波打ちぎわに
光る、{ルビ蟹=かに}
蟹をみていた、飴色の

もう、よしてしまおう

人間なんて、よしてしまおう
春の駅に列車がやってくる
駅は桜の花びらを散らしている
列車は駅に着くというよりも
春の風に押されながら
春の中に迎えられる
扉が開けば春の香りに包まれ
窮屈だった体と心が解放される
梢 ....
さっきから
緑色の孤独の箱で一人
いや
僕の左耳はさっきから君とつながってるし
ここだけは明るいし
透けてるし
さっきからぴーぴー言ってるし
そんなにテレカが欲しいのか

さっきから ....
 午後十時を過ぎると外は絶対零度に陥る
 誰も外に出る者はいない
 一年中 この調子だ
 どうしても出掛けなければならない用事があって 外に出る時には 宇宙服のような最高の防寒具を着て出る
  ....
ときめかせて
はなびらを解き放ち
冬別れの樹、予感
北風までもが人肌の温度
その飛ばす先の青空
気まぐれな季節は
いつも、ふいに帰ってくる

季節のない海の深みに
還っていくその前に ....
「春だからレモンティー」
理由はよくわからないけれど
君がそう言うのだから
きっと美味しいと思う

グラスの中の氷を
ストローで
カラリカラリと遊ぶその指の
第一関節と第二関節の曲がり ....
パンのみにいくるにあらずとパンなしではしんでしまいますよ

数えれば29個も
もっと切ってひらいてつまんでいけばたくさんの
おれを連ねてきたものだなあ

たてに

たてだけにかさねて
 ....
折りたたまれてゆく季節は
いつか振り返れば
一瞬なのかもしれない
湧きいずる水におされて
いま
雲母のいちまいが
なめらかに遠ざかる


使いきれなかったノートの白さ
描ききれなか ....
干乾びた小動物の
骨を拾って土に埋めた
湿った赤土の上を
ゴム製の靴底で踏みしめたから
今度生まれてくる時は
強い動物になるのだと思い込んで
きつく きつく 手を合わす
仕来たりなど ....
なじみ深き土地を去る日の迫りきて
一日短く覚ゆ昨日今日


何事も知らぬ猫といて この土地を
離るる事を息子は言ふており


感傷にひたるひととき青梅が
音たてて落つ庭石の上

 ....
仄白く明けてゆく空と
暦の眠りから覚めた蕾が
共鳴して
三月の和音を弾く

冬を忘れた陽射しは甘く
僅かに紅を挿した絹の切れ端に
はなびら、の名を与える

こころにある哀しみや空洞を ....
ぼくが笑っていればきみもいつか笑う。
だから今夜は、
地球照。



ひときわ明るく笑って、
翳る。
隠してる。
きみの裸月が見たい。



 ....
白く鮮やかに咲きほこる、
一本のモクレンの木の孤独を、わたしは、
知ろうとしたことがあるだろうか。
たとえば、塞がれた左耳のなかを、
夥しいいのちが通り抜ける、
鎮まりゆく潜在の原野が、かた ....
生まれ出る感情は
どこから湧いてくるのか
わからないけれど
森の中の泉のように
こんこんと
形を留まらせずに湧き出して
全身に流れてゆく
ある流れは海のような夢へと
広がってゆく
あ ....
いまここに
来たるべき夜の紺青は
誰しもの
奥深くに眠る
逃れられない
悲哀の色をして


春はいつのときも
悲しみ覚えたかたちを
おぼろに映すから
すこし涙もろくなる

さ ....
薔薇色の大理石の壁
ふりそそぐシャンデリアの光
ペルシャ絨毯の幾何学模様を踏んで
白いドレス姿の君が浮き立つ

言い知れぬ暗みと喧騒の中を
艶やかな笑みとともに君が通り過ぎる
氷を砕き、 ....
グレープフルーツ、を{ルビ啜=すす}ると
ゆびさきやら舌先やら
なぜだかきみを、
おもいだして

グレープフルーツ、か
それとも、ぼく、か
においのあふれる
部屋になる

 ....
三月も残り僅かとなり
ほころびかけていた桜の花も
一輪また一輪と開き始めてきました
桜の花が満開となり
その花が散り始めると
思いだす事があります


由美子姉さんとは実家も近所で ....
あの日はきっと春だったと思う
部屋に置かれた
アジアンタムの葉がそよいでいた
近くのスピーカーからは
小鳥のさえずる声をバックにした
ピアノ協奏曲が流れていた
窓から差し込む光が
やさし ....
                             簡単な
           
         滅びる呪文

      目を閉じたから
                     ....
喉が渇いたので 
駅のホームのキオスクで買った 
「苺ミルク」の蓋にストローを差し 
口に{ルビ銜=くわ}えて吸っていると 

隣に座る 
野球帽にジャージ姿のおじさんが 
じぃ〜っとこ ....
大胆不敵な夏に
まっかでアモーレな大輪の花を咲かす為に
春は薄紅色の風を巻き起こすのだろうか

季節はちょっとばかり懺悔の告白をする

春のそよ風にそそのかされて
一足早く終日のたり ....
春になりましたねぇ
と叫んだら
おまえっていつもじゃん
と言われてしまった
それって何なの

グラデュエーション

今の季節
はっきりとした区切りのようなものを感じる

北の国よ ....
合わせ鏡の無限につづく
午後の部屋に宝石ごと散らばる
湿った夜の匂いは 勢い、
女の前髪を固めるスプレー
そして酷くリアルな口紅の
仄かに苦い蝋の味。

――さて、早々と店にゆく
カウ ....
真っすぐな目
真っすぐな思い
君の手
記憶
僕らは自由だ
限りなく
果てしなく
咲き初めし頃より花を想ひ
春のゆくへを知りつつ
時を愛づる心はまさに無常の心なり
花は目にて見るにあらず
心にて見るものなり
花のみに限らず
人とてまた同じ

花の咲く時を知り
とも ....
あれから
いくつ春を
数えたかしら
わたしの中に眠るあなたは
春ごとに目覚める


黒と白の斑尾模様の猫が
出迎えてくれた細い路地
人の気配が消え
静まり返った石畳
入り組んだ奥 ....
二日遅れのホワイトデーの
白いリボンを髪にのせて
ふわりと回ってみせる君は
大きくなったら
メイドになりたい
という

人様に奉仕したいとは
見あげた心がけだ

解釈は準備してお ....
春の朝ようやく見えぬ霜柱
緩むは時と心の中も

春の陽の照らす大地の暖かさ
{ルビ温=ぬく}むは土と心の中も

春の道見せ合う初の制服に
歩むは足と心の中も

春の風少し強くは吹くけ ....
{ルビ鈍色=にびいろ}の鉄を見ている

あくまで照り返しでしかない光が

滑って離されて放たれる

今目の前にぎっしりと詰まった木々を越えた

越えてうんざりする



体温よ ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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