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山よりも高く雲は聳えて
雲は天蓋として
瞬く間に紺碧の空を覆う
燃え立つような風が
一瞬にして地表の全てのものを清めると
卒然として雹
雹!
瑠璃色の雹がアスファルトに砕け
赤土に食い ....
夏は容易く永遠を擬態するので
僕らの意識の最も敏感な部位は
いつでも眩暈に侵されたままだ
ぼくは詩を書きたい
名もないものは名がなくとも
永遠を繰り返す
今日もまた
朝の散歩をしていると
夏の川に出会いました
名もなき川に流れゆく
銀の雫を創りつつ
風に吹か ....
振り返ると
通り過ぎるよりも早く
世界は移り変わっていく。
それはまるでメリーゴーランドの様に
それはまるで万華鏡の様に
瞬きを売るたびに
うつりげな恋の様に
世界は過ぎていく
....
川で 手を洗おうと思ったのは
いたずらに食べた桑の実で
汚してしまったから
新しいランドセルが
川を覗き込んだ後頭部を倒す
沈んだ 目が水を見る
手をのばした
びっくりした友達のいる ....
かつて高貴なひとびとは
憂き世離れた恋に身をやつし
夜空を見上げては月に思い寄せ
浜辺を見やっては海に思い投げ
紫の綺羅 星のごとく
そのころ私のご先祖さまは
きっと真っ黒けに日焼けし ....
幾たびも、ひたむきに萌え上がる、
いにしえの稲穂の原景が、
小走りに薫りたって
遠き草創のまほろばの底流は
大和から飛鳥に、涼やかに下ってゆく。
万葉のけむりを煽り、
壬申の衛士の錐立 ....
肩のあたりを噛んでほしいのです
思いっきり歯形がつくまで
血が滲むぐらいに
/
今日は抜糸です
と
彼女がメールを送ってきました
八針も縫った傷痕は
一生消えずに残るのでしょう ....
始まりは終わりを
終わりは始まりを
言葉は途切れることなく
この世をさまよっている
永遠に続くかくれんぼ
見え隠れする希望に
絶望の影を感じては
必死に生き ....
屋上から見える裏山の
天辺にかかった雲から
差し込んだ陽射しを眺めて
少しだけ休んでいこう
疲れきっている訳でもなく
悲しいって程じゃなくて
緩やかな風に煽られた隙間から
時どき覗い ....
ぼくは詩人
壮大な響きを求め
研ぐものは微弱な変化
今日もまた
夜の散歩をしていると
銀の夜の詩に出会いました
静かなる夜に佇み
星々が輝きわたる
音もなく風はそよめき ....
雷鳴に少し怯えて
ようやく雨が遠ざかると
いつしか黄身色の月が
丸く夏の宵を告げる
湿度が首筋に貼りついて
ついさっき流れた汗を思う
狡猾な二本の腕を
互いの背に回して
策略の ....
引越をした日は、
青空だった。
近所の空き地の、
壁に、ボールをぶつけ、
グローブで受けとる。
ひとりで遊ぶわたしに、
アキラとリョウが、
笑みを浮かべ、声をかけてきた。
初登校の ....
N・Kに
魚がいる
魚についばまれている
ちいさな
魚たちに
僕は部屋 ....
暑い日だった
目覚めのベッドは僕のにおいで湿ってた
喉がカラカラだった
コップの水をかるく舐めたら
少し、ぬるい
鏡に映るはだかのおとこ
汗 ....
通り雨がきらきら光り
僕の目に髪に肩に降りかかる
誰もいない薔薇園にひとり
堅く閉ざされた空を見つめていた
傘もささずに僕は
風に心をさらされたまま
果たされなかった約束は
いま ....
ふたつの火の間に
煙は消える
いとおしさ
うなづく いとおしさ
風のない日の
指をすぎるいとおしさ
見るまに変わりゆくものの
とどまらぬ今をたしかめるように
せわし ....
#41
青い瞳からは
青い涙が
こぼれるものだと
思っていました
#42
オリジナルという名のコピー
コピーとしてのオリジナル
オリジナルなコピー
....
彼方からの気流にのって 届いたそれを
あのひとは
夏だと言った
わたしにとって
わたしの知らない、どこか
遠い場所で あのひとが
笑ったり、泣いたり、しているということは
あ ....
仕事帰りに電車にのる
少しビールを飲んで
少し酔っ払いながら
不意に哀しくなって
電車のなかで鳴咽をもらしそうになる
別に泣きたい訳じゃない
ただ情緒不安定なだけ
それだけ それ ....
☆ おへそにピアス
おへそにピアスしています
ローライズのずっと上
チューブトップのちょっと下
夏の視線がやたら眩しくて
わたしのまんなか
おへそにピアス
わたしがまだ
あのひ ....
めろんの翠が涼しい頃
強引な若さだけを連れて
新しい部屋を探したわたしが
照れながら甦る
必ずしあわせになるのだと
啖呵を切って
飛び出した古い家
裏付けるものなど何も無く
ただ
....
{引用=
一、漕ぎゆく者へ
明るいうたは明るくうたおう
明るくないうたも明るくうたおう
そうすれば
必ず
いつかどこかが壊れてゆくよ
治すというのはそ ....
ぼくは詩人
道に迷い自分に迷い
道を迷い自分を迷い
それでも何かを見つけることが
人としての生き方でもある
今日もまた
なぜか
いらいらとした気持ちを
押さえきれず
夜の ....
?.
(じーっとお空を見上げている
僕の屹立)
寝過ごして
宿酔で
テラスにでて
サボテンと一緒に
太陽をあびて
歯
磨いていたら
人前で裸になることは
特 ....
初めての海で
吸いこんだ
風のにおいはふるさとのようで
わたくしは、ただ
何万年も佇んでいたような砂浜の印象へ
飛びこんで
いまこの波の揺らぎに没しようと
荒れんばかりの幾多の波の
....
夏少年の、硝子の{ルビ背=せな}に
せせらぐ
ピアニシモ
白い{ルビ喉=のど}の、滑るシトラスに
透けてゆく
アダージョ
戸惑う爪先の、細い苦悶
ふるえてゆく
アレグロ
....
静か過ぎるくらい静かに
あなたの足音が聞こえました
私を一人にしたまま
あなたは何処に行くのでしょう
私は目をつむったまま
あなたの顔を思い出そうとしました
あなたの残像ばかり ....
ずっと遠くの方を、
水平線が見たかったのに
空との区切りがよくわからない
から
少しだけ背中を丸めた
薄い水色のワンピースから
覗く白い腕が
夏には似合わない
から
ただ黙っ ....
すぎていくものに吹かれて
川辺で季節におびえ
一掴みの名も知らぬ萱よりも
かほそくゆれ
ただ老いていくことに
腐っていくのでしょう
笹舟のように
未来にむかってちぎれていくものが
....
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