旅の終わりの夕暮れに 
車窓の外を眺めたら 
名も無き山を横切って 
雲の鳥が飛んでいた 

{ルビ黄金=こがね}色に{ルビ縁取=ふちど}られた翼を広げ 
長い尾を反らし 

心臓の辺 ....
( 青年と初老の母は、
( 寺の小さい庭へと入っていった。 


小石の砂利を敷いた庭に 
細枝と葉影は揺れて 

木作りの小屋に坐る 
首を{ルビ斬=き}られた観音像 
優しい手に ....
波や風は待つものなのよ、と
長い髪を旋律で
砂浜の反射が切り抜いて
細めた視線の届く先に
僕の胸は高鳴る
星座盤の小さな窓から見たように
君のことを知ったかぶりしていた
そんな気がすると ....
流れる川の様な風の中で
月は太陽に嫉妬する
光があるから陰があり
太陽があるから月は輝く

あの子はじっと目を細め
息を殺す様にして遠くを見つめる

まるで
そこに何かが居る様に
 ....
その山はあまりにも高すぎて
今の自分では
登ってゆけそうにない

でも登ってゆかなければ
今の自分は今のまま
狭い世界しか見えない

山のふもとから
山の高さに文句を言っても
その ....
夕暮れに
あの子にハモニカ吹いたげよう
ひとりぼっちの街角に
ふたりぼっちの歌ひとつ
ゆれるゆれる影法師
街はなぜに泣いている
人恋しいと泣いている

夕暮れに
あの子は泣いていたん ....
ほんとうに悲しいことっていうのは

決して届かない手紙とか
決して返事の来ない呼びかけとか
二度と会えない友だちとか

そういうことも悲しいのだけれど

なにか頭ではなくてうなじの ....
いつだって遥か遠くを
見つめていた、正太
本当はそんな名前じゃないのに
誰もがそう呼んでいた

*

学校へ行く途中
平然と菓子パンを買った、正太
朝飯なのだと、悪びれず
無造作に ....
某国営放送で観たイカ釣り漁のようす
脱サラして漁師になった夫を
影に日向に支える妻のけなげな姿
あれって夫婦舟っていうのかな
なんだか憧れてしまう、わたしがいる
確か奥さんの実家は代々の漁師 ....
君は海の顔した猫なんだから
もう少し大人しくしたらどう?

どこに顔があるのか謎の赤ちゃんしわしわ
毎日元気に泣いたり笑ったり
打ち寄せる波に揺られて

今日も元気に
泣いてる

 ....
早朝 
{ルビ浴衣=ゆかた}のまま民宿の玄関を出ると 
前方に鳥居があった
両脇の墓群の間に敷かれた石畳の道を歩き 
賽銭箱に小銭を投げて手を合わす 

高い木々の葉が茂る境内を抜けると  ....
2枚目のハンカチで汗をぬぐう
いつものこと

当たり前に夏がきて
もうすぐ去っていく

スクランブル交差点の人ごみの中
ふと君とすれ違った気がした

振り返った瞬間には
ごく普通の ....
秋の花は
野に咲き
心に咲き
夢に咲き
思い草
桔梗の声聞く
菊あざみ

紅葉ばかりが
秋ではなく
花も実も
身も心も
染めゆくは
秋の風

秋は野に咲き
心に咲き
 ....
ベッドの上で
二人向き合って
レモンを切った
そのナイフに
お前を映して
見ていた


ベッドの上で
二人向き合って
レモンを切った
そのナイフに
映ったお前は
 ....
リストカット、オーバードラッグ

鬱病患者の陥りやすい行為

気分が落ち込みすぎると

自己否定ばかりして存在を消したくなる

自分という存在が完全に無くなる

死ぬこと ....
残された わたしは
息をしなければならないと
ごぶごぶと
両腕で水をかきわけながら
溺レル

月も星もない
光なき空の下
コールタールのように
生き物の棲まない
真っ黒い海がうねる ....
風の手触りなど
いくらでも描けてしまうように
わたしとあなたの
輪郭は
ありふれた景色なのかも
知れないけれど
戯れることの
ひとつ
ひとつに
やわらかく透ける名前があって
眠 ....
大地にはリンドウ
世界は秋の花と風
美というよりも心

木には{ルビ蜩=ひぐらし}
世界は秋の声と風
音というよりも歌

空にはいわし雲
世界は秋の光と風
量というよりも質

 ....
 黒揚羽 日に咲く羽音 染めてありし世



         零の



( 、血のうずく
私を見つめる
その目は
黒く透けていて底もなく
ゆらぎもせず
胎内で夢を見ていた ....
雨が上がると
空気が透明を増して
夏の名残と夢とが冷まされ
水の中を歩くように九月

夏服の明るさが
どこか不似合いになり
息を潜めていた淋しさだとか
熱に乾いていた涙が
堰を切 ....
どこからともなく湧き出でる
今日を生き抜く志
引いてはならぬと奮い立ち
それこそが我が道の誓い

わけもわからず突き進む
明日を貫く鉄則
振り向かず前を向き
これこそがわが道の精神
 ....
小さな窓に流れ来る
微かな風の匂う秋
去りゆく時の寂しさか
訪れ{ルビ来=きた}るうれしさか
僅かばかりの部屋の中

大きな空に染まりゆく
彩る色の魅せる秋
どこから{ルビ来=きた}る ....
秋が訪れれば またひとつ
目じりに刻まれる年輪のようなもの
早いもので開け放した窓の外では
秋の虫たちが鳴き始めている
この様に季節が巡るのであれば
歳を重ねてしまうのも致し方無い事
抗っ ....
夕映えに長く伸びた影の 
手足のしなやかに動くのを 
美しいと見惚れた 

サッカーボールが弾むたびに 
視線が鋭く光るのも 
伸びかけの髪をかきあげて 
おどけて笑う口元も 
 ....
ここ最近夕方になると
白い雲は赤シャツを着て
どこかへと出かけてゆく

トンボが追いかけてみたけれど
地平線までが限界だった

彼はどこへ行くのだろう

お洒落な自分を
誰かに見せ ....
お店を出してくれたあの人は
やさしいひとでいい男だけど
私の好きな人じゃない
5年もごまかしてきたけれど
もう、避けられないみたい

貴女はそういうと
二人きりになった店の灯りを落と ....
夏の夜空の番人

星かごを襷がけして麦藁帽子を冠った少年は

いつも北を指す柄杓を星取り網にして

日曜から土曜までの一週間を飾るにふさわしい

喜怒哀楽、悲喜こもごも、揺りか ....
霧が晴れてゆく

みづうみの奥から

水鳥が生まれてくる



霧がひくのと

同じ速度で

姿を現してくる



水は湧き

風ははしり

みづうみは ....
自分は鬱病です。

堂々と公言できる人は少ないだろう



精一杯頑張りすぎてネジが切れた状態で

薬を飲んで何とか仕事している人

どれ程多いことだろう

疲弊して回らない ....
  あなた、ルリツグミのヒナと
  お昼寝をしたことはあって?



風を確かめるように浮かべた
少女の白いあご、のライン
穏やかな微笑みに
たたまれてゆく{ルビ睫=まつげ}


 ....
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