{引用=
一、漕ぎゆく者へ
明るいうたは明るくうたおう
明るくないうたも明るくうたおう
そうすれば
必ず
いつかどこかが壊れてゆくよ
治すというのはそ ....
ぼくは詩を書きたい
風は景色を光らせ
心をも光らせる
今日もまた
朝の散歩をしていると
光る風に出会いました
その風は
一面に広がる草原に息を吹きかけ
露が舞う
緑の ....
蛇口にもいろいろあんのよ
飲食店の蛇口はいつも元気で
小学校の蛇口はお喋り好き
公衆便所の蛇口は毎日がつまらなさそう
なんで私がそんなこと知ってるかって
旅好きな水から聞いたのよ
私は ....
車も誰も通らない夜の道
寝転んで空をみあげる
名前も知らない星々が
必死に光り輝いて存在を主張している
ふう と白い息をひとつ
天に昇る息は 人の魂か
昼間とは違う ....
単調な生活から恵みの時が訪れる時
心が軽くなって誰にでも優しくなれる時
幸せは宝くじでは買えない
日々訪れる荒浪のハプニング
心が窮屈な部屋の中で
ああでもない こうでもない ....
あたしを弾いて頂戴
この暗闇の中で
その人差し指で
マリオネットみたいに
あちら こちら
自由自在
あたしの体は鳴り続ける
それはまるで
海の底に響くピアノ
魚 ....
何処までも追いかけて
手を離したくない衝動
…というか
捉まっていたい衝動?
孤独が好きなくせに
誰かに縋りたい傾向
依存性の独占欲で
踏み出したが最後
抜け出せない僕らがいる
....
夜の窓辺で予報にあった雷を待つ
窓枠をはずして砂嵐を眺め続ける
これは、八月の物語、
まだ来ないシーンの単調な予想図
チャンネルの変わらないメチャグチャのカレンダーの裏に書かれた
....
?.
(じーっとお空を見上げている
僕の屹立)
寝過ごして
宿酔で
テラスにでて
サボテンと一緒に
太陽をあびて
歯
磨いていたら
人前で裸になることは
特 ....
初めての海で
吸いこんだ
風のにおいはふるさとのようで
わたくしは、ただ
何万年も佇んでいたような砂浜の印象へ
飛びこんで
いまこの波の揺らぎに没しようと
荒れんばかりの幾多の波の
....
わたしの 小さな庭先に
小さな ひまわり
ひとつ 咲く
ひまわりを 守る為
まわりの草を
ひきぬく
ひきぬく
大好きな
ははこ草も
ひきぬく
無惨に ひ ....
ぼくは詩を書きたい
僅かな呼応は波紋を描き
大きくその世界を揺らす
今日もまた
朝の散歩をしていると
山と雲に出会いました
山は夏の緑を乗せて
空を見上げている
そ ....
崩れてゆく
驚くほどの速度で
花びらで描かれた美しい絵が
ぼくたちの目の前で
風に吹かれて今
埃っぽい川岸の
薄い黄緑の草むらを踏み分けて
ぼくたちはどんどん歩いてゆく
心の中で詩 ....
夏少年の、硝子の{ルビ背=せな}に
せせらぐ
ピアニシモ
白い{ルビ喉=のど}の、滑るシトラスに
透けてゆく
アダージョ
戸惑う爪先の、細い苦悶
ふるえてゆく
アレグロ
....
静か過ぎるくらい静かに
あなたの足音が聞こえました
私を一人にしたまま
あなたは何処に行くのでしょう
私は目をつむったまま
あなたの顔を思い出そうとしました
あなたの残像ばかり ....
柔らかな風と共に
木陰を選んでゆっくりと歩いてくる
アリス
届きそうに届かないアリスは
夢の途中に僕に立ち寄り
その心の純粋さが削られていくのを
悲しい思いで窓から真 ....
赤い鶏頭の花は
透き通るような秋空を
じっと眺めていた
回転計の針は
イエローゾーンに
ぴったりと張り付いて
エキゾーストは頭の中をカーンと貫い ....
君は守られてきた
君は飲み込まれてきた
世界は広い
類は友を呼ぶ
新しい世界に飛び込むのは勇気のいることだ
君も飛ばなきゃならない
君を照らす太陽の下で
エネ ....
すぎていくものに吹かれて
川辺で季節におびえ
一掴みの名も知らぬ萱よりも
かほそくゆれ
ただ老いていくことに
腐っていくのでしょう
笹舟のように
未来にむかってちぎれていくものが
....
ぼくは詩人
天に響く激しい轟きは
心に強く厳しく叫ぶ
今日もまた
夜の散歩をしていると
雷に出会いました
暗雲から下るその稲妻は
竜の如くうねり大地へと降り
これから眠 ....
雨雲が熟すのを待てずに
落ちてきた水滴は
過ぎた日の埃の匂いがする
名もなき小鳥が
一斉に声を上げて
巣を目指して羽ばたき
一瞬の喧騒を誘う
今日のわたしには傘がない
誰も此処 ....
夜が明けて
窓から朝日が射し込むと
目の前に
猫背の暗い男が両腕を{ルビ垂=た}らし
立っていた
「 私ハ生キル事ニ疲レタ
アナタノ生霊
アナタガ誰カト浮カレル時 ....
たてものの一番高いところから
真っ逆さまに飛び降りる
陽の光が足裏にあたって
全身が温かく包まれていく
下の方を見ると
あなたはすでに飛び降りている
足裏にちゃんと土踏まずがあ ....
磁石が壊れて北を指さない
蟻の列が日暮里へむかう
そうか携帯で時も方向もわかるのなら
GPSを首にくくりつけて 北へ
踊る黒猫
踊る白兎
ミックスする
モダニズムの灰色
歯医者の診察台
に座らされ
歯を削られる
リューターの奇声
飛び散るカルシウム
丸い蛍光灯大小2本
収めた四角い枠
ぶ ....
梅雨曇りの朝 あなたはひとり
バスストップで高校行きのバスを待っていた
制服の後姿は 泣いているようだった
僕は「ふりかえってくれ」と心の中でねがっていた
その日はとうとう後姿のままだった
....
男女の蜜月は4年も続けば上出来で
後は想い出の時を刻んでいれば良い
社会的基盤がペアで行動する事を
定めてあるからか
結婚という契約は惰性というからくり
乗っかっていれば安心でらくち ....
僕らはまだ幼かったので
瞼を閉じれば それで良かった
やたら暑かった夏に 背中で別れを告げ
昨日と明日の狭間で 浅い夢をみるまで
蚊取り線香が目に染みて
瞼を閉じれば 全てが無だった
思い出は
あの貝殻の中に
封じておきました
想い出は
あの海の下に
沈めておきました
車窓から覗いた景色は
にじむようにゆれていた
溶けて無くなるんだ
バターみたいだ
僕の理性なんて
所詮ただのコルク
そんなのもう
哀れでしかないね
少し揺さ振りかけられただけで
もう圧力に負けてしまう
吹っ飛んでさよなら
....
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