在る
始まって以来続いてきて
この枝の伸びやかな道道に
茂る葉の呼吸は瑞瑞しい
それも
小雪のちらつく昨夜の雲上の月も
陽炎のゆらめく送り火も
私を育ててくれる花娘
季節の ....
その日も、少年(予定)は、間違えた言葉をそのままに口にする
変換の仕方も削除の方法も、最後には気付けないことばかりなので
いつまでも、「あ」と「い」が上手く発音できない
それでもいいか、なんて思 ....
涸れ果てた喉を潤す故に
あなたは涅槃まで水を引くという
(お空あお過ぎて
(わたくしの心模様もあお過ぎるのかしら
あお空を見上げ続けることは
あまりにもつらくて虚しいから
....
じきに三月尽であるからして
桜満開
梅は散った
夜のあいだ働いて
朝がきたら酒を飲む
なまぬるい部屋で
カーテンを閉ざして
なにもかも逆さまで
だってほら
無言に近い状態 ....
空は 晴れて
緑が 萌えて
鳥は 唄う
どうしようもなく
春で
朝で
まぶしくて
どうしようもなく
私は
女で
せつなくて
風が「る」のような ....
君は頭でっかちな赤と白のブチ。ぶくぶくと
揺れるコカナダモに身を委ね、退屈そうな気
配で天を見上げる目玉に映るのはどこまでも
青い空に気まぐれな白い雲のブチ。
自慢の ....
この日頃
心に映ったいくつかの言葉たちが
モビールになって
中空に
揺れる
長椅子あたりに
たたずむのは
けれどもう溶けて消えかかっている
誰かの
不在の
かたち
陽射し ....
たかがでは済まされない地平線に
ひとり佇み
夢は夢のままで
あるべきことを求められ
目覚めのときは何時も
偶然を装っては
ありのままの姿を
目の前に突きつけてくる
くる ....
花色を
包むような霧雨の
白く
ここはまだ、冬の肺か
冷たい呼吸の薄い圧で
梅が散り
色は
夢でしたか
混迷を招く為の五感なら
あ、
あ、
快く陥り
....
光と暗黒の中間点には
雨の差し込む隙間もない
密閉された空間があって
そこから
たった一本の セイタカアワダチソウが
吹いてもいない風に
反応、それを折り取ろうとしている
いっぽんの 手 ....
きっと白に近くあり
霧雨を含んだ夜のなかに
咲き急いだ桜がひとつ
白く闇を破る
陽射しを浴びて
咲き競うのは
きみ
きらいですか
こんな湿った濃紺の中で
意表を突いて ....
(割れ落ちた心の軋みより流れ出す)
せせらぎの音に我身を任せ
消え入りそうな意識の果てに
あなたの額より滴る汗の熱さを慕う
さよならってどこまでも悲しいのね
狂おしさは許されぬ愛 ....
即興仕立てのアーガイル
クロコダイルのジェントルマン
羽織って笑う田舎もの
アーカイックスマイルに
油断したのが致命傷
ダムダム団のダムダム弾
無駄にぶち込む機関銃
カムカムボディの ....
そうこうしているうちに
衣をとられてしまって
騙されているほうがよかった
と中川から帰っていった
{引用=fromAB}
父、抑留始まる
ゴミ箱にクローゼットをしまう
近親憎悪の目に晒されながらも
脱皮を繰り返し
それでもよくケラケラと笑い
スクスクと育ち
糸をほどく
糸は糸だらけになり
パジャマ ....
つみかさなっている遠さの てっぺんに憧れ
冷え切った形の流動する 煙仕掛けのからだ
あら、今日もあいさつをしている朝焼け
分解の森でうすわらい 月の咆哮の真空放電にしびれる華 ....
誰から声をかけられるでもなく
彼は{ルビ日陰=ひかげ}を静かに歩む
足元に人知れずなびく草の囁きを聞きながら
上というわけでも
下というわけでもなく
{ルビ只=ただ} 彼は彼と ....
私は足場の固まった
真新しいベランダに立っている
腐りかけた古い木の板を{ルビ軋=きし}ませて立っていた時
私は世界の姿をありのままに{ルビ見渡=みわた}すことができなかった
今 ....
あのレストランの前を通り過ぎるといつも
寂しげな人影が窓の向こうに立っている
何年も前、飲み会を終えた夜
あなたはいつまでも電車を降りず
家路に着こうとしていた私は仕方なく
....
私鉄沿線のダイヤに則り
急行列車が次々と駅を飛ばして先を急く
通路を挟んだ窓を
横に流れるフィルムに見立て
過ぎた日を思えば
思わぬ駅で乗り降りをしたわたしが映る
網棚に上着を ....
「わたしたちのからだ ここに入るのね
その言葉は 墓前に供えた白い花より麗しく
遠くに 在るもの いつか 訪れる
その日を見据えては 永久 に さすらい
「わたしたちの心 あの雲に ....
春だから って
がんばらなくても
いいんだよ
桜のつぼみが
あちこちで
ちっちゃな
熱気球みたいに
今にも舞い上がりそうでも
はりあうように
がんばらなくても
いいんだよ
....
おふろばのタイルに 線を
ななめに引く
わたしの、ナチュラルは
メイク落としの途中
まだ、水でながしていないとき
のぞきこむので
ゆぶねの、
なにもないさみしいところに
映りこ ....
小さな夜
小さな部屋に
小さな明かりを灯して
泣き叫ぶくらいならどうか
美しく歌わせてください
姿なく鳴く鳥の声は染み渡り
深く胸のうちで跳ね返り
まるであなたを ....
飲むヨーグルトを飲んだ
飲まないヨーグルトは飲まなかった
食べるヨーグルトは食べた
食べないヨーグルトは
食べなかった
幸せなヨーグルトは
幸せに満ち溢れていた
虹のかかるヨ ....
生後四ヶ月の娘を朝の5時からあずけれるような
保育所をさんざん探してさんざん電話をかけたあと
少し詩を読んだ
被爆者のケロイドを体に負うことが
物事を理解することではない
とりだされ ....
男は速度を
なくした
それは
止まる
ことだった
男は欲した
口に言葉
手に文字
そして
生きた
自治区
と呼ばれる
区域の
辺境の村で
男が再び速度を
手に入れたと ....
はしっこの村に
紙切れが落ちていた
落ちていたから
拾われて
破かれて
新聞紙のように
破かれて
靴の汚れを拭かされて
綺麗になった靴を見る
この先どうされるのか
分からない
分 ....
片足だけ靴履いて
レプラコーンに会いに行こうよ
どこにも続かない道を
どこまでも行こうよ
朝焼けに燃え尽くされて 空
「熱を帯びたから、私行くわ。」
そう言うと 彼女の全身から
冷たい汗が吹き出したのだった。
憶えているのは 丸い尻
しっとりと 揉んだ
憶えているの ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138