その鏡を見ても
その鏡は何も映さなかった
鏡から離れて
鏡が見えなくなるとき
その鏡は映したものを見せるという
しかもそれは映した過去ではなく
今そのものを映し出す
鏡が映した姿を見たも ....
ある日からだった
鳥たちがいっせいに地下を飛ぶようになった
空を捨てて森を捨てて
鳥たちは土の中へと潜っていった
地上には鳥の姿は見られなくなった
人間は鳥の居場所を探したが
かなり深くま ....
今はただ逢いたい
あなたに出逢いたい
キミにも出逢いたい
とにかく逢いたい
そしてアタシを放さないで
この世界に繋ぎ止めて
必要とされている満足感と
存在を許 ....
お久しぶりです
千年ぶりくらいかな?
前世なんて忘れてしまったけど
美しい髪をお持ちですね
草木の枯れたエデンの園には
動物達の鳴き声は聞こえない
でも先祖を恨むつもりはあ ....
自信がない
君のことを全く信じられない
絶望だ
信じられた頃は心が安定していて貶したりしていた
しかし現実的に考えてみて
君のことを想う前に自分には自信が持てなかった
周囲の ....
僕と君はただの点なんじゃないかと
よく晴れた三月の駐車場に僕は立っていて
電話で君相手にそう言ってみて
銀行員の運転する車が入ってきた
銀色の車体に青色を流して
僕の腰から下も映って ....
雨宿りのカラオケで聞いた声が
可愛い声だったから
その声が欲しいと思った
緑の日は休日
君の好きな祝日に
テトラポットの先で歌おう
雨宿りのカラオケで歌った声が
可愛い声だと言うから ....
お久しぶりです
千年ぶりくらいかな?
ヒトゲノムを分析してみたら
前世はレーサーだったらしいです
西暦3007年の流行は
自家用のスペースシャトル
バーチャルの教会で式を挙 ....
雲のように
雄々しく自由気ままに
空という人生行路を流れ行く
時には羊のように{ルビ溌剌=はつらつ}と
晴天の空を駆け巡り
時にはどんより{ルビ鈍色=にびいろ}に
大地を覆いつくす影と ....
{引用=
22番のバスに乗って
窓のそばに立って
18世紀だか19世紀だかの建物の列を横目で見て
ラファイエットで購入したお洋服の紙袋抱えて
前に立ってるおじさんが
....
三月の風が二月より冷たい
冬がもう少し生き延びているのかな
昨朝国見峠では雪が降っていたそうだ
できればその景色を見てみたかった
いずれ今年に春が訪れる
冬らしい冬を過ごさなくなって
....
祭壇の上にぽつり と一つ
甘い香りをただよわせ
みずみずしさを内に秘め
ひっそり 凛然と たたずむ
濃厚な蜜をたっぷりと細胞にふくみ
ふっくりと艶やかな曲線で
....
俺は君の喉奥に居て
いつかの歌を聴いている
ヴ
いや、ラ
ヴぃ
飲み込んでいる
俺はかつて
空に下りる全ての命は爆弾だ、
と言いかけてやめた
君に会えて嬉しい
四季が蠢いて
....
バランスをなくした 積み木はまた崩れて
四方に散らばった欠片を 僕はゆっくりと拾い集める
カタカタと無言で 最初から積み直す僕に
ベッドの上から 時期はずれのミッキーマウスが声をかけた
....
ふと気がついたら壁の中にいた
床を歩こうとしても体が動かない
空間の中には入れないらしい
壁伝いに移動するしか手段がない
空間を斜めに進みたいときは
縦と横の二つで動かなくてはならない
体 ....
しろいそらから
八百万のちいさな
ちいさなほしが
散弾され、落ちてくる。
かれらはまず
手をふってぜつぼうする、
それからとぶ、およぐ、まぜる、
それから、たびに ....
青いひかりテーブルでぽつり
グラスのふちに残された
口紅をぬぐうと砂糖の甘さ
部屋のすみずみで
とけ切らずゆれていた
おまえの唇に映る模様
グラスの底の乾き
俺はいつも眠たくて
....
M子はさぁ、
ちょいと小柄な女なんだけど
子持ちでキャンキャン働くOLで
けっこう可愛いんだけど だいぶ生意気。
去年の暮れ・・・・部長とさ
ホテルから出てくるクルマに
サングラスかけ ....
咲かぬ花を温めて
孵らぬ卵を包み
私たちは手を繋がず
夜明け前に夢を見る
鳴いてはならぬ 暁の鳥
目覚めてはならぬ 琥珀の瞳
結んではならぬ 明日の実
空には真白な三 ....
背後から抱きしめられる気配が
して
「だぁれだ?」
そんなのあなたに決まっているのに
他のだれかを想像してみる
雪の降らなかった今年の冬を
ひとりで歩いてみた
行き先なんか
決めた ....
地球は丸いものだから
平たい紙に写しても
全て正確には表せない
距離を正しくしようとすると
面積がおかしくなり
方角を正しくしようとすれば
形が崩れてしまう
地図は
もともと全てを ....
ぼくは今
2つの分かれ道の前に立っている
1つは光へ
1つは風へ
心が暗くなり足が動かなくなったとき
その光は明るく自分を導いてくれる
自分にとって生きる支えとなるであろう
....
別れの時刻を知ったとき
ひとは優しくなる
すなおには
明かせなかったこころをもって
朝はかならず来るのだと
ようやく夢は
ここから
近く
ありがとう ....
ふと気がつけば
後ろ手の冬
雪の匂いも薄らいで
それとは知らず
陽をまとい
季節は
追い越せないものだとばかり
待ち続けてきたけれど
いつの間にやら
景色は流れて
....
飛行機でおよそ13時間強
豪華客船クィーンエリザベス二世号で行くと
どの位費用や時間が掛かるかは知らない
あたしたちの今とは半日遅れのずれがあり
赤道は越えないけれど日付変更線は跨 ....
木彫りのゴリラを作った
魂をこめたつもりが
こもったのは悲しみだった
真夜中彼はがんがん胸を叩いて吠える
号泣だ
朝、机の上の涙の水溜りに半べそでモップかけてる
あんまりか ....
ああ。やっぱしね
唐組のエンディングって
こうじゃなくっちゃ
唐組第38回公演「透明人間」千秋楽
ぽっかりと開いた夜の闇に
石灯籠の怪しい灯火
唐さんのおはこだよね
花園神社でも鬼子母神 ....
香り立つようなあなたの薄桃色のその頬を
ほろほろと熱い涙がゆく
自身のためでなく誰かのためを思って
ああ
この世にそんな涙があったのですね
ただ その手を 恋しがり
ただ その温もりが 欲しくて
ただ その瞳に 映りたくて
ただ その胸に 抱かれた
泡沫の時
幻の 時
それでも重なる鼓動は
嘘じゃ ....
春へと続く回廊は
まだ細くて
差し込む光に
白く歪んでいる
三月は
足裏を流れる砂の速さで
大切なものを{ルビ攫=さら}っては
あやふやなものばかりを
残してゆく
いくつ ....
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