すべてのおすすめ
さなぎがさなぎを終えようとする
待ち受ける憂いの数々は
渦を巻く歓びのなかで
やわらかに
刃となる
饒舌なのぞみはいつも
逃れるすべを根絶やしにして
油彩画はただ
鱗粉にま ....
ふっと ついた ため息が
風になった
風は コスモスを 揺らして
遠くへと 視線の先よりも 向こうまで 吹いてゆく
君 住む 街まで
届くだろうか・・・
君の やわらかな ....
脈を取ると指先に
セミの鳴き声が
伝わってくる
僕らの身体の中にも
駆け抜けていく夏があったのだ
どうかお元気で
手を振り
手を降り返したあなた
あの日に
友だちでいてくれて良かった ....
ある季節の終りに
風鈴が
まぶしくゆれていた
わたしは 風へ帰れるだろうか
いつの日か
空で回旋する球形の庭園に
立ちよることが出来るのか
ゆれることと立ち尽すこと
そして、歩いた ....
いつの日かきっと
樹は空を砕くだろう
その日のために
言葉たちが樹を覆っている
仕草たちが樹をめぐっている
樹が美しいのは
目に見えないすきまが
哀しく発電しているからだ
曲がり損 ....
そのうちね・・・ と
かもめとともだちになる約束をして夏が過ぎていく
飲み干した炭酸水は檸檬味
酸っぱければ酸っぱいほどよかった
冥王星が惑星でないと新たに決まった夏の夜だった
この世界 ....
「パリーへ二人で行こう」
あの頃は佐伯祐三に焦がれていて
寝物語に囁いた僕の言葉を
君は黙って受けとめてくれた
僕に離婚歴があることを
君は問わないでいてくれた
僕が夢見たパリーの空は
....
四時三十六分
始発
どいつもこいつも
終着にむかっていきやがる
終着は、またどこかへの始発で
始発は、いつしか誰かの終着で
だれもかれも
途中で降りるのだろう
{ルビ可変電圧 ....
理由をお尋ねしても構いませんか
無用な物事に慣れてしまえば
あなたの哀しみと同等に
わたしも哀しいのです
涙の理由を
お尋ねしても構いませんか
夕闇のなかを
誰も彼もが急ぎ足 ....
雨が降っていたので
花を買わずに
帰ってきました
色が鮮やかだったことだけ
覚えています
雨が降っていたので
コンビニのお弁当を
食べました
ラップを取るときだけ
なぜかわくわく ....
深い悲しみの色だわ
胸に漂う紺碧の思い出たち
今でも夢に見ているの
あなたと出会った嵐の夜を
もう一度愛がよみがえるなら
私のすべてを捧げてもいいわ
あなたの腕の中で生きられたら
何もい ....
勇気は境界線の狭間で
いつだって萎れていくだけで
零れ落ちてしまいそうな気持ちに
ぴったりと蓋をして
伝えなかった一言
感情の起伏のような山並みを
ゆっくりと雲が隠していく
嘘つきな ....
じいちゃん ねだっしょ
ばあちゃん ねだっしょ
とうちゃんも かあちゃんも
はぁ ねでしまったども
りりりりり
りりりりり
まどのそとさ きごえる
んだ ....
今日は仕事ないから
俺たち遅くまで寝てたっていい
でも空がほら
あんまり青いから
外に出ようぜ
競争だぜ
階段駆け下りて
飼い犬に ....
ただ 届けたかったものが届かない
けれど 届けたことだけ 思い出して
いつか私は 暖かいものがあったと
眼しかつむるものがないこと
瞑る眼が それでもあることに
感謝して
数は ど ....
一・何処までも泳げるだろう
遠くに見える島を目指して泳ぎだした
泳げども辿り着けないその島は
蜃気楼なのだろうか
それでもまだ
辿り着けると信じていた
二・振り返ってはいけない
....
家に帰ると
なかったはずの、が
いて
言わなかったはずの
おかえりを
言ってくれる
それから
なかったはずの
夕食の支度が始まる
なかったはずの、は
キッチンで月の光のよう ....
急に寒くなった秋の雨
道の脇に山から下りた
小さな紅葉の葉が
流れてくる
赤や黄色に光沢が施され
艶やかなるも
どこか悲しく重々しい
どこへ流れどこへ溜まるのか
行く末知らぬその姿を
....
夕暮れが早くなりましたね
ええ、いつもと同じ帰り道
相変わらず同じ電車に乗ってます
夏はあっという間にすぎて行ったようですが
そんなの別に珍しいことではなく
まったくもっていつものことで ....
アスファルトにいて、
わからない、
夏、激しい群青で遊び過ぎ、その果てに、
すっ、と発狂するようにしてひどく青く、
遠ざかる空、その秋の為なのか、
或いは ....
海に憧れるやうに
幼い頃から
パンに憧れてきた
男がある
憧れは
日に日にふくらみ
パンのかうばしさは
街筋を流れて止まず
憧れは夢に
夢は幻に
幻 ....
傷つきやすい
ということは
他人を傷つけやすい
というのと同じこと
地雷原のど真ん中で
諸刃の剣を振り回す
全裸の子ども
彼(あるいは彼女)が地雷を踏む可能性
踏んだ地雷が爆発 ....
秋を彩る木々の中
野鳥の声の閑けさに
癒す心に色染めて
見上げる空に空はなく
紅葉の玉の中にいる
聞こえる音は微かのみ
落ちる紅葉がはらはらと
なびく梢がゆらゆらと
分け行く道に道 ....
今日につながる道は平坦じゃなかった
曲がりくねった道もあり
ぬかるんだ道もあった
黒い雲に隠れて見えない午後も
太陽は必ず裏切らず昇ってきてくれた
夜のジャングルにいた頃 ....
朝の橋に降りつもる水
最初にわたるものを待っている
粒の大きさの万華鏡
手のひらの内からこぼれつづける
指を伝う細い声
細く細くやわらかな青
微笑んではすりぬける
数 ....
仮面
産まれたての
あの頃に
戻りたくて人は被る
嘘
他人を欺きとおせても
おのれの顔だけは
欺けない
頭蓋骨
そ ....
あの日
花を活けている母のそばで
私は
剣山を手に押しあてて
痛み
その直前で手を止める
残虐な笑み
横たわる百合の花
その白さと
花の奥
見てはいけない遠い闇
青い花器 ....
{引用=「幸せの定義」とはなんだろう。
そもそも、「幸せ」とはなんだろう。 }
ママゴトして遊ぶ娘を見て考えた
彼女にとっての幸せはママゴトセットに違いない
切れない包丁とビニール製 ....
* 波の花 *
この旅路は来世への道
涙はいらぬ
微笑と
小さな夢と
持ってゆく
私たちは来世では一つの船に乗る
その先に咲く
波の花
消えて
* 夜の波 *
あ ....
詩人は自分のことを
詩人とは思わない
詩人とは詩人以外の人が
勝手につけた便宜的な呼び名に過ぎない
詩人とは詩人以外の人が
詩を書きたいと願うときの
理想の人間
この世には存在しない ....
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