ひかりの葬列が瞳孔の砂浜に沈み、
溢れる夏が清涼な涙を流す。
新しく生まれた水彩画の冒頭を見つめながら、
わたしは、森の湧き水で掌を浸した
愁風の滴る夏の終わりを均等にまとめる。

青い寝 ....
休憩室の扉を開くと 
左右の靴のつま先が
{ルビ逆=さか}さに置かれていた 

ほんのささいなことで 
誰かとすれ違ってしまいそうで 

思わず僕は身をかがめ 
左右の靴を手にとって  ....
テストの開始のチャイムが鳴った
ぼくは集中して
問題に取り掛かった

気合が入る
これでぼくの進路が決まるのだ
このテストはぼくにとって
大きな闘い

ぼくは強かった
どんどんと問 ....
偉大な人間は
現実の中で夢を見るのではなく
夢の中を現実で見させ
その夢を追いかけつつも
夢を創り出す

しかし
偉大な人間に
意外なものはなく
単純な規則を組み合わせ
複雑な例外 ....
石ころころころ貝殻からから
つめ放題だよ

見つけちゃった?
つめ放題だよ

お腹空いちゃった?
つめ放題だよ

喉乾いちゃった?
つめ放題だよ

石ころころころ貝殻からから
 ....
わたしが遅めの初潮を迎えたとき
母がお祝いにとお赤飯を炊いてくれた
(今の子もそんなお祝いしてもらうのかな
膨らみ始めた胸の先が痛かったりして
ちょっとだけ…おとなになった気がした
それから ....
空に連なる白い花々が
青い大河に咲き誇り
そっと揺れはじめ
新しい季節が
空から舞い降りてくる

ふうと風が吹くたびに
花はなびき
ふと手に届くのかと想う

我に返れば
その飾ら ....
 ぬるり とした
 裏切りの手触りが
 みぞおちのあたりをえぐるので

 夕方に食べた くりぃむパンを
 仕方なしに
 吐く

 かつえて にべもなく 求めつづけられる程には
 もう ....
ああ旅はわれと列車の脈拍をクレシェンドして空へみちびく


山走る車窓をよぎる飛魚のキラリ跳ねるような木漏れ日


つり革のとなりでうかぶたんぽぽの綿毛もうみをめざしているの?


 ....
机の上に三冊の本を並べる。 

一冊目を開くとそこは、
林の中の結核療養所。 
若いふたりは窓辺に佇み、 
夜闇に舞う粉雪をみつめていた。 

二冊目の本を開くとそこは、
森の中のらい ....
陽ざかりに
影がゆれる
塀の上に
白樫が緑の枝をのばし


陽ざかりに
光がゆれる
そこに咲いている
荒地野菊の花


寡黙な額に
風が吹き


みつめる心も
そっと ....
  
 手巻き時計のする音は、
 さながら大きな砂時計。

 砂はおのおの苦しみながら、
 海の底へと落ちてゆく。

 そこは奈落か、天国か?

 おまえに聞いても分かるまい。
  ....
遥か悠久の昔、空と海と陸がまだ混沌としていた頃
全ての命は気ままに泳いで飛んで
果てもない混沌を駆け回るのは楽しかった

亀はいつの時代も競争に駆り出される性分なのか
ある時、亀と鯨が
 ....
排気口に 流れて行くために
従っている 繰り返し

とられた息
ためた息

去れば野にささやくものが



噛み締めるものに 寄り添って

信じそうなあぶなくないと信じそう ....
今日一日の食事を得るために
精を出して働くことは
意味のあること

今日一日の家族を養うために
無理をして働くことも
意味のあること

それらは生きてゆくための
目的なのだから

 ....
一.

戦争を俺は知らないんだと はじめて思い知ったのは
キプロス島に ある朝突然逃げ帰った妻が いつか話した
占領の話 地下室の話 息を殺して
あいつが真似た マシンガンの ....
何の間違いか
朝にこの世に出てしまった
しかもよりよって
大都会の大きな駅の改札口にだ

どういう原理でなのかは
こっちにいる科学者たちでも
解明できていない

ともあれ
普段は生 ....
海岸の岩場のシーワールドでは
イルカが芸をしている
イルカを若い母親と女の子が見ている
ぼくはその少し後ろから
若い母親と女の子を見ている
二人を通してイルカを見ている
女の子がイルカのど ....
わたしが生まれ育った郷里では
要らぬものを裏山に投げた
村外れを流れる川に流した
囀る野鳥の気配に誘われて
ひとり裏山を彷徨えば
要らぬものは朽ちて土となり
夕餉の支度でも始めたのか
潜 ....
詩人のあなたは本当に
私を愛せるのですか

あなたは私と同質なのであって
男と男
女と女
のよう関係なのですから
愛というより好きでいる方が
自然なのではないでしょうか

愛は異質 ....
教えてほしい 
あの空の青みの 
ほんの隙間の翳りの中に 
何を見いだし詠うというのか 

たおやかに流れる川の
水底に沈む
ひとかけらの悪意を
掬って頬張った 
その後の嗚 ....
夜になってから急に 
庭の倉庫に首を突っ込み 
懐かしい教科書を次から次へと処分して 
家の中に戻ったら 
腕中足中蚊に刺されていた 

それを見た母ちゃんは、言った。 
「あんたはつよ ....
どこに居ても君が見つけられる様に
僕は世界の中に居続けるよ
負けない様に
空を見上げる様に
手を伸ばすよ

嘘だ
そんな綺麗事じゃない
僕は
忘れられるのが怖いんだ
ただ
一人に ....
君は控えめに微笑む

今僕がここで笑ってもいいのかなって

君はそぉっと思いやる

おせっかいにはならないかなって

まだ

子どもの大きさしかない君は

その内側で

広 ....
私 帰るから

駐車場で 車に荷物を入れている 夫に
私は 口走っていた

何か言ったか とふり返った時
もう 走りだしていた

このまま 新居になんか行きたくない
結婚なんてしなけ ....
人が集まるコンビニに
どこからともなく一匹の
野良犬がやってくる
ドアの横に礼儀正しく
来客の邪魔にならないように
座り込む

空を見上げる野良犬の
その眼はどこか悲しげで
世の中の ....
そうしていつも、一つの愛は
踏み{ルビ潰=つぶ}された駄菓子のように
粉々に砕けゆくのであった 

そうしていつも、一人の{ルビ女=ひと}は 
林道を吹き過ぎる風のように
{ルビ昨日=かこ ....
きみと交わせなかった指切りが、今でも少し 心残りです。

きみはもう、とおに忘れてしまったのだろうね。
それが少しだけ、寂しい。


あの日 僕は、確かな気持ちで きみに恋をしていたんだ。 ....
曇り空に
夏が少し薄れて
鮮やかを誰かに譲った向日葵が
枯れた葉を恥じらうように俯いている

風に混じって遠い蜩の声が
髪を擦り抜けると
秋、と囁かれたようで
逝く夏に何か
何か ....
電柱下の掌ほどの地面に
可憐な顔を寄せ集め
行過ぎる車の排気ガスに
小柄な身を揺すつてゐる
{ルビ菫=すみれ}よ

元来野のものであるおまへたちが
どうして
こんな狭小な場所に
置か ....
Rin Kさんのおすすめリスト(2756)
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