たちのうちの多くが、散文詩を書いている。散文詩とはいったい何か? ここのところ、個人的に頭の中が散文的になってし ....
廃墟で美しい女が窓を拭いている。
手にしていたのはハンカチか、雑巾か、どちらにしろ
窓のガラスは全部割れていた。
柱の陰から鼠が、いつかいつかと
女を驚かす機会を伺っていた。が、それは無駄だ ....
驟雨だ
突然、空が明滅し
絞らないままの雑巾が
今の私
打たれてはじめて
体温に気付く
人間はそんな生き物
百貨店に駆け込み
ぬくもりを求めても
空気圧縮機がはき出す冷気 ....
お嬢の小唄を
宙に放れば
おてんと様が照らしてくれる
小僧の小唄を
地に撞けば
根っこの隅々しらべてくれる
手毬唄、ひとつ
この手に優しい
中身かどうか
優しくこの手に帰 ....
情=なさけとは
違うのだよと
言ってやりたいのです
愛情=愛のなさけとは
違う受け止め方ができるように
情愛と書けば
更に愛は深まると言うのに
あなたは少し
情という言葉の ....
昼が過ぎる。真夏日が待機した窓を開いた。
半裸な都会の露出度は、夕方に足を突っ込んでいる。
ベランダから返り討ちをしてやろうと、長袖に手をかけてやめた。
―ソファーの色、体毛よりも淡い、素肌 ....
約束の時間から3時間も過ぎても サユリは現れない
ぼんやりと待っていても仕方がないので
とりあえず先に出発することにした
目的地は とある湖で
そのほとりに 以前来たときにはなかった小屋が ....
病めるものたちが
殺めるものたちが
羽の手に触れようとやってくる
細く赤い髪の毛が
かすかに肩を撫でている
ひろげたふたつの腕のなかには
目を閉じた笑みが咲いている
ほとば ....
愛しのフランケンシュタイン様
あなたに隠していたことがあります。
あなたをそのような愚鈍な怪物に
創り上げたのは私なのです。
ただわたしだけを見るように
ただわた ....
知り合いのレストランのオーナーシェフから聞いた話。
そのレストランの常連の客に、貿易関係の会社を経営するBさんという人がいた。Bさんには、もうじき小学校に入学する香奈ちゃんという娘さんがあり ....
縁側に近い場所に
房スグリ
隣に
コデマリ
庭を囲むように
南天
ドウダンツツジ
都忘れの花と
なぜか
マーガレットを植え込んで
お花
お花
お花がたくさん
春の匂い
夏の ....
脳みそが
君にとっぷりと浸かってしまって
手がつけられない
引きずり上げても 引きずり上げても
ひたひた滴る君の残像が
後を絶たず 伝って落ちる
もはや私は 君で形成されている
....
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