みさめがふりつづけばつちはながされて
                 わたしがうまれた
由来から植物は埋もれ酵素も分解されて
              腐食の生きものたちがはみ出してくる ....
20代後半の頃、ボランティアをしていた事があった。

それは人生で唯一、サンタクロースの恰好をしてジングルベルを歌うのを自分に許せた季節であり、一銭にもならない仕事の代わりに、食べきれない量のお菓 ....
君の吐息はちいさな部屋の空気を揺らし
君の想念はだれかのベッドにしのびこみ
不思議な夢を紡ぐだろうか

ヴィトゲンシュタインにも小さな教え子に
猫の骸骨を組み立てさせたり
社会実習を経験さ ....
光が渦を巻いていた
熱風が絶えず吹いていた
人々は次々と歩き過ぎ
俺は串カツ屋の前で
アイスコーヒーを飲んでいた
とても苦い味がした
身体が熱く燃えていた
生きることに飢えていた

 ....
ぎらぎらと陽が照っている
草木が緑に燃えている
世界はゆらゆらと揺れている

折しも二匹の紋白蝶が
絡み交わり輪を描き
白々と視界を過っていく

いったい何処へ行くのだろう?
自ら描 ....
生活苦にはお金がいちばんにきく注射針
日々の生活からお金がなくなったら
命が潤滑に回らなくなる

夫婦は無理して家を買ってしまった
引き換えに
住宅ローンが重く重くのしかかってきた

 ....
有刺鉄線をいじっていたら
異常にこんがらがって溶け始めた
俺の熱のせいか、指先は既に燃えていた

 閉じ込められたまま閉じ篭もったまま

砂漠に墜ちたプロペラ飛行機
赤いいきもの達が列を ....
右手を差し出す
空間に
グラスは掴めず
ゆらゆらと
さ迷い
宙に静止する
行き場を失い
伸びたまま

  *

探し物は
見つからず
宙空でくてんと
伸びた手が
在らぬ方 ....
土塊を捏ねる
指先に気を集め
煮え立つ熱を流し込み
ゆっくりしっかり力入れ
未定形の粘る分厚い土塊を
思い思いのまま捏ねくり回す

捏ねくるうちに不思議なこと
土塊と指先は拮抗しながら ....
この宇宙に
何かが流れ出て
わたしが生まれ

太古のヒカリ
夜の底から
力を貰い

未来のヒカリ
わたしから流れ出る

捧げられ 捧げる 全ては一途な捧げもの




 ....
青年ではなく青魚として、この夏をするりと越えてみせる。
一人ではなく一匹として、父の川を泳いでいた頃の身軽さで。
毒があるんです そういって
その花は泣いた
拭っても洗い落としても 
緑の茎を伝う紫の雫
花びらの裏側に
にじみ出てくる薄暗い素性
どうしても許せないという
戸惑い 悩み
毒などない振 ....
不条理な場面に引っ掛けられ
怒りに駆られ足掻いたら
余計不条理な沼に引き摺り込まれた
泥沼、ドツボというやつだ
晴れない濡れ衣を着せられて
反射的に手を出して
いつも馬鹿を見るのはこの自分 ....
 心の野辺

ゆらんゆらんと
揺れる森の紫陽花は
暗い雨空に青く浮き
翳る心のこの野辺を 
仄明るく照らし出す



 お買い物

遠く揺れる紫陽花に
呆けた顔して立ち尽くす ....
この大雨のなか
幾つもの黄土の波線が
水浸しの校庭を遥か越え
何処までも走っていく
わたしの意識は冷え冷えと
その光景に呑み込まれ
どんどん平たくなっていく

荒い呼吸を繰り返し
次 ....
絵心なんて欠片も感じられない
相応に絵の素質なんて持ってないだろう

公衆便所の個室の壁に書かれていた
下手くそな絵の落書きは
下品で卑猥だった

作者は用をたす前に書いたのか
用をし ....
あなたから
教わったのは
こころの殺しかた
海に染み込んでいった夕陽は
逆さまの血のしずく
波にたゆたう血の油

何度も殺しました
あなたに気に入られようと
あなたに見つけてもらえ ....
七夕の晩、みそ汁の具は短冊に切った人参と大根なのです。
根菜の短冊に恋の願い事をする男、僕はそういう男なのです。
あじさいの花房は梅雨の色
差し出した白手を青く染め
この七月の静かな一時
あなたは寂寥と戯れる
うっとりとした顔で戯れる

時は輪切りにされ垂直に立ち
私は今日も相変わらず
わかりやすい罠にはまって
人がいいと思われている

湿度に混入された優しさを
享受できない自分は
永遠の独りぼっち

苔むした墓石の
インフレーション

雨 ....
折り重なっていく哀しみが
心の記憶の麻痺を誘う
夜な夜な闇の奥で呻いては
心の涙を溢れさせ

いったい、何があったのだろう?
実感は薄れ
過去の断片が浮かんで沈んで

時は個別的な死 ....
「詩人になれたら死んでもいい」
と、みかちゃんが言った
「あたしは詩人になれなかったら死ぬ」と言い返した
あんなにあたしたちがなりたかった「詩人」て
なんだったんだろう

私も彼女も
自 ....
光を求めて集まったのに
そのまま殺される虫のように
希望を求めて生きて生きて
その挙げ句に朽ち果てるとか
有り得ないことが現実になる
だって私は世界の中心じゃない

それでも運命って何か ....
未来から
遠い遠い過去の木霊
確かに響いてくるのなら
私たちはもはや何処にも属さず
あらゆるものに優しく開かれ
柔らかに終わりを待てばよい

)あまたの感傷を一つの確信に変え

ふる ....
好きにとどかなかった恋

今年は咲かない紫陽花

傘の下で雨宿りする雨

見えないテレパシー


あなたにとって何度目の夏?

市営プールに沈んで降水確率100%と笑う私 ....
熱風吹く光の午後、
女の子が木に登って
何かを夢中で取っている

何を取っているの?

思わず私がそう問い掛けると
女の子は秘密を見られた顔をして
突然姿を消してしまう

木の下に ....
任務を遂行する
者達のヘリが
轟音響かせ
空を行く

青い青い海原だ

揺れる送電線、揺れる送電線

彼らは何処へ向かっている?
この無限の海原を

粛々と 粛々と

風に ....
私は長いエクステをつけて
フェイスシールドに嘴を書く
ちいさめのゴム手袋は
水掻きに見えるだろう

それから長い祈祷に入る
疫病退散
疫病退散・・

ついでに地球温暖化
露呈した人 ....
 詩狂句 六十六歳 ボケ防止
 あらいやだ そっちじゃないよ 楽な方
 ビンゴやる 食中毒当たる 食事会
 押し絵だと 教えて欲しい 指先に
 デリケート 双子だったか バリケート
 左折す ....
明けの明星、涼やかな風
柔らかな毛布にくるまれて

時間は緩かに流れていき

浮遊する意識、わたくしの
居着く場所、この地球
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