地面で眠る古い足
死なない兵隊に花束を
積み上げる双葉の
匂いに酔っている
花束がどうしても見つからず
ガソリンに指を浸している
うるせえ、亡霊
うるせえ、亡霊
うるせ ....
一日の終わり、日めくりカレンダーをビリッと。
その紙を正方形に整えて、今日は今日の鶴を折る。
ビルとビルの間に
空が四角にくり貫かれている
青だ、真っ青な青
向かいの串カツ屋は今日も元気に営業している
提灯が赤、黄、赤、黄、
呼び込みの兄ちゃんが一人
風が吹いている、大きな ....
郵便受けの側に男が立っていた
誰なのか聞くと
まぼろしです、と言う
最近のまぼろしは良く出来たもんだ
そう感心しながら
差し出された朝刊の尋ね人欄を見る
今日も僕は
行方知れずら ....
緑の木葉が揺れている
私は大きく息をする
一人の孤独なわたくしが
初秋の大気を思い切り
吸い込み、黄金の日輪のなか
自らの不安定さをのりこなす
よすがを必死に探している
広がる雄大な ....
震えが止まったから
詩を書こう
今日は雄大な青空が広がっているから
その素敵な一瞬の光の下
年老いていく日々残余を祝福し
孤独死すら受け容れる
そういう人に私はなりたい
....
なんにもない
なんでもない
ぽかんとあおぞらひろがりまして
しずかなかぜがふいている
むおんのかぜがふいている
なんにもないわたくしは
まちのけんそうのただなかで
たいこのお ....
西陽が射し込むイートインで
コーヒーを飲んでいるわたくしに
黄金に染まる街並みが
光溢れさせ迫って来る
その瞬間瞬間の美しさ
この星の大きな優しさに
包まれ私は法悦となる
地球の青と ....
通り過ぎていく物売りの声が
私を非難したのかと
過敏になる窓の隙間から
秋風がするりと
いかにもなれた振る舞いでカーテンを揺らし入り込む
今直面している重大な問題を
言い当てられた気 ....
標識は未だにない
グーグルマップも役に立たない
振り返ってみると
そこそこに長い路が見える
もちろん数多くの十字路も
その十字路で
選ぶ路を間違えたことも
いまになれば分かる
でも ....
開かれる
空の瞬き青々と
白雲棚引き
行方は知らず
哀しみ溢れて
秋風の吹く
北向きの窓から
ふいに
秋の
風が産んだ子が走り抜けていく
本のすきまから伸びた
栞のしっぽが揺れ
亡くした猫のしっぽも揺れ
過去が
耳なかでちりりんと揺れる
寝転がると
窓い ....
風呂上りに
歌舞伎フェイスパック
ほてる顔にぴたっと貼る
冷たいシート
目と口をそっと出す
鏡に現れたのは
赤い熊取の入った顔
この顔で表を歩けたら
「暫らく」と声をかけ
ポーズ ....
乳歯は永久歯にとってかわる
はずもなく
血まみれの口の中に
ぐらつく歯二十本
諦めないという
愚かな行為の因果
歯肉に癒着した歯
私の強い意志
....
なにも恐れず、ひょいと逆上がり。
宇宙飛行士になる夢、ひょいと叶う瞬間。
何処かの公衆トイレの壁にされた
落書きみたいに
俺の体の中から卑猥な文字が消えないんだ
でも
男だって女だって誰だって
それは自然だろ
それにしても
女は化粧するし
丈 ....
変わらないと思っていても
変わりゆく故郷の景色
帰省のたびに
何処かが変わって
昔のままではない
町の雰囲気も少しずつ変化する
畑や田んぼが減っていく
川は相変わらず綺麗
....
緑、揺れている
ゆうらりゆらら
梢の向こうに青い空
昨日はこの宇宙の片隅で
街を驟雨が濡らしていき
青紫に染めたんだ
ピカリと光り響きながら
青紫に染めたんだ
緑、揺れている
....
人の息と
息の間で
僕は
息をした
僕の息と
人の息の間で
君は息をした
僕の息と
君の息の間に
朝はあった
毎朝
朝があった
生きていれば良いこともあるさ ....
恐竜は
飢えて死に絶えたのではなく
進化して鳥になったのだそうだ
絶滅危惧種のマナティに
沖縄で会ってきた
大きなからだには決して広いとは言えない水槽で
くるくる
楽しそうに回転して ....
季節は流れ詩は座礁して
はるか太平洋の真ん中の島に流れ着くだろう
いきることが何かの証明ならば
返す言葉がつまづいたままでいきてゆこう
あるいは人生に返す言葉を紡ぎながら
座興だ ....
光溢れる
今日という日を
歩いていく、人人人
何の目的もなく
何の行先もなく
ただ新しい出逢いを求めて
一回限りの生を燃焼させて
そうだったらいいのになあ
そうだったら素敵なのにな ....
「わたしのたわし、タワーにたわわに実ったわ。」
君のたわいないたわごとに、僕はわたわたしたわ。
夜中
外がやけに騒がしい
雨が降りやがる
風が追い討ちをかけてくる
ウルサイ
うるさくて眠れねぇ
台風のヤロー
いい加減おとなしくしねぇと
ただじゃおかねぇぞ
さっさとどっか ....
スキップは出来なくてもいい。
三途の川は歩いて渡るし。
高齢者の運転は危険だよって
母から車のキーを取り上げた
買い物に行けなくなっても
母は文句ひとつ言わない
ただ
バッテリーが弱るから
エンジンだけはかけてやってと
小さな声で頼まれた
....
肩が痛い
もうずっと以前から痛かったような気もするし
肩が特に痛いことを日記に書き留めておこうと思った時ぐらいからは
丸一か月は過ぎた
色々対策を試みてみた
少し良くなった時もあり
悪 ....
去っていく夏が感じられた今日、
斜光が大地を均一に照らし出し
涼しい微風が絶えず吹いて
僕は独り
夏の後ろ姿と入れ替えに
やって来る秋の姿を受け止めた
何もかもが遠く浮き立ち鮮やかにな ....
人間の3つの美徳を挙げるならば
柔和 誠実 ほほえみ
人間に3つの悪徳があるとしたら
傲慢 打算 ぼくみたいな飲兵衛
偶数が好き
奇数は不安定だから
きみもぼくも奇数月 ....
どうしても
無欲には
なれない
なれる訳がない
それどころか
この心も体も欲望が満載で
特に体は
時には自制がきかない
選ばれた一握りの人間にはなれなかった
俺は
満載 ....
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