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朝を銀色の風が運ぶ
そっと包まれる静かな時間
繰り返す透明なセンテンス
目に見えないエッセンス
窓越しにすれ違うあの子に
目配せをしながら通り過ぎる
本当は気がついて欲しいんだ
太陽 ....
夕暮なのに空は青く水色で
辺りをオレンジの空気が
流れるのに暖かな記憶は
思い出に妬けた赤瓦
錆びたトタン
泣いている子供
薮蚊だらけの雑草の森
自分を分解していく幻想
神社の ....
ちゃぽんと音がするので
ふり向くと
道端にいわしが跳ねていた
どうしてこんな所で跳ねているのか
と問うて見たら
どうもこうも無い
そんな事を聞くなぞ人間も野蛮になったものだ
....
あわせ木材の
硬質な床の
ブーツで歩くと
カツカツというような
壁は白く
地中海の日差しを
思い出させるような
家具は猫足で
懐古趣味宜しく
アンティークな匂いが
ほんのりと漂うよ ....
魚になって泳いでみたら
ちいさなあの子がすくってくれた
あんまり優しくするもんだから
優しくガラスにキスをした。
小鳥になってちゅんちゅんしたら
おっきなあの手で優しく抱いた
あんまり ....
寂しさを積み上げた山は
秋の匂いがした
木の実を拾い動物達と話す
寂しさを暖かさが溶かしていく
山がすっかり溶けると
みんな消えていた
残ったのは
痛いくらいにしんと ....
言葉に溶かした微かな薬
甘く香ってすぐ消えた
だのにどうした訳だろう
僕の胸が痛むのは
インコが、ぴーちくちちちと鳴きます
空には大きな雲がゆっくり流れて行きます
風はまだ少し冷たいですが
日は少しずつ暖かさを増しているようです
さわわ、と風が街路樹を撫で
どこか遠くの懐かしい ....
つくしの帽子は何色帽子
何を夢見て冬に編む
きのこの襟巻き何ガラ襟巻き
何処に繋がるその首の先
木の芽 木の又 何の殻
硬い木の皮なぜ避ける
今日は日差しの射すがまま
明日は春が来るかし ....
土が匂う
そうして僕は小学生になった
昨日より暖かな陽射し
冬休みの明けた教室の
油引きの床の匂い
ジャングルジムや鉄棒の冷たさ
授業中に見えるグランドの眩しさ
雑草の中には小さな白 ....
明日は少し優しくなりたくて
右手に小さな飴を握り締めた
飴が溶け出して
指と指とをくっつけてしまった
僕は優しくなれるだろうか
空には小さく魚が泳いでいった
あの筋雲は何処に行くのだろ ....
荻窪の町には昔ながらの駄菓子屋がまだあり
自分の足音がちゃぁんと聞こえてくるのです
ゆっくり道端の雑草や花に目を向けたり
空を音もなく区切る電線に止まるすずめを数えたり
荻窪の町には年老いた夫 ....
俺ぁね、鼻毛をね、抜いたんですよ
そうしたらばさ
なんともまぁ可愛らしくない
小人がぶら下がっていてね
それはもう凄い剣幕で怒るんですよ
お前は何だぁ
何様のつもりだぁ
わしらの住処がぁ ....
毎日大層綺麗な服で
物憂げな瞳で空を見上げる
日中は動かずに
ただ静かに仕事に励み
他の事には一切関与しない
回りの仲間からはきっと
付き合いが悪いだとか
彼氏いないんだってとか
好き ....
透明な硝子の向こうで
君が生み出した
緩やかな憂鬱
透明な硝子に当たって
白く砕けた
ちかちかと世界が明転するのは
まばたきのせいだろうか
睫毛が捕まえた蝶のせいだろうか
プレ ....
あなたがその手の中に包んでいる
小さな小さな光が
私に大きな勇気をくれたから
ありがとうを伝えたいの
あなたは私の見えない物を見て
少し笑いながら手を伸ばすから
私はただ
どうしたの ....
窓がうっすらとくもり
秋はいつの間にか冬に変わる
抱き合ったままの僕らは
足の冷たさを暖め合う
まだ少し賑やかさに包まれた
小さな夜の始まり
遠くで猫が泣いている
うちに呼んであげよ ....
夕暮れの風が優しいので
少しだけ手袋を外してみた
小さな枯葉が僕の手にのった
電車に乗ると人ごみが恐ろしく
そっと息を止めてみた
苦しくて苦しくて仕方が無かった
駅からの帰り道に雨 ....
好きですってね
ためしに言ってみたんだよ
それだのに君はさ
ありがとうって言ってさ
僕は困っちゃった訳だよ
だって僕は君の事
好きだったものだから
本当にどうして良いのか
分からなくっ ....
あくびをしなよ
それが夢への合言葉
もうじき世界に太陽が昇る
これから始まる世界には
道しるべも無ければ
誰の足跡も無い
君の思い描くものになるんだ
何にも決まっちゃいないんだから
....
僕の賞味期限はいつまでだろう?
本当は知らない間に過ぎてしまっていて
もう味も鮮度もすっかり落ちてしまって
いやいやまだまだ青二才で青臭く
まだまだ未熟で食べられなくて
誰からも本当は相 ....
薄暗い中
あかがねに染まる朝焼けを見た
時計がさざなみ
町外れの橋が影になる
息を吐く声
電車の踊る音
タタン トタン トトン
パタン ポタン コトン
読みかけの本を閉 ....
お元気ですか
少し高くなった空が
今日はなんだか優しくて
お元気ですか
ぽっかり浮かんだ雲が
とても愛らしいのです
遠回りしてのんびりと
線路沿いを歩いていると
どこからか夕飯 ....
風は太陽を紡ぎ
優しい音で糸を張り
張り詰めた糸は
暖かな香で弾けて
{ルビ奏=かな}でる曲は優しく
そして暖かく響く
まるで生命の力を
{ルビ謳=うた}うように { ....
電車を待っていると
どこからか風鈴の音が聞こえてきた
チリリン
海は楽しかったな
今年は二回も行ったっけ
チリリン
花火きれいだったな
毎年見てた場所また行けるかな
チリリ ....
黒と白のダンスが始まり
君と私が交互に入れ替わる
私が君で君が私
君が私で私が君
くるり くるり
くるりり くるりり
いつの間にか気がつくと
暗いなかに一人きり
白い私が一 ....
一・何処までも泳げるだろう
遠くに見える島を目指して泳ぎだした
泳げども辿り着けないその島は
蜃気楼なのだろうか
それでもまだ
辿り着けると信じていた
二・振り返ってはいけない
....
隣を歩いていた君の右手が
隣を歩いていた僕の左手と
ごっつんこしたから
僕らはそのままなんとなく
手を繋いで歩いた
映画を見ていた君の手が
映画を見ていた僕の手と
ごっつんこしたから ....
太陽となりて君に熔ける
太陽となりて君に混ざる
荒がうな
爆ぜるな
太陽となりて君に焼かれる
それはとても熱く
それはとても狂おしい
あぁ今日は雨が匂う
太陽にはなれない
住んでいるアパートの階段で
小さな蜘蛛が巣を張っていた
それは何処にでもいる小さな蜘蛛で
だけれどもその姿は初めて見るほどに
頑なに黙々と同じ動きを繰り返し
{ルビ蜩=ひぐらし}の声 ....
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