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小鳥がついばんだ林檎だけ
落ちずに残ったとき
決してこの世は綺麗なものだけで
満たされてはいない
線路の左側を歩いていくと
虹に辿り着くと幼い頃叔父が言った
母について記すとき ....
零をさがした朝に目が覚めると
太陽がたったひとり寂しそうで
誰もがこどくを噛みしめ針の痛さに怯える
ことばの痛みを恐れる
決して優しいことではないけれど
幼い頃何も知らずに踏みつ ....
昨日をすべからく塗りつぶす朝
古い置時計の振り子のよう
きらめけば朝日に染まる空
止めどなく冷たい空気の粒子のふれ
透明度の高い雨粒よりうつくしい
太陽にとどまるたんぽぽの綿 ....
つるーっと
玄関から入ってきた
ひとつのボール
丸いな
手にとるわたし
明日は晴れるのかな
お母さん
きっと晴れね
これ水色だもの
受けとるお母さん
夕ご飯は何 ....
木々があいする木漏れ日のこと
川がめでるせせらぎのこと
雨が求めるつちの渇きのこと
太陽がほしがる水溜まりのこと
夕日があこがれる水平線のこと
朝陽がのぞむ暗やみのこと
....
やさしいやわらかいものばかりに
ふれてしまっていると
ひりひり、ひり
としたいたみのあるものをだきしめたくなる
ふあんやあんしんやそういった
ことにかんけいするのかもしれない
....
宵のうみ
ひとり佇みけむりを吐く
存在に意味があるとか
たとえば価値があるとか
そういう
思考に飽きた
水面につきが流れている
清らなかぜとともに
ああ
じゆうだ ....
いろづいた
いちょうを編んで
やわらかなストールをつくる
ゆっくりと首に巻き
はしゃいで
みたりして
きせつは
名前など欲しがっていなくて
ひとり
通せんぼする散策路
....
徒歩五分で海
という環境で育ったわたしは
ただ鈍感だった
ひどく夕陽が眩しく
一日の終わりを告げる焼けた空が
ひりひりした匂いを連れてくる
そんなものだと思っていた
その空もあの ....