蜩やソ連空母のカタパルト
僕の東側から
今日も君が昇った
コーヒーの香りが
ほんのり温かい
他愛無い話に
マーマレードを塗りつけて
右目は美人のアナウンサー
左目は君の笑顔
ベーコンエッグは
半熟 ....
実の生る木なら育ててくれましたか
色の良い絵なら褒めてくれましたか
温かい冬なら一緒に居てくれましたか
高いワインなら飲んでくれましたか
ね、
魂のある肉なら愛してくれま ....
意識 溶け拡大していく
限りなく宇宙の楽音に共鳴し
混交する闇光 すべて受け入れ
委ねるのだ 保ち 鋼の強靱
しなやかな弓の強度に震え
私欲思考ヲ停止シ
死に思に詩の言葉の飛躍に!
....
激情を極め
静けさを極め
祈りながら認識し
認識しながら祈る
この飢え切った界で
この哀しみの界で
導かれ 諦め
静謐に包まれ
光り輝くあの日の君を 僕は決して忘れない
哀しみ降って来る
一斉に響きとなり
冷え震え降って来る
どうしようもないね、
この欠損だけはもう
ひたすら雨の降り続く
ひたすら鈍色の大海に
しとしとしとしと静か
大海に雨の降り続 ....
夏の終わり
などと書き出して
景色を眺めまわし
残りの年月を数え切れたかのように
何もせず
何も求めず
人に倦み
風の仕草を見つめては
瞑り
欹て
ぼんやりとまた開き
終わる夏 ....
太陽よ、
絶え間無く爆発し続ける太陽よ
この地球の善も悪も曖昧も
均等に照らし出す太陽よ
その偉大な開け透けの愛
その圧倒的で広大なる愛
どうしたら
この私的感情の波を
あなたに合流さ ....
偶然に偶然が重なり必然となり、
わたしの中にあなたが
入って来た
束の間のこと、
わたしはあなたという人を
その懊悩、その優しさ、その臆病さを
生々しく生き体験した
一つの運命として掴み ....
朝の散歩道で石っころと出会い
しばらく親しく話し込んだのちに私は
いきなり思いっきり蹴っ飛ばした
石っころが飛んでゆく そして
「きっと今夜の宙をみあげて
とっても綺麗でまばゆいよ
と ....
蝉むくろチキンラーメン齧る音
泣き腫らした女の顔は
紅潮していた
ホテルの窓の外に見える
海岸が騒々しくなってきた気がする
月はぼくらの妄想のように
闇夜に浮かぶ
血が騒ぐというのは本当だ
女 ....
山のむこうゆっくりと橙は灰
日暮れて暗く やさぐれて
苦楽の果てに捨てられた
途方に暮れてホウホウ鳴いて
ケルトの老婆アイヌの老婆
とろとろ炙る枯れた掌に
あまいこどものあたまのいたみ
....
一枚の紙に、今から100年分のカレンダーが載っている。
想像できるだろう。
このカレンダーのとある日に、きみは死ぬ。
想像できるだろう。
なにもしなくてもきみは死ぬ。
想 ....
おはよう世界
おはよう世界
ってもう歌わない去年の一年草たち
いまはどこに
わたしはそのどこかに行きたい
台風予報、新しい一軒家、映画の予告、鉄柱、傾いたデザイン。
ビニール袋のがさがさなる音、泣きやむ18年前、立ったままするセックス
男女が対になって鏡をのぞいている、ベビーカーにつけられた玩具、 ....
生きていることをふざけたくはない
君は骨になった
わたしの父さんとおんなじの白い
割れ物の壺に閉じ込められて
息もできない骨骨骨
木の箱のなか
もしか布で包まれて
もしか素のままばら撒か ....
かなかなや返事を書いてない手紙
夕暮れとも夜明け前ともつかない薄暗さのなか
元実家近くの空き地の脇を通り過ぎようとした時
焦げ茶色の雲が空き地のすぐ上に浮かび揺れていた
静まり返った薄暗闇に浮かぶその雲は
眼を凝らしてよ ....
失われた時を還せ
死んだ夢を呼び覚ませ
きみのうなじの産毛が好きだから
僕の名前を風に聞いてくれ
最期の銅鑼が鳴り僕たちのバンドは退いてゆく
黄昏の中へ精緻な夜へと官能をつなぎとめる
....
ペンギンのホルマリン漬け蝉の声
三角が貫入する、
静けさの皮膜に包まれ
わたしの意識は落ち着き払い、
自らの不均衡を捉える
薄黄色の光芒、横断する斜線
揺れる葉の緑に私は内側から語りかけた
[もう充分生きた ....
あの日 子守唄を歌ってくれたのは大好きなキリンだった
泣き止まない私にすっかり困った末の
ほんとはお父さん
遠いあの日
あの日 子守唄を歌ってくれたのはやさしいライオンだった
ふざけて眠 ....
【ふたつの音】
毒虫に やられ
全身は はれあがっておりました
つかれきった こころに
毒蛇を漬け込んだ酒をかけると
寝袋の中に身を横たえた私は、
水平さざ波のように 癒えてゆ ....
さよなら自分
こんにちは自分
歌っているのは夕空の下の
いまだあの頃 雁行を見上げながら
誰に向かって いつに向かって
泣いているのはやっぱり自分
忘れられない
忘れないから
そう言い ....
なみなみと注がれた盃に
映る
かつて訪れたもの
掴むことも消すこともできず
ゆらり ゆらして
とけることもかけることもない
見つめれば朧
目を閉じればありありと
油絵の月の ....
たしかだとは言えないんだが風の音とも音楽ともつかない
遥か彼方より開いたドアからやってくるもの
空っぽのそらの高みに燃え尽きようとする太陽
響きが海岸に打ち寄せるところに遠くからやってくる僕 ....
夏がビー玉に映っている
セミが静けさを連れてくる
氷が爛れるほどの熱がすっと引いてゆく
夕立だろうか?
めきめきと育つ入道雲 遠雷がきこえる
風が稲穂をゆらし
水面 ....
コンセント抜けております蝉時雨
道路の真ん中では
車にひかれた動物が痙攣している
歩道では
画面の動物を探すひとびとがいる
画面しかみていない うつっていないその目は
わたしは
それらすべてをみながら
走りすぎる ....
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