樹間から
覗く秋晴れの青、
ふるふる震え
金木犀の香が舞う夕べ、
時はすっかり透き通り
遠い記憶の余韻が響く
)何があったか
)細かいことは忘れちまったが
)ただ喜びと懐かしさだけ ....
哀しみのステップ踏みながら
いずれ遠ざかり消えてゆく
大きな爪痕をこの界に残し
大きな爪痕をあの界に携え
途方に暮れて消えてゆく
)自分は場違いだって気がするかい?
)自分は意味のない ....
網戸の外は青い空
網戸の内は灰の心
青はあくまで深さ増し
鬱はどうにもどん底で
世界と私は無関係
私が無くとも世界は続く
ああ、全くそれなのに
涼風が肌を不意に撫でる
その ....
ひっきりなしにしゃべっている
ひっきりなしにしゃべっている
沈黙の間が恐いのか
それは確実にやって来る
それは傍らに忍び寄り
それは傍らに息づいて
沈黙の間を押し広げ
未知なる問 ....
かなしみは
雨降るなかに
浮き上がり
泣いているのは
誰なのか
こころの奥処で震えている
遠く遥かな心象を
雨が静かに消していく
冷たい雨は降り続け
街はけぶり霞んでいき
救わ ....
あまたの声が木霊する
陽炎のように消えゆく前に
それらの声を抱きしめる
遠い地平と波打つ黄金
わたしは彼らと交わった
消えゆく前に、消えゆく前に
もう一度だけ抱きしめて
黄金 ....
遠くで鐘が鳴っている
ひんやり切ない秋の日に
何処までも高い青空に
追いかけても追いかけても
決して追いつけないあの場所で
(金木犀が軌道を舞い
秋の大気が生まれるところ)
遠くで鐘 ....
哀しい象の群れ
午前中夢を見た
恋を踏み潰せ
心の中のアッフリカ
現在、日本国内の人口の約1/3、4,000万人以上が近視と推定されている。
近視人口の増加はとどまる所を知らない 。
生活を取り巻く目を酷使する環境、パソコン・スマートフォンなどの長時間利用が主な ....
雨降る夜に
孤独を曝し
けぶる地平へと
走っていく
滾る思いを
冷雨に濡らし
救われないと分かっていながら
逃れられないと分かっていながら
夜闇のなかを走っていく
ひたすらに、 ....
夏の空、玄関口
立ち尽くす我
庭木の揺れ、うねる大気
ああ世界が広がっていた!
己とは無関係に
何処までも眩しい異郷が
五歳の時のその体験を私は決して忘れない
じぶんとは全く無関 ....
詩人の肖像は
誰にもわからない
あるときは
長く執拗な夏
異教徒の祈り
暮色の岸辺の苫屋の
清貧という夕餉
園遊会での貴婦人の
緊密なコルセットの誘惑
屋根裏の経済 ....
肩を抱きたい 肩を抱きたい、
麦わら帽子 夏のワンピース 黒髪
もてあます上唇を
さらにもてあます下唇が支えている
清楚な肉厚の均衡
開かれて不意にホワイトニング 鈴の音のようなホワイトニン ....
光が満ちる
のどけき午後
突き抜ける青
天高く
涼やかな風、一吹き
もう秋ですね
もう秋ですか
ちょっと驚く
僕の脳裡に
軽快なロックンロールが鳴り響く
やわらかな ....
西の空はコバルトブルーの残照だった
東の空には大きな満月が赤々と昇り
この地には不適応な僕が未だ息して
途方に暮れた名無しのまま
遠い記憶の余韻に包まれる
光、宇宙から放射され
万物、 ....
秋口が開き
無辺の静かさ、響く
赤々と彼岸花咲く土手の向こうから
手招きするように
ゆっくりと、ゆっくりと
)もうはっきりとは
)思い出せない過去がある
)色褪せながらジリジリと
....
秒速2m
まだ来ない夜明け
一日ごとに
増えていく知識
一秒ごとに
尽きていく命
得たものはいつでも
失ったものに釣り合って
途方に暮れる
秒速2m
夜明けが追い越 ....
降り止まない雨が
心の奥底に言葉を溢れさせ
魂の隙間から
零れ落ちるような光滴たち
無数に煌めき散逸する
終わらない旅路の果てに
訪れるもの一つ
想い描けないなら
何億もの地上の眼を掃 ....
通りすぎる街並みには
金木犀が甘い香を放ち
賑やかだった蝉の鳴き声は
示し合わせたかのように静まり返り
秋が熱した夏の背を押しやって
青く青く立っていた
あゝまた来たのだな
わたしは ....
青白く痩せた君から放たれていたもの
僕はいつも怯え痺れた
じぶんという核が剥き出されて
漆黒の宇宙に放擲されていくように
残された肉身が断崖絶壁を何処までも墜落していくように
途方もなく ....
日がな一日
謎は謎として在り続け
私は五感の縛りに沈む
思いは鬼火のように揺動し
逃れる的を掠めていく
現象する本質を
律動する思考を
掴みかけては取り逃し
夢の底で溺れている
予感 ....
剥き出されている
神経は逆立ち
風雨に鳥肌立つ
紅の樹木は激しく波打ち
瞳をくりくりと輝かせた
木登り少女は姿を消した
何にもない、何もない
意味は全て剥奪され
記号だけがひょ ....
外界があるのに
自分だけに関わり
ひたすら孤独な創造作業をしていかなければならない
彼方から打ち寄せてきた世界を
創造して 創造して
内的な孤独に没頭する
宇宙の闇の時間、
宇宙の真夜中 ....
西の空が晴れた夕暮れには
宵の明星が黄金に輝き
地上から仰ぎ見るそれは
宇宙の高貴を惜しみなく放つ
この星に生まれ
過ごした日々は
ただただ眩暈
余りに早く遠去かり
余りに遠く奥ま ....
雨が降る
夜更けの街に
濡れていく
ひたすらの闇
広がって
向かいの家に
点る灯り
故郷のように
懐かしく
忙しく動く人影が
家族の居場所を
教えている
ひたすらに
広が ....
静けさ 揺れる
にわかな雨、
光の空から
降り注ぎ
宇宙を回遊する言ノ葉たち
凝集しては散開し
思考の流れをこの界へ
屈曲しながら艶やかに
在る物、在る物、造形する
静けさ ....
ちいさな
ちいさないのち
ちりはて
遠いみ空を
かけてゆく
)境界線を越えたなら
)きっと合図するからと
)しろくはかなくそう言った
)ちいさないのちにあふれる涙
あめがふり ....
思考が蠢く
蟻塚に居るかのよう
思考は生きて息していて
感覚を楽しませるために!生きている
感覚を楽しませるために!生きている
そして抜け落ち墜落していく
そして抜け落ち墜落していく
....
カツサンドを食べて
心臓を強化しようとしたが駄目だった
美味しいんだけどなあ
強化の効果はない
お茶を飲んでしばしの休憩をとると
夢の中でキスをされて
有頂天になっていた
つまり私は寝て ....
哲学者と詩人と新宿のホームレス
もしも資質があればなんにでも
応用数学者と宇宙物理学者あるいは
ドビュッシーとツトム・ヤマシタ
こんな問題意識で生き伸びても
脳力もないのに戸惑うだけ ....
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