すべてのおすすめ
幼い頃
誰かに見つめられて
動けなくなったことがある
逃げるので精一杯だった
不思議な目だった
そんな記憶を思い出しながら
公園のベンチでうたた寝をする
家でちゃんと寝ようと思って
....
路地裏のちび猫は
突入する赤に
踏み出す肢を迷わせる
産み落とされた残り香
ずぶ濡れのステップ
行きずりのハーモニカ犬は
油のしみ込んだ木柱に
鼻先をふがふが押しあてる
かつて高く ....
境界のあやふやな 一日は
爪の間から 鱗が生えてしまう
空をつかむ その指には
退行の刻印のニキビ跡
夕暮を透かして 茜色
山の稜線が
青く 遠のく
空に雲は置か ....
きみどりの薄皮をひらいて
瑞々しい透明を露出させる
縦に切っても
横に切っても
どこまでもたまねぎだから
うれしくて
うれしくて
なきそうで
やわらかい切り口に
崩れそうになる
か ....
鋼鉄を 遙にしのぐ
美しく、強靭な 折り紙細工の船にのり
飴色のラタンの椅子に腰掛けて
今宵もまた 私の人差し指は、
暗く果てしない 緻密な航路を正確になぞる
航行中もドアの向こう側には ....
誰かを好きになって
結婚して
こどもを産んで
ごく自然ななりゆき
なんだけど
それを人間らしさと言えるのだろうか
赤ちゃんを抱いた
お母さん
しあわせそうに見えるけど
割 ....
一 アンタレス disk1
君と夜の海辺を散歩していた、
はずなのにいつのまにか
空を歩いていた
頭上に、海
でも今日はよく晴れていたから
涙の一滴も落ちなくて ....
もうすぐ
九百九十九年になります
その頃には
ひまわりも咲いているでしょう
絶望から生き残った
藁のような人びとが
ゆらゆらとゆれているでしょう
咲いてしまうことに
罪はなくて
咲い ....
黒縁の眼鏡をかけた教授の講義が一段落すると
スクリーン上に映し出されたままの
夏の星座がゆっくりと回転し始める
古びた校舎の窓側を覆う暗幕は
その歳月 ....
素潜りで
{ルビ鮑=あわび}を密漁する
丹後半島の
夜明け
海で生まれた太陽と
山に入る月の夢、
肩がこる
髭の男が少年や
座礁した五月
白身のま ....
夏祭り 寄り添うふたりで 誓い合う 永遠、、、
そんなこと 夢に描いてた 憧れを 胸に抱いてた
瞼に焼き付いた 君の笑顔は セピア色に見え ....
1997
ひらいているのか
ひらいてないのか
ラムネの瓶から転がりだした目で
すべての皮膚が内側からはちきれて
剥かれた/剥いた
滲む赤い体で
そのひとつの透明な血袋が
なににも触れな ....
自分の中にある
忘れてしまっていた
言葉のアルバムを
ふと開いてみる
何でもなかったことを
こんな言葉で表したのかと
苦笑いしながらも
あのときの自分には
その言葉が似合っていた
....
噴水の仕組みがわからないから
それはもうじっと見ているしかできなかった
一定の水が噴水の中にはあって
それがどこかで汲み上げられて
吹き上げられている
そして落ちて回る
それくらいはわかる ....
触れようとすると
指は変わる
光
漏れ聴く 光
見ているものは
既に違う
光
遅い 光
雨のはじまりを鳴く鳥に
枝はまぶしく満ちてゆく
羽と幹と音のはざ ....
終電前の
人もまばらなラーメン屋
少し狭いテーブルの向こうに
きゅっ と閉じた唇が
うれしそうな音をたて
幾すじもの麺をすいこむにつれ
僕のこころもすいこまれそう
....
せつなさ
という名の花が
いま咲いている ので
時間という
風の中で
さびしい さびしい と
泣いている ので
あなた
水をくれるぐらいなら ....
名付けたいひかりの先に
やさしいリビング・ルームがない
一握りのたましいが
あかるみに美しく滅んでいる
並んで有機物が芽吹く
動とも植とも
青とも赤ともつかないまま
....
1
もう、
ふりかえらないのだ
髪をゆらしていった風は
束ねることはせず
つまさきは
後ろに広がる汀を
走れない世界にいて
こころだけがいつまでも
波になりたがっている
....
朝焼けと夕焼けの色は
決して重なりはしない
始まりはオレンジの衣を纏い
終わりは朱の衣を纏う
ただ繰り返すだけ
太陽は月を照らしはしない
月は太陽に照らされてるだけなの ....
介添えの眠るお天気雨
ふくらませたかかと
眼を覚ませば
占いのためにだけ
花を摘めない人がいる
なくした言葉を入れる
風の器は すぐに壊れ
花の行方に問いたかったのに
ここ ....
美しい言葉をさがすために
美しい言葉をさがす旅に出た
海に行けば海は美しく
山に行けば山は美しく
空を見れば空は美しかった
けれどそれを表現するだけの
美しい言葉を知らない ....
おそいおそい冬の訪れ
あるいはそれは
いつの間にか駆けて行った冬の残り香
遅咲きの梅花
早咲きの桜花
世界の色は鮮やかに
春待ち人の思いは賑やかに
そこに舞い散 ....
我らは 語るべきだ
海潮の輝き
午後のけだるい 陽光を
夜は 底で 眠り
目覚めの朝露は打ち震えると知っている
我ら 踊る 身も心も捧げて
熱狂は 明日を作る
汗は額を流れ
濡 ....
{引用=
? 夏の妖精
笑いながら
運ぶ風に
身を任せて
あなたは走り去ろうとしたが
照りつける陽射し
の中にではなく
薄萌木色の林の奥に
....
Ser immortal es baladi;
menos el hombre, todas las criaturas lo son, pues ignoran la muerte;
lo ....
夏日を更新するはずの五月晴れが連れてきたのは
冬の残滓のような冷たさで
渺々と吹き荒れる毎に世間を震撼させている
鉄板を舞い上げてしまう風は
それでも人を飛翔させたりはせず
降下する ....
はじめて
こころのなかに
さいた
たんぽぽのはな
かぜにからだを
ばらまいて
ぶんしのように
げんしのように
そりゅうしのように
たびにでるたび
....
布のむこうから近づく光
同じかたちの虹に割れ
いつか集まり 一羽の蛾となり
風の重さを聴いている
葉と花の舟
水の上の いくつもの空
花ひらく音 ほどく音
ひとつひと ....
古びた大学ノート
色褪せたページに
静かに眠る
言葉たち
何年も前に
走り書いた
ほとばしる
想いの数々
作品と呼ぶのには
あまりにも
ふぞろいで
できそ ....
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