あれから 何年になるだろう
きみのくるはずのない
湖の近くの
想い出のカフェのドアをあける
きみがお気に入りだったのは
さざ波や船をみわたせる水辺の
海辺のカフェテラスとこの ....
異国のホームで
異国のことばでアナウンスが鳴る
ぼくはあなたを突き飛ばす
そのまま消えて霊界に消える
あなたは白い花いちりん
揺らしながら坂道をくだっていく
街路樹 ....
雨色の絵具
乾かない涙と癒されない傷のために
散り果てた夏の野の花を
鎮魂に疲れ果てた大地へ捧げる
生者の燃え盛る煉獄へ
死者を捉えて離さない
空砲の宣言と
紙で織られた翼のために
憤 ....
蝉の声が木霊する八月
風もいくらか涼しく感じる
この頃一日が飛ぶように過ぎてゆく
一時間が 一分が 一秒が
飛び去ってゆく
人生も暮れかかり
淋しく感じるこの頃
蝉時雨の ....
響きの粒子揺れている
暗がりから明るみへ
ゆらゆら粒子の揺れに揺れ
生きる糧としての音楽は
わたしの孤立を心の穴を
響く旋律振動で充たし
新たな力を注ぎ込む
そうしてわたしは立ち上が ....
1.墜ちた小さな太陽
白夜には子供たちが
祭典に訪れる黄昏があったとして
平和が続く夜空に
祈りを捧げていたばかりでした
かつて遠い昔
世界大戦で投下された
広島と長崎では
人間た ....
佇んでいる。
びたりとも動かない水だ。
この夏、そんな水を見た。
早朝、いつものように堤防道路をのったりと散歩している時だった。ぼくは、不意に気づいたのだ。音がしない! いつもの音がしな ....
海は想う
「わたしを包み込むこの方は誰?
凪いだわたしを優しく撫で
荒れ狂っても受け止めてくれるこの方は
空は想う
「ちょいと撫でりゃこの通り
吐息一つで身をよじりやがる ....
趣味で生きているんです
死ぬこともできるかもしれないが
くだらなくとも
生きてゆくことが
せいいっぱいの趣味なんです
まだまだ生命活動を続けたいと
こころが言っているようなので
....
日々の暮らしの中で
言葉の海を泳ぐようになった
なにが良いのか
悪いのかわからぬまま
てきとうに
真剣に詩を紡いでいる
私という一人の男が
悩んだり
叫んだりして
右往左往し ....
手にしたものは
零れ落ちてゆく
空しい野望
抱きしめて空へ
黒雲がうかぶ
ころがる風
訳のわからない
感情
....
世の中は宇宙のルール
銀河はパトロール実験場
船に乗って追憶の旅路
きみの知らないぼくはいない
ぼくの知らないぼくもいない
世の中は宇宙のルール
銀河はパト ....
20時の路上で韓国タイヤに轢き潰された灰色ネズミが遺言のようにブルース
ショッピングモールの液晶ヴィジョンに映し出された若い殺人犯の既視感
民家の軒先にぶら下がる崩れかかったカラの蜂の巣は
....
きみはいきものたちの銀河だ
気持ちは時間でしか消せない
宇宙のどこを磨こうかって
まるで心のなかみたいだ
磨く所があるから美しい
あるから浄まりもするのだ
きみはい ....
僕は竹輪が大好物で
性格も 真ん中がからっぽで
夏場は風通しも良いが冬は寒い
いまだに大好きな彼女には文無しの飲んべえだと
思われているのだが残念ながら
ほとんど当たっているのでとても悲 ....
微かな風にも
焦がれるように
敏感に
強いうねりにも
折れることなく
身を委ね
ガウラの茎は
細くしなやか
背伸びするように高いところへ
花をつける
蝶々のように
....
昼に蒸された夜の町あかり
花火のあとのような煙や雲
おまえはスーパーに駆け込むのか
ならばおれと食事に出掛けようよ
お祭りあとの夜道にひそむゆらゆら
降りもしない雨の ....
暗闇のなか
玉ねぎを炒める香が
道向こうの団地から
風に乗ってやって来る
瞬間、
懐かしい顔顔顔 浮かんで
自然と涙が溢れ流れる
〈温ったかいな温ったかいな〉
僕は公園のベンチに座りな ....
夏の朝 川沿いを歩く
決して先を急ぐことなく
ゆっくりと歩く
忙しさを忘れ
川のせせらぎの音に癒され
水の流れを見つめる
水の不思議な心地よさ
毎朝 好んでこの道を往く
光 ....
習字が変だった
その習字を止めると
さらにへんで
ロバのドンキーや
ロバのロシナンテと
邂逅する
へん(恐怖)から逃避して
父にパチンコ屋に連れて行ってもらうと
鵜の国が近くの貯水 ....
理不尽なことは誰にでもたびたび訪れる。
ひとならば誰もが、他者よりも自分を立てたいものだ。
だから理不尽なことに堪えきれず反撃、もしくはあからさまな無視をしてしまう。私もそうだ。
で ....
{引用=*名を呼ぶ}
名を呼ぶ
ここにいないあなたの
井戸へ放った小石のように
真中深く 微かに響き
瞑っても
抱き寄せることはできず
こみ上げる揺らめきの
糖衣はすぐに消えて
....
僕たちの友情はいつまでも
変わらない 乾き物なので
宅配に託しました
三百キロ離れた 友人の住むところへ
僕たちの友情は
花に胸をちぎられて歩きました
高い雲の下を
電線がゆるく垂れ ....
海は悲しく吠え 蝉しぐれが煩くて
わたしは耳をふさいでいた
庭の向日葵がやけに明るく咲き誇り
空に入道雲が暴れていた
夏の日に祖父は逝ってしまった
水平線に舟をこぎ出すように旅立って ....
不均衡の渦 巻き
ひたすら待つ
平静を保ち
選び取らず
(眩む陽射しに
呑み込まれ
倒れたまま
途方に暮れ)
黄白く青に 染まる己
....
ちいさな日々がつみかさなってもやはりちいさな日々に
蓄積や安定はたいせつなものだが固定されたくないともおもう
前進とは終焉にむかうことなのかもしれないけれど
ビージーズも人生はレースではない ....
薔薇の蕾は美しい
少しづつ開いていく姿も
この世のものとは思えないほど艶かしく美しい
だが咲ききって
たちまち黒ずんでいく花芯も露に
剥がれ落ちるのを待つさまは
あまりにも見苦しく
....
華奢な花 ひらひらひらり 風に揺れ
薄っぺら これからふうと 膨らます
くるんとね 巻きひげ しれっと寄り添って
まだ開けない 緑の袋 ハッピーハッピー
内緒だよ 風船の家 ハートのお猿
競 ....
文庫本の
薄いところが好きだ
パラパラとめくる
音も素敵だ
ブラスバンドの
演奏に合わせて
いちょうの葉っぱが
上から落ちる
青春という
栞は一枚だ
反旗を翻すと
狼にごみが付く
子連れ狼は去って行くが
最近眼鏡の洗浄液を
けちって居て
少し汚れた視界に映る
子連れ狼も反旗を翻す
子連れ狼の
二回の轟音
カラオケで少し目が潤んでい ....
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