ひろびろ青がひろがって
鳥の群れが行き過ぎる
街は熱波に曝されて
子らの午睡を浅くする
*
ちから抜けちから抜け
胸にわだかまる不安感を
呑み込みおれは街を行く
こんなにひ ....
一つの生をたずさえて
一つの死をたずさえて
赤ん坊から老人マデ
寄り道しながら
僕は行く
今は何もせずぼうとして
うねる夏の光を夢見ながら
美しく深まっていく世界を信じ
....
この
干からびたミミズにさえあった
命が
わたしには
ない
山域は乳白色となり、雨粒が地面を叩く音が、朝未明から始まった。決まって七月は、雨が多いと、誰彼なく言うのだった。
雨が満ちてくる。体の中にも脳内にも、まるで人体は海のように静まり、宇宙のように孤 ....
{引用=追憶儀礼}
二人の時間はまだらに溶けて
いることすらも忘れてしまう
美しい他者 異なる種族
愛はアルビノ ひそやかな野性
{引用=お茶碗欠いたの}
月は隠れてR ....
空は灰色、
街行く私の背は屈み
あてどなくさ迷いながら
灰色空から雨、ポツリ
ポツリポツリと降って来て
視界はかすみ歩は鈍り
(今ごろ森では紫陽花の
青白く光る群落が
ゆらんゆらん ....
わたしはわたしであることに倦んでしまい
イートインにてアイスコーヒーを啜る
磨りガラスの向こうを過ぎていく人人人
彼らは何処に行くのだろう
わたしのあずかり知らぬところ
それぞれがそれぞれの ....
今夜、懐かしく
灯が点り
生まれたばかりの感情が
せわしくせつなく
揺れている
(遠い故郷を追いかけた
夢見の中に居るように
深い夜は透明な
滴に濡れて更けていく)
心の底の永 ....
ぎらぎらと陽が照っている
草木が緑に燃えている
世界はゆらゆらと揺れている
折しも二匹の紋白蝶が
絡み交わり輪を描き
白々と視界を過っていく
いったい何処へ行くのだろう?
自ら描 ....
全てが終わり
全てを失い
命は保たれ
風が吹き
この静けさのなか、
この透明のなか、
私は深い井戸の底に居て
寒さと闇に震えながら
一日に一度の来光の
その瞬間を待っている ....
一緒に暮らす
どこにもいかず どこにもいない
空のように
雲があったり なかったり
静かで 時に騒がしく
一緒に暮らす
*
一緒に暮らすとは
背中合わせのぬくも ....
音の滴、斑点となって飛び跳ね
郷愁、遠い深みから到来する
胸掴む憧れ、未知から溢れ出し
遡行する魂、源頭の水流を浴びる
振動する大地 、脈打つ心臓
終わることのない命
終 ....
ことばをひらくとき
ことばよりさきをいくものがある
たえず
観念を突き破り
欲望の先を駆けていく
あり
つづけ
のがれ
つづけ
おいつけない、おいつけない
深い夢見の底 ....
あじさいの
花房揺れる
梅雨の入り
時の静謐
心の寂寥
相携え
うっとり
薮に
踏み込めば
赤々と滴る
薔薇の花
此処にも
季節の快楽
眩めいて
佇む己 ....
雨煙る水曜日の朝、
刻まれた皺につうぅと雨滴が走り
男はしゃがれた声で
さようなら と言った。
駅前では 公衆電話が姿を消した
さびしいね
あなたが途切れさせた連絡網
伝言を覚えたあの子が
家族に話さずに旅立っていくよ
改札口はシュレッダー
ぼくたちを他人にして
誰もが無言で通りす ....
自分をいい人間だと思ったことはない
薄っぺらいし 騙し騙し 取り繕ってきた
でも たまには僕の鼓動に合わせてくれないか
と甘えている間に
犬が餌を強請る。
....
ずっと
ひとり
だったんだ。
はぐれ雲の
ため息
みたいに。
ずっと、
ひとり、
だった。
主をしらない影が
主を懇願するように
ぼくは
それを
求めていた。
....
大きな法則が世界を貫き
好き嫌いの尺度では
とても計り切れないほど
大きな法則が世界を貫き
今、日が沈み 月が昇る
ひれ伏してしまおう 風を浴び
脳裡の懐かしい光景を そっと静かに掬い ....
白鯨ゆく遥かな青天を
僕もゆけたなら
四肢の折り目を開き
やっと、やっとの夏の日を
僕もゆけたなら
平泳ぎの一掻き、一蹴り
果てしなく自由に
生まれたまま ....
街
遮断機が下がり血のような警鐘に淡い想いは砕け散る。通過する車窓とつながる間もなく街はもとに戻る。
冬の浜辺に置き去りにされた一つの椅子
冬の浜辺に置き去りにさ ....
毎年、三月末になると拙宅の「書斎開き」をします。
南窓のある二階の書斎は、陽当たりが良くて、冬場は観葉
植物や、屋外では越冬できない植木鉢(ハイビスカスなど)
の越冬地となります。二畳半ほど ....
繁茂する
森の緑は水に映え
広がる波紋に層を成す
俺は思わず立ちすくむ
命の貪欲な成長が
歯止めのない増殖が
剥き出された自然のあらわ
物凄い勢いで呑み込もうとする
その暗い衝動に戦い ....
雨こそ降りはしなかったが、街はどんよりとした雲と湿気に満ちていた、人と擦れ違うのが煩わしくなり、小さな道へと逃げ込んだ、歩いているうちに、その先に昔、数十年は前に、死に絶えた通りがあることを思い出 ....
夢見る魂が裂果する夏が来る前におまえはおまえの首を咬む
鬱蒼とした緑から忍び寄る脚韻の多い名も知れぬ虫たちが
肉体の時計の固い門に射精すると逆回転でさえずる鳥がいた
首の長い古代の母が組み上げら ....
五月二十六日、伐採した木が跳ね、左腿を痛打した。骨折は免れたがひどい打撲に悩まされ、丸四日休んだ。その後復帰したが、膝は痛くて曲がらず、その不具合な足で、やらなければならない登山道作業や林業作業をこ ....
ふと気づいたんだけど。
「小」て言葉は妙な働きをするよね。
ずるい、というより、小ずるい、ほうがずるい感じがするし、
馬鹿にする、というより、小馬鹿にする、ほうが馬鹿にした感じが強くする。
....
枕投げをやっていると
時折弓が返って来る
ジニーの世界だ
ビルがハーモニーを奏でていた
ルビーの指輪を歌ってから
再び枕を投げると
今度は虚無が返って来た
壁にビールを塗っていると
風 ....
多かれ少なかれ 理解されないのは相手のせいだと思ってる
それでもいいよ そんな言葉を待っている
私はいつもたいしたことなくて
根拠なくお呼びがかかるのを待っている
さよならヤーヤボール ....
月並みな幸福も
月並みな不幸も
みんなは興味がないから
今日も話を盛る
月並みな嘘なら
誰にもばれないからいいさ
みんなは会釈して
わたしを見守ってくれている
そのうちに味 ....
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