お茶缶が気になる
どうしてこれはお茶缶なのだろう
素材や意匠は自由だ
そう、自由なんだ、自由すぎるぐらいに

   ひとつだけ重要な事は
   茶葉が入っている、と言うことだ
    ....
独裁者についてった時代を
その時代の人々を今振り返ってどうかしてたんじゃないかと思うように
百年二百年たったら
俺たちのことを
俺たちの時代をどうかしてたと思うのか
船はずっと北を目 ....
静かに
静かに
この道で
風が眠っています

起こさないように
そっと歩いて
通ってください

風はとても敏感で
すぐあなたに
気づいてしまいます

静かに
静かに
この ....
道端に彩りを添える名もない野花から
Little Shop Horrorの人まで喰っちゃう
モンスターフラワーまで
嫌いな花なんか無いと自負したかったのに

また辛い季節がやってきた ....
水は自由だった
形はなく
その場所がその形だった
自らの意志で
動くことができなかったが
絶えずすべてが動いているので
別に苦ではなかった

暑くなれば
空に浮くこともできた
のん ....
 朝起きると同時に自動販売機に向かう
 どんなに寒くともアイスの缶コーヒーを買う
 朝食はろくに摂らない
 とりあえず精神薬を口に放り込む
   
 摩擦の多き日が続き
 僕の思考は混乱
 ....
海は凪いで
時折水面の灯りが膨らむ
こんな場面に身を置くと
ゆめを見たくなる

会いたい、の裏側にある
まだ微熱を残した感情から
目を背けずに
鞄ひとつぶんの希望を詰め込んで
夢のつ ....
石ころにつまずいて

ころんで痛くて痛くて一人泣きじゃくり

太陽はいつもそらの天辺で輝いてるよ

ほらそこの泣き虫君とりあいず

笑ってみなよ

みんな笑顔になれば幸せ ....
 すべり落ちてくる嘘の流星
 隙をみせたら舐め尽くされる
 枕元まで行進する藁をも掴む世代
 神経は擦り減り
 悪魔がゲームしている
 深い闇が行き場を遮る
 常に圧力のかかる後頭部
 ....
仕事を終えると皆は帰ったので、私は独り、
他部署へと続く施設内の長い廊下を渡った。 

白壁の扉を開くと、そこは特養ホーム。正方
形の四隅を結ぶ四つの廊下に並んだ部屋を、
若い夜勤者達は忙し ....
目覚めたら

 世界は セピア色だった





そこには セピア色のシーツと
セピア色の 僕のからだと

セピア色のテーブルと椅子
セピア色のコーヒー

セピア色の空には ....
なつかしい匂いに
ひたる冬、
寒さは
使い慣れたはずの指先に


疑いようも無いくらい
数をつのらせて
まもるべきが
すべて、に
なる


泣いてしまうことも
ねむ ....
りさちゃんに
2組に転校してきたけんちゃんって
かっこいいよねって言ったら
次の日の黒板に相合い傘で並んでた

この前、算数のテスト0点だった事も
オカアちゃんにバレちゃって
夕べは ....
夜に出でし月は
右より欠けて浮きつつも
心鎮むる情けありて
ただひたすらに眺むらむ

何をか語らむその月は
暗き空に染むるる色は
今に咲く黄梅と思ほえ
心なつかし

夜に出でし月は ....
優しさにぶらさがる
重なる星の巡り合わせに
ふたりだけの夜
ドブ板通りの古びたカウンターで
わたしをみつめる
瞳と
Never mind
歯並びの良い口元が闇に浮ぶ
迷路のような船底で ....
西日のうちよせる窓辺に
幼い貝がひとつ
もぞもぞと動く白い靴下を
つん、とつけば、また{ルビ蹲=うずくま}る

どうしてこの子は
こんなに静かな遊びを
思いついてしまったのだろう
座り ....
宇宙に終わりがないように
人の心にも終わりはないのです
ですから
自分で勝手に
終わらせないで下さい

風はいつでも吹くように
心も新しくなるのです
ですから
自分で勝手に
しまわ ....
温もりを感じたくて手を伸ばす
あなたは私の手を握り返し
日溜りの様に笑う
優しさは
あなたの手から私の手へ
じんわりと伝わってくる

私もあなたに笑みを返す
嬉しさは
私の手からあな ....
序章

薄くけむる霧のほさきが、揺れている。
墨を散らかしながら、配列されて褐色の顔をした、
巨木の群を潜ると、
わたしは、使い古された貨幣のような森が、度々、空に向か ....
どんな夜にも月は鎮座して

 炎と水とがこぼれ合うから
 欠けても
 ゆるし
 て、

けものは静かに
帰属する



荒涼の異国を踏むようにして
夢見の鮮度に奪われて
 ....
  ついにお前は前世紀の真夏となって
 果実の薫であつめた
くらく重たい天盤をひらく
 太陽のとどかぬ深い森は
  禽の歌の皮肉なかがやきと歓喜と
   植物のむせ返るような熱を
   ....
 静まりかえった夜更けに
 チクチクと痛む胸をそっと押さえ
 まだまだ許されない過去を
 タバコの煙でぼやかそうとしている
 熱く燃える情熱は寒波でなおいっそう燃えあがる
 最近愚痴が多 ....
星はやがて空を翔ける

私の願いを叶えるために

雲はやがて此処に帰る

私の居場所を作るために

太陽は私の傍を離れる

私を傷つけないように

月は私の闇を照らす

青 ....
君がこの世に存在しなくなってから
今日で四年になります

朝、起きて 静かに静かに
君が横たわっていた場所にたたずんでみる

二月とは云え 雪も降る
あの日もとても寒かったよね


 ....
心の中で瞬く星
誰でも一つは持っている

晴れたり曇ったりで
見え隠れするけれど
ちゃんと心の中で煌いている

心が闇に包まれ不安になった時
その星は姿を現し仄かに光る

心の中の ....
海を見にゆこう
大きな風車が回っている
いくつもいくつも回ってる
海は光っている
風も光っている

山の神社に守られて
音はあるけど
音がない
そこから陽が放たれる

海を見にゆ ....
うなだれた湯船に乗って対岸へと渡ると
おもむろに湯を三度かぶり
最初はシャンプーと決めてある

目をいつまで開けていられるかという挑戦をいまだ続けつつ
怒られた記憶を引き出そうとして ....
青い月の下で
唇が切れると
錆びた味は生温く
舌先に現実とゆめとの
境目をおしえて
わたしが誰であったか
あなたが誰であったかを
思い出させる


青い月の下で
繰り返されるくち ....
たった一言の失言のせいで
創りあげたい美しい国の
議会はまた空転を続けている

かつての集団就職の金の卵たちが
機械化の波に押され
三高神話に駆逐され
猫もしゃくしも
大学と言 ....
ひとりの人間の哀しみに
わたしは立ち入ることができない 

十日前に夫を亡くした同僚の 
目の前を覆う暗闇に 
指一本たりとも 
わたしはふれることができない 

( 背後から追い立て ....
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