すべてのおすすめ
自分を赦せないほどに朝が好きで
自分を騙せないほどに明日を待っている
償えない森羅万象への数数を軽く、靴で踏みながら
今日も生きていくことを
省みるようにと
春の梢が歌っても
神さまがいたらいい
いるのかな
いてほしいけど
いてくれるって思わないと
もう無理なところまで来てる
、脅すわけじゃないけど
実はもうすでに
(間違えたやり方だと
心の底のどこかで
....
この雨が置いていくあしたをすこしだけ
盗みました ガーゼのハンカチーフはすこしだけ
重たくなりました けれど
いつかしらあしたはあたしを見限り
逃げていきました
気化したい。
泣いてる
言葉が泣いてる
戻れない昨日の私の愚かが泣いてる
ひと息ついて
何を飲もうかな と思った時に
いつもの紅茶のティーバッグが手を挙げた
だから紅茶にした
そういうふうに私は
一人暮らしをやりくりしている
風を聴く日は多く
大きな声では言え ....
終着駅までのすべての往路が足し算の暦なのだと
信じきっていたころも確かにあったことを思い出す
アネモネの蕾をみて安堵したように降りはじめる雪がある
ことはまだ知らなかった
降りつつ、積もる雪で ....
さっき、午後一時半過ぎから真っ黒になっちゃった
影法師になっちゃったのよ
伸びてく伸びてくわたし伸びてく頃
ガードレールにぶつかって痛くっても
そのままずるずるまるで道案内
みなれた扉をだれ ....
その落葉樹は絃となる葉をすべて失っていたが、月の明るいこの夜また、訪問者を得ることができた。
「もう、歌わせてあげられないのに」
いつものその風に、いつものように詫びてみる。
「通り道なんで ....
そのまなざしは父親には赦された
母親は女の子だったから赦せなかった
のだろう(自らへの)失意と憤り
* * *
旅立ちたかったのは
なみだの源泉へだった
そこが故郷なのだと覚え
....
あの{ルビ娘=こ}は女の子 なのに
選べなかった積み木で建てた家には
花を飾る場所がない
わたしが贈りたいのは
やわらかな色のラナンキュラスの束なのに
どうしたらいいのかわからない
だ ....
西の海に陽の帰ってゆく情景を
一度もみたことがない
焦がれながらまた
首都高に落ちてゆく今日をあきらめている
父さんが大好きだということ
会いたくてたまらないのに、ということ
その父さ ....
街のはずれの廃校の廊下に気配の何すらもなく
ただ一枚の絵が残されていた
おさなさのめいっぱいの「四年三組」そして名前そして
描かれている 理由のないふうを装った
それは遺言だった から、
割 ....
栞をはさんで閉じようとした
歳時記が
本を押さえても平らにならない
抵抗している何かが居る
、それは直感だった
それが何にせよ傷をつけて
可哀そうなことになったらと
まず案じて、本か ....
そういえば野葡萄の森には
女学生たちの笑い声が響いていた
ルージュをいまだ知らないいとけなさが
あまりにも無防備にうららかに
秋の終わりを彩っていた過日
#
電気代・ガス代に ....
どうしてひとは死ぬのか
でも
恐竜やマンモスたちが死んでくれなかったなら
わたしたち、居なかったね
どうして父さんは死んだのか
十余年がんを繰り返して
苦労したから痛かったから我慢はた ....
ぼくは雑巾になりたい
雑巾になって絞られたい
愛する妻の手で絞られたい
毎日毎日絞られたい
雑巾のぼくで愛する妻は
ぼくだと知らずに床を拭く
ぼくたちの日日の暮らしのために
毎日毎日 ....
海がもしも優しくするって約束してくれたら
あたしは沈没してもいい
船になる
歌わないでほしい外が歌っている
空が久しぶりに色彩を取り戻したきょう
けれども風の帳に覆われて
わたしはあきらめた
木琴の音色はいったい誰が担当しているのか
いろいろにたずねてみるし
....
あなたのために
と前置きしてもらわないと
わかることができない
愚図な女の子がいて
街頭でこの年の終わりにも
募金箱をかかえている
お金は思っていたように
集まるし
思っていたように
....
まぼろしをみているのではない
みずうみが現れて問うのだ
「なぜ来たの」
「だってわたしのなみだがみえませんか」
躊躇わずに応えていた
確かに泣いていた
さびしさと
寒さに
いくども ....
石っころがなみだできずにいる
こんなに乾いていても
空よ、いま降ってくれないか
一行の意味を問う
わたしのために
岩を打ち砕かんばかりの波の午後
魚たちは眠れないで蒼い夢を食べている
知っているのは砂浜に飾られている白い貝殻だけ
いや、君とわたしもそこに居る
聴こえてくる無限螺旋の慟哭が誘う
二人の ....
もう春を待てない
冷たくなって思い出の海に着く時あの貝殻は
この心音を覚えているだろうか
視通した限界を
詰め込めるだけ詰め込んだ
原石はすでにからっぽの軽い手荷物が
最後の伴侶
貨 ....
眠っている時のわたしのたましいが聴くのは
求められなかったあれやこれやのかなしみの旋律
それでも覚醒することなく
囚われることを好んで眠り続けたい
きょうの明日にはいつもさらなる下りだけの ....
たばこへの率直を置いてみるならばおまえがこの世に居なかったなら
泣きながらマスターにでも絡みつつ飲める体を持ったとしたら
嫌煙家を広場に集め尋ねたい他人に迷惑かけてないかと ....
桜餅外税表示で並びをり
外税の九円ありて花疲れ
マーケット前のガチャガチャ子の春愁
花時を目の前にして部屋籠り
山笑う確定申告つつがなく
春の野の独り芝居かかなしきは
さざなみに心を許して
軽い手荷物すらもういらない
石の原野に泉をみつけた
だから
もう何もいらない
青い花たちが
みえない風に踊っている
啜り泣きは石っころたちの
いつもの癖
地図を ....
言葉が実らないまま葉を落とした樹を
じっと立ち尽くして眺めていた
夕日が心を刺すかのように沈んでゆく
会いたい
、出かかったため息すら失い気味に
ひたすらに泣いている自分に気がついていた ....
雪国に吉報届く福寿草
御堀端桜花纏って風游ぐ
春の雨傘一本にひと二人
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