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それは言葉にならない思いであった
母は母であった
息子は息子であった
いずれは離れ離れになる定めだった
『ふたりは生き別れる』
それは別段、不幸なことでもなく
いつまでも悔恨に捕らわれるこ ....
もう少しで
ぼくは
ぼくについての無知が
分かりそうな
気がするので
暗やみの中
きみを裸にする

不完全なきみが
ぼくを見ている
不完全なぼくの
わずかな感 ....
遠くばかり みていると
いまを みうしなってしまうけど
遠くをみてないと じぶんを
うしなってしまうから
いつでも星を さがしているんだ
失ってしまったと
知らせに突かれて
霧雨の中へ飛び出したから
取り込み損ねた洗濯物のように
さびしく湿ってしまった

    時計は無慈悲に
    時を奪っていく装置
    刻んで ....
抱き合うことで
すくわれるたましいの
とおく
海を泣いて

あなたが翔けていく
わたしもはしる
とおく
たましいの

秘密の場所
わたしは
自由だった
わたしとして

ほ ....
 朝から降ってる恵みの雨
 いつもなら気分が沈むはずなのに
 今日の雨はなんだか優しい

 高原に立って
 全身にこの雨を浴びていたい
 渇いた心を潤したいのだ

 スズメが雨の中
 ....
ぼくは詩人

何事もすべて通過点

今日もまた

朝の散歩をしていると
少年に出会いました

横断歩道のつもりなのでしょうか
道に線を引いて
何本も何本も

1つ1つの線の前 ....
 今ここに綴る詩も
 膨大な詩の海の中の
 一滴として
 いつか人々の中で
 忘れられていく

 時代を超えて
 口ずさむ詩を
 綴れたらいいのに

 詩は努力したからといって
 ....
緑の雨
緑の壁
岸辺に立つ
にじみゆらめく影


曇の網
粒子の街
浅い水底で
世界を呑む鉱たち


空のわずかな光に
海はゆるみ はなひらき
熱の歪みの蝶たち ....
君のおもかげを
他の人に探してしまうのを
やめようと思って。

やめよう、やめようと思いながら
そう意識すると
なおさらまとわりついて。

疲れてしまった
人と会うのは。

今日 ....
今宵も匠は
あざやかな手つきで
ガラス球をつるり
音もなく水槽に沈める
  瑞々しい、青とグレイと白の珠

覗き込むたび
妖しく映ろう彩雲は
硬く閉じ込められていて
届きそうで、届か ....
鉢植えの花が咲いていた
色とりどりの花々が咲いていた
しかし どいつもこいつも嘘っぱちに思えて
可憐な花びらをえいっとばかりにつねってやった
花の香りに誘われて蜜蜂が飛んできた
蜜蜂が耳の周 ....
本を捨て風を追え
光の鉄筆を持ち
刻むがいい
化石となり残る言葉を
考古学者が
その意味を追うだろう

ノートを捨て雨を打て
声にならない慟哭を
写すがいい
降り積 ....
ぼくは詩人

何かを理解したり習得してこそ
過去になる

今日もまた

朝の散歩をしていると
少女に出会いました

自分の知らない花の名前を
図鑑で調べる
彼女は現在に夢中
 ....
風が吹き抜ける
うたから零れる水滴に
滲んだかなしみを知る

きみを包む町から
初夏の気配を纏って訪れたうたは
インクの匂いをさせながら
紙を静かに滑り落ちて
こころの中に海を創る
 ....
ゆっくりと時は流れていく

時間は永遠の旅人とだった

月明かりが妙にまぶしかった

小さな子供たちが

はしゃぎながら僕の横を走っていった

僕にもこんな時期があったんだなと
 ....
失踪する雑踏――葬られてゆく錯綜する都会の鼓動が
不整脈を晒している。
失踪する現実――訪れるものは、立ち上がらない
睦言の形骸だろうか。
黒い朝焼けを掴み取るまなざしは、
凍りつく陶酔の血 ....
ぼくは詩人

共鳴は同情以上に
心に広がる

今日もまた

朝の散歩をしていると
不思議な玉に出会いました

野球のボールかと思う
大きさと白さ

やわらかい布でつくられた
 ....
枯れすぎると
言われる事はない
息をしている 間も
枯れる事が決っている

咲かないのは
枯れた事ではない
咲かせないのは
枯れさせたいのではない

その花瓶に手折る
瑞々しい花 ....
ねずの波間に
抗う術もなく
不規則に浮き沈む夜は
瑠璃のしずく
そっとほどいて

乳白色の束を覚えず
春の浜にまどろむ

理不尽に打ちあげられし
砂にまみれた海藻は
幸か 不幸か ....
ぼくは詩人

大胆にも謙虚さがあれば
それはそれで
その変化は大きくなる

今日もまた

朝の散歩をしていると
卯の花に出会いました

ここにも夏の訪れ

5枚の花びらを重ね ....
ハナミズキが総苞に
厳しかった冬の名残を残すように
ひとのことばの端々には
生きてきた人生の痕跡を引き摺って


それは醜さの現われでもあり
それはしがらみのようでもある


引き ....
静寂の水面に一石を投ずれば
波紋がゆらり、影が波立つ
月もまた冷ややかな横顔を
一層歪めて泣き笑いする

この橋の名を面影橋と人は呼ぶ
月明かりの下で我が影を
水面に映せば見えるとい ....
ぼくはイヌムギ

麦に似ているけど
人間にとっては有用ではない
でもそれは人間が勝手に決めたこと

今日もまた

朝の背伸びをしていると
子供に出会いました

どうやらぼくが邪魔 ....
ぼくは詩人

自然がすべての自然と
つながっているように
人の心もすべての人と
つながっている

今日もまた

朝の散歩をしていると
藤の花に出会いました

野生に生えたその花 ....


































 ....
{引用=小鳥のあおいへ}



君の目の
レモンのかおりするかたちで青い輪にふちどられた高く清んでいる空

少女だった
君は、
妻になり
母になり
私の恋人でもあって
今日、{ ....
ぼくは詩人

立派なことをするには
基本や初心を継続する努力が大切

今日もまた

朝の散歩をしていると
おじいさんに出会いました

お話好きなのか
自分のことをぼくにいろいろと ....
わたしと一緒のときでさえ
素知らぬ顔でメールチェックする あなた
コーヒーをかき混ぜる仕草で
わたしのこころをかき乱す
いつの間にかミルクを入れなくなって
ショウウィンドウに映る姿を気にして ....
少しづつ はぐれるようにして
息のつけるところまで
霧雨が 庇う様だ

陽射しが吠えていた 
ハンドル握りながら
ひとすじの 血脈が
太陽に かかると思っていた

そして 同じくらい ....
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